■連載/阿部純子のトレンド探検隊

昨年末にオープンした、地方の魅力を体験できる浅草の商業施設「まるごとにっぽん」にて、3階「Event space おすすめふるさと」に出展している11市町村が参加し、各市町村が独自にレシピを開発したご当地カレーの味や独創性を競うイベント「まるごとにっぽん ふるさとカレーグランプリ」が開催された。

個性豊かなご当地カレーが揃った「ふるさと カレーグランプリ」初代グランプリは「足利マール牛カレー」に決定!

グランプリは事前に各ブロックに分けたトーナメント制で行われ、予選と決勝を合わせて5日間実施された。期間中、一般来場者にワンプレート500円の「カレーセット」を提供して試食の上お気に入りのカレーに投票し、最も投票数の多いご当地カレーをグランプリとして表彰。館内3階の「Café M/N」で期間限定メニューとして販売される。

個性豊かなご当地カレーが揃った「ふるさと カレーグランプリ」初代グランプリは「足利マール牛カレー」に決定!

◆予選1日目〜浜松、呉、柳川、菊池

○<静岡県浜松市>井伊の赤備えカレー

浜名湖で採れた「浜名湖アサリ」をたっぷり使ったカレー。浜松の酒米を100%使用し、市内の酒蔵で作った日本酒で酒蒸しにしたアサリの出汁でルーを作っている。具材には、来年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の「赤」を意識してトマトを使い、旬の野菜をトッピング。

<静岡県浜松市>井伊の赤備えカレー

○<広島県呉市>呉カキフライカレー

カキの生産量日本一の広島県呉市。旧海軍ゆかりの街に受け継がれているカレー文化が根付く呉市で、カキの魅力をもっと知って欲しいと、カレー専門店をオープンしたオーナーが作った特製カレー。地元で採れた濃厚なカキを味わってもらうため、シンプルにフライにしてトッピングしている。

<広島県呉市>呉カキフライカレー

○<福岡県柳川市>柳川黄金博多和牛カレー(⇒決勝進出)

福岡県内で、稲わらを主食に育てた黒毛和牛ブランド牛「福岡和牛」を、市内の精肉店「清柳食産」が厳選した、スネ肉、肩肉、スジ肉、ランプなど様々な部位を使用して作った、お肉屋さん特製カレー。地元のまかない飯グランプリでも優勝経験があり、「博多和牛」のうまみのある良質の脂が、カレーの周囲に黄金色に彩られることからこの名がついた。

<福岡県柳川市>柳川黄金博多和牛カレー02

○<熊本県菊池市>モォ〜♥あなたにめろんめろんカレー

菊池市特産の「七条メロン」を使った見た目にもかわいらしいカレー。メロン果汁の水分のみを使いスパイスを合わせてルーを作った、さわやかな甘みのあるカレーに仕上がっている。具材にはお米を食べて育つ菊池市のブランド牛「えこめ牛」がたっぷり入り、トッピングには、水田で育てた特産品の「水田ごぼう」の素揚げと、メロンの赤ちゃん(摘果)で作った「きくちピクルス」を添えている。メロンのさわやかな甘さとスパイスの絶妙なバランスが楽しめる一皿。

<熊本県菊池市>モォ〜 あなたにめろんめろんカレー02

◆予選2日目〜鷹栖、村山、薩摩川内

○<北海道鷹栖町>あっ『タカス』ープ牛カレー

ふるさと納税でも人気のブランド牛「鷹栖牛」と、鷹栖町で収穫されたとうもろこしなどの新鮮な野菜を使用したスープカレー。6月に東京初進出を果たした町内で人気の北海道ラーメン店「らーめん鷹の爪」のスープも贅沢にも使用。コクとうまみのある一皿。

<北海道鷹栖町>あっ「タカス」ープ牛カレー

○<山形県村山市>あなたのそばに、そばカレー

村山市の特産品であるそばの実を具材としてふんだんに使用。しょうゆベースのカレーに、ゆでたそばの実と、合鴨の肉、ぶつ切りのねぎを加えている。山形県でよく食べられている芋煮では、最後にカレールーを入れてしめにすることも多く、地元らしさも演出した。和風の香ばしい香りが特徴のカレーに仕上がっている。

<山形県村山市>あなたのそばに、そばカレー

○<鹿児島県薩摩川内市>てうちんカレー(⇒決勝進出)

