埋められた後だったとしたら…(写真はイメージ)

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埼玉県東松山市で井上翼さん(16)が河川敷に一部埋まった状態で見つかった殺人事件は、その残酷な犯行状況が明らかになりつつある。

井上さんが殺害されたとみられる2016年8月22日は、台風9号が関東に上陸し、朝から大雨となっていた。

台風9号の影響で水位が3メートルも上昇

事件現場となった都幾川の河川敷は、この日夕には、川の水位が通常時より3メートルほども上昇し、茶色い濁流に飲み込まれた。この時点で、氾濫危険水位にまで達していたという。

各メディアの報道などによると、井上さんはこの日、複数の少年たちに河川敷で暴行されたという情報が出ている。少年の1人がこの様子を携帯カメラで撮っており、井上さんが増水した川を全裸で泳がされたとみられる映像もあったという。

井上さんは翌23日朝、下半身と上半身の左側が埋まった状態で見つかった。このときも衣服は身に着けていなかった。顔などの皮膚数か所が変色していたともいうが、死因は溺死だった。

その後、井上さんの知人の無職少年(16)が父親に付き添われて警察に出頭し、埼玉県警は25日に殺人の疑いで少年を逮捕した。調べに対し、「ウソを付いたり、メールや電話を無視したりしたので殺した」と供述しているという。県警では、さらに10人以上から事情を聴いているとも報じられている。

井上さんは、県内の定時制高校を15年11月に退学した後は、コンビニでアルバイトをするなどしていたという。そのころから、地元の不良グループと遊ぶ姿が度々目撃されるようになっている。しかし、井上さんは、グループ内で使い走りをさせられ、腕にはタバコの火を押し付けられたようなヤケドの跡もあったという。

15年に川崎市で起きた中1殺害事件を想起

井上翼さんと不良グループを巡っては、女性関係のトラブルやバイクの貸し借りによる金銭問題があったとの話も出ている。

では、井上さんは、どのようにして溺死させられたのだろうか。

少年たちのラインのやり取りでは、「暴行して死亡した後、河川敷に埋めた」といった書き込みがあったという。もしそうなら、泳ぎが得意でないという井上さんが、暴行の中で増水した川を無理矢理泳がされて溺れたりした可能性がある。

一方、少年らの間では、生きているのを確認して下半身が水に浸かった状態で放置したという会話もあったとする報道もあり、もしそうなら、井上さんは生きたまま河川敷に埋められ、増水した川で溺れたことにもなりかねない。

ほかにも、井上さんが溺死後に放置され、水流で砂利などに埋まった可能性も考えられる。

この事件は、15年2月に多摩川の河川敷で起きた川崎市中1男子生徒殺害事件を想起させるとの声も多い。容疑者の少年らがこの事件をまねたかどうかはまだ分かっていないが、残酷な犯行状況であることは共通している。