『デスノート』シリーズの続編『デスノート Light up the NEW world』は10月29日に公開。今回は2部作ではない

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『ちはやふる』『64-ロクヨン-』…
大作映画で“大流行”の前後編2部作方式

近年増加傾向にある前後編2部作。今年も『ちはやふる』(日本テレビ)、『64-ロクヨン-』(TBS)が公開され、来年も『3月のライオン』が2部作での公開を発表している。
2部作映画の勃興は『デスノート』から始まった。06年に公開され、前編が興収28.5億円、後編が52億円。製作にあたった日本テレビでは後編の公開直前に前編をテレビ放映。それまでは、映画のテレビ放映は公開してから1年後というのが業界ルールだったため、公開からわずか5ヵ月後の放映はテレビ業界で物議を呼んだが、興行収入は2倍近い伸びを見せた。この『デスノート』の大成功をきっかけに2部作が増えていった。

【2部作映画の主な興収】
『のだめカンタービレ 最終楽章』(09年・10年)41億円+37.2億円
『GANTZ』(11年)34.5億円+28.2億円
『僕等がいた』(12年)25.2億円+17.2億円
『劇場版 SPEC〜結〜』(13年)27.5億円+20.6億円
『るろうに剣心』(14年)52.2億円+43.5億円
『寄生獣』(14年・15年)20.2億円+15億円
『ソロモンの偽証』(15年)2作とも10億円未満
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(15年)32.5億円+16.8億円
※3部作『20世紀少年』(第1章=08年・第2章と最終章=09年)39.5億円+30.1億円+44.1億円

2部作が増えていった理由としてまず挙げられるのは、原作となるコミックや小説が長い点だ。コミック全巻を映画化できるわけではないが、1本の映画にまとめるよりは2本の方が物語にメリハリをつけて映画化しやすい。2部作公開が前提であれば巨額の製作費を投入でき、スケール感のある映画化が可能だ。また一気に撮影するため俳優のスケジュールを抑えやすい点もある。

「ヒット連発の2部作」だが、変化が見え始めたのが昨年の『ソロモンの偽証』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。『ソロモンの偽証』は中学校での自殺の謎を解き明かす裁判劇というシリアスな内容だったためか、2作とも興収は10億円未満と振るわなかった。2部作公開最大のリスクが「前編が大ヒットしなければ後編の興行が危うい」ことだが、『ソロモンの偽証』ではそのリスクが顕在化した。一方『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は前編が32.5億円を記録したものの、後編は半分程度の16.8億円。こちらは前編の評判が芳しくなく、それが後編の興行に影響したようだ。

ちなみに、上記の2部作の配給元は『ソロモンの偽証』(松竹)を除き全て東宝。製作元は東宝をはじめ、日本テレビ、フジテレビ、TBSとさまざまだが、「大作は東宝配給がヒットしやすい」といわれており、2部作を作る会社は東宝に配給を任せたがるようだ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。