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○安くなくても「許容範囲」ならよくないか?

夏がくるたびに筆者が思い出すのは、「エアコンはつけっぱなしの方が電気代が安い」という話だ。残暑厳しいこの季節、仕事を終えて帰宅した六畳一間はいつも蒸し風呂状態。外出中も常に冷房を入れておけば、買うものもないのにコンビニで涼んでからアイスクリームを1つ買って帰宅するような生活から抜け出せる。しかし、果たして本当にエアコンのつけっぱなしで電気代は安くなるのか? 以前ダイキン工業に話を聞きに行った際は、「ライフスタイルや環境により異なる」という結論が導かれた。それはそうだとうなずくしかない。

だが、実のところ、「電気代が安いかどうか」はさしたる問題ではないのである。エアコンをつけっぱなしにしていれば間違いなく室内の快適度は跳ね上がるはずであり、そのためなら、何も安くはなくとも「許容範囲内の電気代」であればそれでよい。そう思わないだろうか。

○1カ月の電気代は5,110円!

そこで筆者は、思い切って試してみることにした。7月1日の昼ごろにエアコンを28度の冷房・風量自動で運転開始し、本稿執筆時点の8月23日に至っても1度も停止していない。正真正銘の24時間つけっぱなしで1カ月以上生活したのだ。

気になる電気代は、5,110円(うち消費税相当額378円)! 使用量は214kWhだった。ちなみに検針日は8月2日、使用期間は7月4日〜8月1日の29日間となっている。

あいにく、今の部屋に暮らし始めてから1年たっていないので、1年前の料金と比較はできない。だが、2015年10月からの料金の推移についてはグラフを用意できるので、比べてみよう。

画像を見れば4月の料金が異様に高いことが分かるが、何があったのかはよく覚えていない。何があったんだろう……。

この電気代が高いか安いかの判断は読者諸賢に任せるとして、住宅環境やライフスタイルなど、詳しい情報をこれから説明していこう。

○住宅・生活のスペック総さらし

まずは筆者の住宅環境だが、箇条書きでまとめると下記の通りとなる。

■住宅環境
・間取り: 1K
・日当たり: 1面採光・南東向き
・専有面積: 約22平方メートル
・構造&規模: 重量鉄骨造・地上4階建て・3階部分(角部屋ではない)

次に、生活様式と使用電力会社についてまとめる。誰も知りたくないと思うが筆者の年齢と性別も書いておこう。

■生活様式
・年齢と性別: 24歳男性
・同居者: 一人暮らし
・平日: 週5日フルタイム勤務。8時30分出発・18時30分〜23時の間に帰宅
・週末: 土日のどちらかは半日程度外出
・就寝時刻: 平均で午前1時くらい
・電力販売事業者: 東京電力エナジーパートナー(従量電灯Bプラン)

エアコンについては、賃貸物件に備え付けのものだったので詳しくはわからないが、調べた限りのメーカーや型番は下記の通り。なお、使用前にフィルターを掃除している。余談だがエアコンのフィルター掃除は絶対に屋外で行った方がいいので、部屋にホコリをまき散らしたくない方は気をつけていただきたい。

■使用エアコン
・メーカー: 三洋エアコンディショナーズ(現・三洋電機)
・型番: SAP-FK28P
・製造年: 2004年

ここまで空調に関する情報を詳述してきたが、何も電気代の多寡を決定するのはエアコンだけではない。次に、エアコン以外に使用している電化製品についても記す。

■つけっぱなしにしている電化製品(カッコ内はメーカーと型番)
・デスクトップ型PC(DELL・XPS 8500)
・冷蔵庫(AQUA・AQR-16D)
・空気清浄機(Blueair・Blueair Classic 450E)
・サーキュレーター(アイリスオーヤマ・PCH-HD15-B)

■その他の電化製品(メーカーや型番は省略)
・テレビ
・電子レンジ
・炊飯器
・洗濯機
・ドライヤー
・電気シェーバー
・スピーカー
・Bluetoothレシーバー
・PS4
・Wi-Fiルーター&専用クレードル
・iPhone充電器
・シーリングライト
・台所用LED照明
・浴室用LED照明
・洗面台用LED照明

