第53味 インド
GDP成長率が2年連続で7%台を達成。地味ながらも改革が進むインドのモディ政権

改革遅行でネガティブな見方が増えるモディ政権。その打開策はあるのか

中国の景気減速懸念が浮上して以来、かなりの時間がたっていますが、その一方で注目を集めているのがインドです。インドのGDP(国内総生産)成長率は2年連続で7%台を達成していて、ここ数年は中国よりもインド経済のほうが元気な印象です。

インドの強みとして挙げられるのが、生産者年齢(15〜64歳)人口です。「巨龍・中国と巨象・インド」という言葉の通り、共に人口大国ではありますが、中国はすでにこの生産者年齢人口が減少し始めていて、一方のインドでは2040年まで増加傾向が見込まれています。また、活発に消費を行なう年齢層でもあるため、生産と消費の両面で経済成長に寄与しそうです。

また、インドのもうひとつの強みが、中国との関係です。多くのアジア諸国は貿易などの経済面において中国との関わりが深い傾向にあります。たとえば、2015年の中国向けの輸出比率は、韓国が約 25 %、マレーシアやタイ、インドネシアでも 10 %を超えていますが、インドの場合は3・5%と低い状態です。中国依存度が低い分だけ、中国経済鈍化の影響を受けにくいともいえます。

ただし、大胆な改革期待を背負ったインドのモディ政権が発足してから3年目を迎えていますが、誕生当時の期待が大きかった分、改革のピッチが遅いと評価され、現在のモディ政権に対してネガティブな見方や報道が増えているのも事実です。さらに、インド経済を金融面で支えてきたラジャン中央銀行総裁が今年9月での退任を表明したことも、警戒要因として浮上しています。

とはいえ、直近のインドの州議会選挙では相次いで与党が勝利し、インド上院での与党議席数が野党を逆転しました。これによって改革がグッと進めやすくなり、モディ政権の構造改革のひとつである「破産・倒産法」が成立しました。この法律は、企業などの破産や不良債権の処理をスムーズにするというものですが、これにより金融システムの強化につながり、銀行の健全化や貸し出しの増加などが期待されます。

そして、以前にも取り上げたことのあるGST(物品・サービス税関連)法案も8月中旬までに開かれる国会で成立しそうな勢いです。GST法案とは、複雑な間接税を全国的に統一することを目的としたもので、モディ政権最大の改革の目玉です。この法案成立でGDP成長率を約1%引き上げるともいわれています。

インドの改革は地味ながらも着実に進んでいると判断してよさそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10月より現職。
ネット証券隨一の中国マニアのテクニカルアナリスト。
歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。