薩摩川内市の下甑島(しもこしきじま)に、今年4月にオープンした人気のレストラン「てうちん浜や」のオリジナルカレー。下甑島沖の深海で獲れるプリプリとした食感と甘みが特徴の「タカエビ」を使ったエビフライと、下甑島で収穫されたたまねぎやトマトを使用した、島の恵みがたっぷり詰まった一皿。

<鹿児島県薩摩川内市> てうちんカレー

◆予選3日目〜足利市、筑西市、姫路市・播磨圏域、豊後大野市

 記者は予選3日目の試食に参加。この日は4つのカレーが提供された。個性的なカレーが揃ったが、各カレーの感想もあわせて紹介する。

個性豊かなご当地カレーが揃った「ふるさと カレーグランプリ」初代グランプリは「足利マール牛カレー」に決定!

○<栃木県足利市>足利マール牛カレー(⇒決勝進出)

市内のワイナリーから出るぶどうの搾りかす「マール」を食べて育った「マール牛」を贅沢に使ったカレー。足利市は“麦の里”と言われるほど、大麦の生産量が多いことでも有名で、地元で採れる中力粉を使い食物繊維が豊富な、とろりとしたルーに仕上げた。また、野菜ブランド「足利美人」のアスパラガスと、福神漬け代わりに足利産のショウガをトッピング。

<栃木県足利市>足利マール牛カレー

【AJの味見】スープカレー全盛の中で、とろみのあるルーで食べ応えのあるカレーらしさに好感。個人的にはかなり好みの味だ。他のカレーと並べてみると濃い色だがまろやかで甘みがあり、万人受けする日本人好みのカレーだと思う。

○<茨城県筑西市>爆筑カレー/BAKUCHIKU

筑西市を「ちくせい」と正しく呼んでもらうため、爆竹から連想して、爆弾のような形の「爆筑カレー」を考案。筑西市のブランド豚「キングポーク」とにんじんなど筑西産の野菜をキーマカレーにして、ライスコロッケのように球体で表現。ソースには筑西産トマトで作った100%ジュースを使用。見た目もおいしさもインパクト大の一品。

<茨城県筑西市>爆筑カレー

【AJの味見】試食では小皿に盛られた状態だったため、フルバージョンで味わえなかったのが残念。コロッケ自体がキーマカレーのライスコロッケで、こちらは単品として食べてもとてもおいしい。フルバージョンではライスとトマトソースが加わるが、カレーというより洋食のカテゴリー?

○<兵庫県姫路市・播磨圏域>『豊穣の国・はりま』家島えびカレー

瀬戸内海に浮かぶ家島にある、県立家島高校の学生が地元の漁協の方々と一緒に考案した一品。カレー甲子園で3位に入賞した地元のエビを、「豊穣の国・はりま」の野菜を使ってバージョンアップしたカレーに仕上げた。播磨の大地が育んだ野菜と、瀬戸内海の海の幸をふんだんに使ったシーフードカレー。

<兵庫県姫路市・播磨圏域>豊穣の国・はりま 家島えびカレー

【AJの味見】エビがたっぷりと入っていて、皿を近づけただけでエビの香りが立つ。さらっとしたスープカレーで、最初に口に含んだときはエビの甘さが広がり、後からスパイスの辛みが加わる。シーフードカレーが好きにはぜひおすすめしたい一品。

○<大分県豊後大野市>大分の野菜畑ぶんごおおの まるごとピーマンカレー

豊後大野市のピーマン生産量は、市町村単位では日本で2位、西日本1位を誇る。市内で活動している「ぶんごおおの野菜ソムリエクラブ」のメンバーが、ピーマンをペーストにした緑色のルーが特徴のレシピを考案。トッピングには豊後大野市特産のしいたけや、ピーマンを盛りつけて、ルーにはうまみとコクのある「豊のしゃも」を使用。苦味の少ない種類のピーマンを使うことで、ピーマン嫌いの子どもでも食べやすい一皿に仕上げている。夏らしく冷たいカレーとして提供。

