川島永嗣(撮影:長瀬友哉/フォート・キシモト)

写真拡大

これまで日本代表の守護神として、川島永嗣は6月のブルガリア戦まで72の代表キャップを積み重ねてきた。西川周作が24、東口順昭が2という数字からも、いかに川島が不動のGKだったことが分かる。そんな守護神に暗雲が漂い始めたのが2015年のこと。当時所属していたスタンダール・リエージュ(ベルギー)でレギュラーを外れた。

活躍の場を求めてリエージュを退団したものの無所属の状態が続き、日本代表では7試合の出場にとどまった。それでもハリルホジッチ監督は「エイジ(永嗣)とはコンタクトを取り続けており、トレーニングを続けているということだ」と守護神を気遣っていた。

その後はスコットランドのダンディー・ユナイテッドを経て、今年8月にようやく新天地が決まった。フランス1部リーグのFCメスだ。この間も指揮官は、「手元に呼んでどのような状態かを見てみたい」と川島への信頼は変わることがなかった。ケガで代表を辞退した以外は、常に背番号1の姿が練習場のピッチで躍動していた。

そんな状況に変化が起きたのが、今日の代表メンバー発表の場だった。メスの公式ホームページは川島を「第3GK」と発表していたが、ハリルホジッチ監督は「労働許可証が揃っていない」ため、まだ選手登録ができていないこと、さらに「先発に入れなければ、(今回招集した)3人の中には入れないと伝えた」ことを明らかにした。

9月1日のUAE戦と5日のタイ戦は、新しくGKコーチに就任したエンヴェル・ルグシッチ氏が、同じくGKコーチの浜野征哉氏とJリーグを視察して決めたため“国内組”からの選出になった。しかしながら最終予選では、所属チームでスタメンという新たなハードルを突きつけられた。GKという特殊なポジションの性質上、かなり高いハードルだ。

このまま欧州に留まって正GKのチャンスをうかがうのか。それとも国内復帰を視野に3度目のW杯出場を目指すのか。いままさに川島はサッカー人生の岐路を迎えている。

【日本蹴球合同会社】