実の親から虐待を受けていた影響か、里親候補である美奈(尾野真千子)&信次(江口洋介)夫婦の家にやってきても、ちょっと前まで一言もしゃべらず、笑顔も見せたことがなかったハジメくん(横山歩)。


しかし第4話でようやく言葉を発し、第5話で笑顔を見せてくれたハジメくんが、第6話では幼稚園へと入園するのだが、そこでもなかなか心を開けない……かと思いきや、メチャクチャしゃべるし笑顔も見せまくり!

その上、心に色々と問題を抱えていそうだった状態がひっくり返り、いい子過ぎる神童のような状態になってみんなを救いまくるという、『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系・木曜21:00〜)第6話は、ハジメ無双の回でした。

ハジメくんが覚醒したー!


そんなハジメくんの、幼稚園での第一声がコレ。

「はじめまして梅田ハジメです。みんなに愛していますって言いたいです」

……大人すぎる! そんなこと言う5歳児(推定)いるか!?

さらに、幼稚園でいじめを目撃したハジメくんは、止めようとしていじめっ子を押し倒すという聖人っぷりを見せつけてくれた。

しかし信次はトラブルを恐れ、いじめっ子の親に電話をして謝罪。そんな姿を見ていたハジメくんは、

「僕は悪いことをしたの? じゃあ何で謝るの?」

「僕は間違ってるの? お母さん?」

「じゃあ僕はどうすればいいの? また同じ事があったらどうすればいいの?」

と、ザ・正論を連発して美奈&信次を追い詰めていくのだ。

実の親から虐待&育児放棄されていたせいで心を閉ざしていたけど、本当は賢い上に純粋な心を持ったいい子なんですよ〜! ……という表現なのかなとは思うが、ちょっと利口すぎるよ、この子!

第5話でも「愛って何?」「幸せって何?」などと、ド直球な質問をぶつけて美奈&信次を困惑させていたが、そこからさらに知能指数が急上昇した感がある。

『ドラゴンボール』において孫悟空が、通常サイヤ人→超サイヤ人に変身することによって、戦闘力がズドーンと急上昇したように、まさに「ハジメくんが覚醒したー!」という感じだ。

ホントに最終回(打ち切り)かと思うような展開でした


いじめ問題も結局、ハジメくんがいじめっ子たちと一緒にピアノを弾きながら、

「この世界には綺麗な物がいっぱいあるんだよ。僕のお父さんとお母さんが教えてくれたんだ。それなのにどうしてみんな喧嘩するの? どうしてみんなで仲良く歌を歌わないの?」

と、熱く語ることによって解決した。

神童っぷり、ここに極まれり!

しかもハジメくんのピアノ&演説で救われたのはいじめ問題だけではない。

妊娠してしまった彼女に中絶手術を進めていたクズっぷり全開な、信次の弟も、ハジメのピアノを聴いて「こんな自分にも何かできるんじゃないか」と希望を持った。

アル中で入院中の、信次の母親もウイスキーを捨てた。

教育ママすぎる信次の妹も、そんな母親に反発して登校拒否状態になっていたその娘も心を入れ替えた。

そしてなぜか美奈も、メチャクチャ折り合いの悪かった自分の父親と和解。

大物音楽家である美奈の父親が一発で「この子はピアノの才能がある!」と見抜いたハジメくんの演奏は、それだけ人々の心を突き動かす力があるということなのだろう。

……いくらなんでもピアノ一発で色んな問題が解決しすぎで、ちょっと打ち切り漫画の最終回のような展開だったけど(視聴率で苦戦しているらしいし、ホントに打ち切りかと思ったよ!)。

やっぱり安心させてくれない遊川脚本


ハジメくんが覚醒してメチャクチャいい子になり、周囲の人たちの問題も全部解決しちゃって、これから幸せな展開しか考えられないよ、どうするんだこのドラマ?

なんて思っていたのだが、さすが遊川和彦の脚本。視聴者を安心させてくれない。

ハジメくんの、実の母親だと名乗る人物(富田靖子)が登場して、息子を帰して欲しいという展開に! そうきたか。

ハジメくんが閉じ込められていたアパートがメチャクチャボロくて汚い部屋だったので、「貧しさに負けた」系の児童虐待だったんだろうと想像していたのだが、実の母親は黒塗りベンツ(おそらく運転手つき)に乗って登場という、明らかに金を持っていそうな雰囲気プンプン。

働かない夫に愛想をつかして離婚。子どもを置いて家を飛び出して、何だかんだで金持ちと再婚して、生活に余裕が出来たから迎えに来た……みたいなパターンなんだろうか?

富田靖子がまた、生活に疲れていそうな不幸オーラと、上品な金持ち感の両方ただよう絶妙な表情をしているのよ。

しかしそれ以上に気になったのが、実の母親が「ヒカリ?」と、おそらくハジメくんの本名で呼びかけていたこと。

同じ遊川和彦脚本のドラマ『○○妻』(2015年)の主人公も「ひかり」という名前だった。放送時期も近いドラマで同じ名前を使うなんて、何か意図があるのだろうか?

ちなみに『○○妻』の方のひかりは、育児放棄をして自分の子どもを死なせた過去があるというキャラクター。

育児放棄されていたハジメくんとは立場が逆だが、ここもリンクしている。

近年の遊川和彦、最大のヒット作『家政婦のミタ』の主人公は「三田灯(あかり)」だったということで、単に「光」関係の名前が好きなだけなのかも知れないが、この辺も注目していきたいところ。

美奈が「完璧な世界」と思うほど幸せいっぱいだった状態が、実の母親登場で一気に崩れてしまいそうな第7話。まだまだボクらの心を振り回してくれそうだ。
(イラストと文 北村ヂン)