Doctors Me(ドクターズミー)- 薬と性機能の密接な関係...抗うつ剤で引き起こる「性機能障害」

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近年ではこころの病気によって抗うつ剤を服用しているかたも増えているのではないでしょうか。
薬による治療はうつ病改善の第1歩ですが、気をつけていただきたいのが副作用の1つである「性機能障害」です。

なぜ抗うつ剤で「性機能障害」を引き起こしてしまう可能性があるのか、対処方法はどうすれば良いか、薬剤師である吉澤先生に解説していただきました。

なぜ抗うつ剤で性機能障害が起きる?

私たちの脳や精神は、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンといった神経伝達物質が 正常に働くことで健やかに保たれています。

しかし、この神経伝達物質が不足すると脳のバランスが崩れうつ病になります。

ここで抗うつ剤を服用すると、以下のような理由で精力低下、性機能障害が引き起こります。

セロトニン2受容体を刺激


抗うつ剤は、セロトニン2受容体を刺激しセロトニンを増やします。しかし、このセロトニン2受容体刺激作用が性力低下や性機能障害の原因となります。

神経の抑制


増えたセロトニンがドパミンやノルアドレナリン系の神経を抑制するように働くことも精力低下や性機能低下の原因となります。
その理由は、ノルアドレナリン系神経の抑制により抹消血管の調節がうまくいかなくなり、勃起するために必要な陰茎への血液の集中が十分に行われなくなるため勃起障害となります。

女性ホルモンの分泌


ドパミンはプロラクチンというホルモンと関係しています。ドパミン系の神経を抑制するとプロラクチンが増加します。
プロラクチンは、女性の母乳を出すホルモンです。男性でもプロラクチンは分泌されており増加すると性欲低下の原因になります。

精力低下や性機能障害を引き起こす抗うつ剤の種類

副作用には個人差もありますので言い切ることはできませんが、性機能障害は抗うつ剤全般にみられます。

その中でも性機能障害が起こりやすい薬は以下になります。

■選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)

■セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)

SSRIは、特にセロトニンだけを選択的に増やす作用に優れ、SNRIは、セロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やすので、性機能障害が起こりやすくなります。

抗うつ剤以外にも、精力低下や性機能障害を引き起こす薬

■ステロイド
■降圧薬
■潰瘍治療薬
■禁煙治療薬

性機能障害が出たら、主治医に相談しよう

躊躇せずに主治医に相談してください。

うつ病の治療は時間を要しますので、もし薬による性機能障害により生活に影響がある場合は、主治医に相談することで副作用を配慮した処方内容に変えるなどの治療方針を見直すことも可能でしょう。

また、性機能障害に限らず、抗うつ剤服用に伴う副作用は、服用を継続し薬に体が慣れることで軽減することもありますのでパートナーとの関係性などに問題がないのであれば治療を優先し様子を見ても良いでしょう。

しかし、希望があれば、抗うつ剤との併用に問題なければED治療も行えますので主治医に相談してください。

吉澤先生からのアドバイス

性機能障害が起こる原因は複雑で必ずしも薬の副作用が100%の原因とは言えません。

うつ病の治療中であれば、性的興味が薄れることも症状の一つとも考えられます。
典型的なうつ病であれば、いろいろな物事への興味が薄れ、食欲も落ち、性的興味も低下します。

抗うつ剤は性機能障害の副作用が多い薬ですが、うつ病の症状と重なっている可能性もあります。

パートーナーとの関係性などに問題がないのであれば治療を優先することも一つの選択かと思います。

(監修:薬剤師 吉澤恵理先生)