9月初めに1年5カ月ぶりに日中首脳会談が開催される見通しだ。経済界の大型訪中団が派遣されるほか、日中の有識者約200人が出席する「東京北京フォーラム」が、東京で開催される。日中関係の打開への期待が広がっている。資料写真。

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岸田文雄外相は日中韓外相会議出席のため来日中の中国の王毅外相と8月24日に会談、9月4日から中国で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際に、安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談を調整することで一致した。実現すれば1年5カ月ぶり。

9月には経済界の大型訪中団が派遣されるほか、日中の有識者約200人が出席する「東京北京フォーラム」が、東京で開催される。ぎくしゃくした日中関係の打開への期待が広がっている。

日本洋画界の重鎮だった梅原龍三郎の名画「北京秋天」。高く青く澄んだ空が広がり、北京の秋空を鮮やかに描き出している。昨今は大気汚染で曇る日もあるが、北京では秋が最高の季節。日中国交正常化につながった田中角栄元首相訪中はじめ各種交流イベントはこの時期に集中している。

大企業のトップらで構成する日中経済協会(会長・宗岡正二新日鉄住金会長)は、経済界大型訪中団を9月20日から24日まで派遣する。経団連の榊原定征会長、日本商工会議所の三村明夫会頭ら大企業トップが参加。習近平国家主席か李克強首相との会談が実現する見通しだ。総勢200人以上となる見込みで、北京での日程後、地方視察も予定されている。日中経済協会は1975年以来、毎年ほぼ欠かさず訪中団を派遣。今回で42回目となる。

筆者は1987年9月、日中経済協会の中国訪問団の同行記者として斎藤英四郎経団連会長(当時)ら100人余りの経済界トップとともに中国入りした。中国産業界要人や中国人民銀行(中央銀行)首脳などを取材、知られざる中国経済の実態を記事にした。人民大会堂の貴賓室で、次期首相の李鵬氏に抱負と政策方針を取材することもできた。同氏は「日本と中国の経済交流の必要性」を何度も強調していた。30年近く前で、中国では改革開放路線がスタートしたばかり。北京でも高層ビルは少なく、車よりも自転車で溢れ、抜けるような空が広がっていた。

その後も日中間は蜜月が続き、残留孤児を主人公に描いた小説「大地の子」(山崎豊子著)のNHKドラマが視聴者の感涙を誘ったのは記憶に新しい。日本と中国は、貿易が急拡大し、日本企業の工場進出ブームが到来するなど切っても切れない関係となった。

ところがその後、首相の靖国神社参拝問題や尖閣諸島をめぐる領土問題などで日中間は一気に冷え込み、対立の火種が燻っている。

杭州G20サミットや経済界訪中団に続き、9月27、28日には、日中の有識者約200人が出席する「東京北京フォーラム」が、東京で開催される。2005年以来、東京と北京で交互に毎年開催されており、「不戦の誓い」で合意するなど、両国の平和友好と経済発展を推進する原動力となっている。筆者も第1回からほぼ毎年参加しているが、本音ベースで諸問題を話し合うこのフォーラムは、日中関係の打開に貢献している。

このほか、9月から11月にかけて、政財言論界から観光・学生交流まで多くの使節団が日中間を行き来する予定。この種の交流と対話の積み重ねが重要である。近接する2大経済大国である日中は「争えば傷つき、和すれば利する」関係であり、「小異を捨てて大同につく」ことを優先するべきであろう。(八牧浩行)