ロシア・ワールドカップに向け、いよいよアジア最終予選に挑むハリルジャパン。指揮官は「(初戦のUAE戦が行なわれる)埼玉を満員にして良い雰囲気を作ってもらい、試合後に勝利を祝いたい」と意気込みを語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 8月25日、日本協会はロシア・ワールドカップ・アジア最終予選(第1節:UAE戦、第2節:タイ戦)に挑む日本代表のメンバー24名を発表した。

【日本代表PHOTO】アジア最終予選に向けた日本代表メンバー24人
 
 日本はまず9月1日にホーム(埼玉)でUAEとの初戦を迎え、5日後の同6日にはアウェー(タイ/バンコク)でタイと対戦する。
 
 メンバー発表に先立ち、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「厳しい戦いが始まります」とその心構えを口にし、「強い決意と勇気を持って、最終予選を勝ちに行くという野心を持っています」と意気込みを語った。
 
 24名のメンバーの内訳をポジション別に見て行くと、GKが3人、DFが8人、MFが6人、FWが7人。以下、基本システムの4-3-3に沿って、各セクションの序列を考察していく。
 
【GK/3人(欧州組0人 国内組3人)】
◎西川周作(浦和)/○東口順昭(G大阪)/△林 彰洋(鳥栖)
 
 林は今年の3月シリーズ(2次予選のアフガニスタン戦、シリア戦)以来の招集だが、指揮官が「頻繁に呼んでいる3人です。彼らとは常にコンタクトを取り続け、信頼しています」とコメントしたように、順当な顔ぶれが並んだ。
 
 正守護神は、ハリルジャパンの計17試合で最多10試合に先発フル出場を果たしている西川で決まりだろう。実績はもちろん、2次予選での貢献度(8試合中6試合に先発フル出場)を考慮しても、その座は揺るがない。
 
 これに東口、林が続く形だが、よほどのことがない限り、今回も2試合とも西川がゴールマウスを守るに違いない。第2ステージでは精度の高いフィードで、2試合連続アシストを記録するなどハイパフォーマンスを披露。攻撃面でも頼りになりそうだ。
 
 今夏にフランスのメスに新天地を求めた川島永嗣の落選について、ハリルホジッチ監督は「昨日、電話で話をしました。労働許可証が十分に揃っていないということではありましたが、(クラブで)先発で出られなければ、この3人にも入れないという状況です」とメンバー外にしたその理由を明かしつつ、クラブでの奮起を求めた。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【DF/8人(欧州組5人 国内組3人)】
CB:◎吉田麻也(サウサンプトン)/◎森重真人(FC東京)/○昌子 源(鹿島)/△槙野智章(浦和)
 
 キリンカップからは、丸山祐市(FC東京)が外れ、同大会では左SBで招集されていた槙野がCBとして“復帰”した以外、お馴染みの面子が揃う。23歳の昌子も3月シリーズ、キリンカップに続き、メンバーに名を連ねた。
 
 その3月シリーズとキリンカップの計4試合すべてで先発した吉田&森重は盤石のコンビ。指揮官から厚い信頼を寄せられていることに変わりはない。
 
 一方、ハリルホジッチ監督は会見の冒頭で、「我々のなかにすでに困難が含まれています。15分前に良くないニュースを受け取りました。リストに載っていた選手が怪我をしたのです」と、槙野の怪我を明かしている。今週はクラブでの練習で別メニュー調整が続いていたようで、「検査をしたのですが、結果は良くなかったそうです」とのことだ。
 
 まずはメディカルチェックを行ない、その結果を受けて今後の対応を決めるようだが、「槙野はパフォーマンスが良くなってきたところだったので、残念」とハリルホジッチ監督も悔しさを滲ませていた。
 
 槙野がコンディションを崩しているため、CBの3番手には若い昌子が浮上しそうだ。今季の鹿島の第1ステージ優勝に大きく貢献するなど、その成長ぶりには目を見張るものがある。
 
右SB:○酒井宏樹(マルセイユ)/○酒井高徳(ハンブルク)
左SB:◎長友佑都(インテル)/△太田宏介(フィテッセ)
 
 内田篤人(シャルケ)が依然、膝の負傷で不在のなか、“ダブル酒井”が右SBで熾烈なポジション争いを展開中。攻撃センスに秀でる酒井宏か、攻守のバランス感覚に優れる酒井高か。高いレベルでそれぞれの持ち味をピッチ上で表現しているが、ライバルを突き放すだけの抜きん出た“なにか”が足りないのも事実。ハリルホジッチ監督もこれまでの起用法から、ファーストチョイスを決めかねている印象だ。
 
 左SBは、長友が君臨。バックアッパーとして、太田が昨年の東アジアカップ以来、約1年ぶりの復帰を果たした。UAE、タイとの対戦を見据え、指揮官は「今回は左利きが必要かと思いました」と再招集の理由を述べる一方で、「試合に出すかは、様子を見ます」と、起用には慎重な構えを見せていた。
 