<大分県豊後大野市>大分の野菜畑ぶんごおおのまるごとピーマンカレー

【AJの味見】緑の外見もインパクトがあるが、食べてみるとピーマンの味が濃いスープ感覚のカレー。野菜ソムリエが考案しただけあって、ピーマンの緑と野菜の彩りが美しく、見た目にも楽しめる。今回は冷たいカレーとして提供されたが、カレーというよりビシソワーズのようで、とくに女性には喜ばれそうだ。

◆初代グランプリは栃木県足利市の「足利マール牛カレー」

 3日間の予選で勝ち抜いた中から、見事初代カレーグランプリに輝いたのは、記者も一票を投じた栃木県足利市の「足利マール牛カレー」。特別賞には「大分の野菜畑ぶんごおおの まるごとピーマンカレー」、地域未来賞には「『豊穣の国・はりま』家島えびカレー」が選ばれた。期せずして記者が試食した3日目のカレーから3品が受賞。得した気分になったのは言うまでもない。

 「足利マール牛カレー」は下馬評も高かったため、グランプリが決定する前に関係者にインタビューを行なった。マール牛を育てている「長谷川農場」と「大麦工房ロア」と共同出資し、地元で採れた農作物を販売している「つちのか」の取締役・上武 裕さんとの一問一答は以下の通り。「つちのか」では今回受賞したカレーのレトルト版「足利マール牛ゴロゴロカレー」(税別以下同・741 円)も販売している(まるごとにっぽん館内でも販売)。

個性豊かなご当地カレーが揃った「ふるさと カレーグランプリ」初代グランプリは「足利マール牛カレー」に決定!

Q・マール牛とは?

A・長谷川農場では500頭近くの国産牛を飼育している。生まれたときの体重は50kgほどだが2年8か月後の出荷時は800kgにもなる。肉として出荷する3か月前ほどが一番大事な仕上げの時期で、大きくなるため動けなくなり食欲が落ちるので、その時期にマールと呼ばれるぶどうの搾りかすを使ったエサの甘い香りで食欲を促進させる。ぶどうの皮にはポリフェノールやビタミンが含まれ栄養価が高く、マールを大豆や大麦などの穀物の力を利用して発酵飼料を作りエサとして与えている。

 ぶどうの種の中に含まれるビタミンE が肉質や色味を良くし、甘みのあるおいしさが出るのがマール牛の特徴。国産牛は赤身がおいしいので、ビタミンEによってさらにおいしく仕上げて好評をいただいている。

Q・足利カレーの特徴は?

A・足利は二条大麦の産地だが、ほとんどビールの原料になるため一般にはあまり口に入らない。カレー粉には大麦を使用し特徴を出している。今の流行はスープカレーだが、足利カレーはとろみのあるカレー。最初は悩んだが、流行じゃなくても肉もたくさん入った、がっちりとしたカレーで行くことにした。

具材は肉だけで、トッピングとして長谷川農場で作ったアスパラをアクセントにしている。足利はショウガの産地でもあるので、紅ショウガを隠し味に使っている。アスパラは“肥料食い”と言われるほど肥料が必要だが、長谷川農場から出た牛のふんの堆肥を使っている。

長谷川農場の堆肥は良質で農家から引っ張りだこだが、その堆肥をふんだんに使って作り上げた。

 牛の飼料になるマールはワインを作るときに出た搾りかす、大麦は粒が小さいなどの規格外で出荷できないものを利用、アスパラの食べられない部分は牛のエサに使われている。循環型の生産方法で作った素材を使用した環境にも優しいカレー。

Q・グランプリ優勝への勝算はあるか?

A・見た目は地味なので不安だったが、他のカレーはお皿に盛って出したときは印象深いけれど、グランプリでは小さい器に盛っているので、見た目のインパクトはあまり左右されないように思える。肉の脂のうまみなど味の中身で勝負できるので、もしかしたら行けるのかなと。

◆「まるごとにっぽん」で買えるご当地カレー

「まるごとにっぽん」館内では、3階の「Event space おすすめふるさと」で、今回優勝した「足利マール牛ゴロゴロカレー」、決勝進出した「柳川黄金カレー」(1000円)、「そばカレー」(556円)などエントリーしたご当地カレーの一部商品が購入できる。同スペースにはその他の市町村の個性豊かなご当地カレーもあり、カレー好きならぜひチェックしたい。

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 また1階の食品専門館「蔵」にも全国各地のカレーを揃えたコーナーが設けられているのでこちらも要チェック。

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文/阿部 純子

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