「アスタリールスポーツシンポジウム2016」

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サプリメントや化粧品の成分として知られるアスタキサンチン。活性酸素に対する高い抗酸化力が注目されている。

その研究開発、製造、販売を手掛けるアスタリール株式会社が主催する「アスタリールスポーツシンポジウム2016」が7月26日、都内で開かれた。アスタキサンチンがアスリートに与える影響について活発な意見が交わされた。

過度の運動は酸化を促進

アスタキサンチンは天然の色素成分、「カロテノイド」の一種。抗酸化物質と呼ばれるものは多数存在するが、2007年に富士化学工業が発表した研究によると、アスタキサンチンの抗酸化力は、「βカロテン」の4.9倍、ルテインの2.6倍、リコペンの1.6倍、「ビタミンC」は6000倍になるとされている。

老化を進め、代謝を悪くする体内の活性酸素。その働きを抑えるのが抗酸化物質だ。もともと体内にあるが、喫煙や栄養不足、ストレスなどで活性酸素が増えると、対応できなくなる。

しかし、アスリートはふだんからトレーニングに励み、食事内容にも十分に注意しているはず。いわば究極の健康的な生活を送っている人たちだ。抗酸化物質とは無縁の存在のようにも思える。

だが、「アスリートにこそ抗酸化物質の摂取が重要になる」と語ったのは管理栄養士でもある東海大学の菊地恵観子氏だ。

菊地氏は、適度な運動は酸化を防ぐが、アスリートレベルの過度な運動は酸化を促進する可能性があり、エネルギー産生の過程で酸化ストレスが発生すると指摘。抗酸化物質の摂取によって円滑なエネルギー産生のみならず、競技の成果アップも期待できる、とアスリートにとっての抗酸化物質の重要性を説いた。

一方で、アスリートのパフォーマンス向上に不可欠な、酸素の運搬を担う体内の鉄分が、抗酸化物質を過剰に産生する原因となることを示唆する研究があることも明らかにした。

過酷な競技で50歳まで現役を

シンポジウムには、47歳で世界トップレベルの現役トレイルランナーとして活躍する鏑木毅氏も登場した。トレイルは1000メートル級の山を上り下りしながら、最大で約160キロメートルを走破するという過酷な競技。登山なら1週間かける行程を、トップ選手ならば20時間でゴールするというのだから、その過酷さが想像できるだろう。

鏑木氏は28歳という、アスリートとしてはやや遅めのデビュー以降、現在まで国内外のトレイルで優勝しているが、その秘訣を「脂肪を主体としたエネルギー産生」と「メンタル」だという。

「長距離では、炭水化物などから得られる糖代謝によるエネルギー産生より、体脂肪を代謝して得られるエネルギーのほうが長期的かつ効率的です。年単位のトレーニングと低糖質食を続けることで、そうした体へ徐々に作り変えていきました」(鏑木氏)

また、意識がもうろうとし、幻覚すら見ることもあるという過酷な競技では、トレーニングだけでは克服できないものがあると指摘。苦しさを受け流し、遊びの要素を楽しむメンタルも必要だと語った。

「50歳までどう元気で戦い続けるか。例えばアスタキサンチンのような、パフォーマンスを高めることが期待できる、天然の成分を取入れることも、ひとつの方法でしょう」(鏑木氏)

トレーニングと休息の質も重要

アスリートのケアやコンディショニング、つまり休養やトレーニングの質を向上させることが重要だと語ったのは、よしだ整骨院院長の吉田浩章氏と、筑波大学体育系の征矢英昭教授だ。

アスリートやランナーを専門にコンディショニング、治療をおこなっているという吉田氏は、自身のもとを訪れるアスリートを対象に、競技当日から疲労回復までの期間を検証。疲労のピークは2日後で、最大のパフォーマンスが発揮できる状態に回復するのは10〜14日後、という知見を発表した。

「十分な休養をとらずトレーニングを再開する選手も多いが、競技後5〜7日は怪我の発生するピーク。すぐにトレーニングにとりかかっても怪我の発生率が上がるだけです。休息はもちろん、選手の状態を的確に判断できる指導者も必要でしょう」(吉田氏)

征矢教授は、「日本はハードトレーニング大国だが、量ばかりが重視され、質が軽視されてきた」と指摘する。また、よいトレーニングにはストレスが伴うが、人間の能力は適度なストレスを与えると最大化するという脳科学の視点から、慢性的なストレスを適切な栄養と休養によって解消しつつ、メンタル面のケアを実施し、意欲を増進させることが不可欠だと語った。

「疲労予防のための抗酸化物質の摂取や、抗ストレス効果のある天然素材を摂取するといった要素が、今後アスリートにはさらに重要になってくるでしょう」(征矢教授)

(Aging Style)