 なお、リオ五輪にオーバーエイジとして参戦していた塩谷司(広島)、藤春廣輝(G大阪)は招集外。川島とは異なり、ハリルホジッチ監督がふたりには一切触れなかったことを考えると、両者は厳しい立場に置かれていることが窺える。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【MF/6人(欧州組3人 国内組3人)】
ボランチ:◎長谷部誠(フランクフルト)/◎柏木陽介(浦和)/○山口 蛍(C大阪)/△大島僚太(川崎)
 
 UAE戦に出場すれば、代表通算100試合目を達成する長谷部について、ハリルホジッチ監督は「(試合に)勝てば、良いプレゼントになりますね。彼は模範となる選手で、真のキャプテンだと思っています」と手放しで称賛。現体制下では最も代えの利かないコアメンバーであるのは間違いない。
 
 長谷部の控えには、リオ五輪代表のキャプテンである遠藤航(浦和)は選外となり、山口が入った。ブンデスリーガのハノーファーから古巣のC大阪に復帰したことに、指揮官は「まったく喜んでいません」と厳しく批判したが、「良い選手を手放すことはできない。蛍のようにしっかりボールを奪える選手はなかなかいません」と、その能力は高く評価しているようだ。
 
 2ボランチの組み合わせでは「相互に補完し合える関係性」(ハリルホジッチ監督)がベースとなるなかで、長谷部、山口が守備タイプなら、主に攻撃面を司る一番手は、柏木だろう。長短を織り交ぜた配球力を武器に、チームをオーガナイズする力は国内トップレベルと言っていい。
 
 柏木のバックアッパーとしては、リオ五輪でも際立つ活躍を見せた大島が台頭しつつある。狭いエリアでも正確にボールを扱い、パスを通せるスキルは、引いた相手に対しては効果的だろう。
 
トップ下:◎香川真司(ドルトムント):○清武弘嗣(セビージャ)
 
 甲乙つけがたいふたりではあるが、これまでのA代表におけるキャリアを踏まえれば、香川がリードしているのは明らか。エースナンバーを背負う男は、ドルトムントでは8月22日のドイツカップ1回戦で2ゴールと、状態はすこぶる良さそうだ。
 
 もっとも、香川と清武の差はわずかなもので、逆に考えれば、香川に不測の事態があったとしても、チーム力の大幅なダウンは避けられる。
 
 限りなくレギュラーに近い実力者の清武だが、トップ下ではなくとも、左ウイングでの起用も十分にあり得る。切磋琢磨するふたりの“共存”も、今予選の見どころのひとつだ。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【FW/7人(欧州組6人 国内組1人)】
CF:◎岡崎慎司(レスター)/○武藤嘉紀(マインツ)/△浅野拓磨(アーセナル)
 
 岡崎が不動の存在であることに異論はないだろう。レスターではリーグ2戦目のアーセナル戦で今季初先発を飾り、精力的なハイプレスなど持ち味のタフでアグレッシブなプレーでまずまずの働きぶり。コンディションは徐々に上がってきており、絶対的な得点源として活躍してくれるはずだ。
 
 2番手争いでは、武藤が怪我から復帰し、そのライバルとして、当初は金崎夢生(鹿島)がリストに入っていたという。
 
 しかし、金崎は第2ステージ9節の湘南戦で途中交代を告げられると、石井正忠監督との握手を拒否し、不満をぶつけるなど怒りを爆発させた。この振る舞いに、ハリルホジッチ監督は「彼の態度は受け入れがたい。このような行動をとるとA代表には入れません」とメンバーから除外。「UAE戦に集中している。金崎の今後についてはまったく考えていません」と冷たく突き放した。
 
“懲罰選外”となった金崎の代役としてピックアップされたのが浅野だ。現状は、所属先のアーセナルからのレンタル移籍を模索しており、いわば“宙ぶらりん”の状態だけに、指揮官は「1試合目に使えるのかは分かりません」とするも、そのポテンシャルには大きな期待をかけているようだ。
 
右ウイング:◎本田圭佑(ミラン)/○小林 悠(川崎)
左ウイング:◎宇佐美貴史(アウクスブルク)/○原口元気(ヘルタ・ベルリン)
 
 右ウイングは、それぞれの所属クラブでのパフォーマンスだけを見れば、ミランの開幕戦で出番のなかった本田に対し、Jリーグで首位を走る川崎で7試合連続得点をマークした小林とでは、コンディションに小さくない開きがある。
 
 とはいえ、いくら本調子ではないといえども、本田の牙城は揺るがない。ここ一番の重要なゲームでは無類の勝負強さを発揮するだけに、スタメンは確実だろう。
 
 左ウイングは、ボランチやSBでも計算できるなど、使い勝手の良い原口より、現政権下で最多出場試合数(17試合中16試合に出場)を数える宇佐美のほうが優先順位は上と見る。ただし、トップ下と同様、宇佐美と原口の実力も僅差で、ここに、トップ下の項で触れた清武が絡んでくれば、左ウイングはチーム一の激戦区になりそうだ。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)