以上が、わが家で使用している電化製品の恐らく全てだ。特に電気代への影響が大きいのは、つけっぱなしにしている4つの製品だろう。これらの家電をつけっぱなしにしておくことの是非はともかくとして、本稿と電気代を比較する際の参考にしていただければ幸いである。

ここまで書いて気づいたが、PCをつけっぱなしにしていたから部屋が暑かったのかもしれない。

○実際の運用

さて、実際にエアコンをつけっぱなしにするにあたって、気をつけた点は下記の通りだ。

■エアコンの運用
・風向は常に一番上向き
・暑く感じる時は、設定温度ではなく風量を上げる
・それでも暑い時は、サーキュレーターの風量を上げる
・それでもまだ暑い時にだけ、26度を下限として設定温度を調節する

エアコンが大きく電力を消費するのは、室温を設定温度まで近づける時だ。なので、めったなことでは設定温度を下げないようにした。実際、設定温度を下げたのは1回だけ。7月の下旬に暑さが厳しくなり、27度に設定しなおしてから今までいじっていない。筆者は暑がりな方なので、実際に使ってみれば28度で十分、という人も多いだろう。

(※エアコンのメカニズムと消費電力の関係についてはこちらの記事が詳しい)

また、エアコンや空気清浄機の効果を高めるために、サーキュレーターもほぼ24時間運転させている。サーキュレーターの運用方法も紹介しよう。

■サーキュレーターの運用
・基本的に「居室の床の中央」で「首を天井に向けて」設置
・風量は「静音」(最も弱いモード)が基本
・夜間など、外気温が28度より低そうな時のみ、窓を開けて外に向かって運転(風量は「中」)
・エアコンの風量を最大まで上げても暑く感じる時のみ、「中」または「強」で運転

サーキュレーターの役割は、部屋の空気を循環させて、エアコンから出される冷気を満遍なく行き渡らせること。冷気は下に沈み込む性質があるため、エアコンの風向を上向きに設定するのも同じ理由だ。温度ムラをなくすことで、エアコンに正しく室温を測定してもらう狙いもある。

ちなみに、エアコンの気流を循環させるだけなら、エアコンから見て対角線上となる部屋の隅から送風するのがより効率的なのだが、筆者宅ではもろもろの生活臭やチリを効率よく空気清浄機の吸気口に送り込むという狙いもある。この置き方なら室内の空気を満遍なく循環させるため、汎用(はんよう)的に使えると判断した次第だ。

夜間に開け放した窓に向けて風を送るのは、昼間に暖まった空気を追い出すためである。そもそも冷房がつけっぱなしなのでこの使い方をするシーンは少なかったが、カーテンを閉め忘れて外出した日の夜など、日光で温まった窓のせいか室内がムワッとした暑さに包まれていることもあった。

料理をした直後や入浴後は室内の温度を暑く感じることもあったが、エアコンやサーキュレーターの風量を上げることでおおむね解決できていた気がする。部屋の温度そのものよりも、体感温度を下げることが快適性確保のために重要だと感じた。

○つけっぱなしで過ごしてみた感想

今回初めて体験したエアコンつけっぱなし生活だが、結論から言うと「つけっぱなしにしてよかった!!」と思った。筆者の感覚からすれば、今回の電気代(5,110円)は決して安くはないが、「エアコンを24時間つけっぱなしにする」という行為からするとだいぶお得に感じられたのだ。

毎年同じことを思うのだが、今夏の都市圏の暑さといったら到底エアコンなしで乗りきれるものではなかったと思う。高温な上に湿度も高いのでかいてもかいても汗が乾かず、不快感だけが指数関数的に上昇していくという地獄……。体質的にも暑がりで、最寄り駅から自宅まで10分間歩くだけで顔中に汗をかく筆者からすれば、自宅のドアを開けた瞬間にひんやりと快適な空気を感じられるのは支払った料金以上の価値があった。

もちろん暑さを乗り切るだけなら、扇風機やうちわ、水で冷やしたタオルなど、その他の対策を講じる余地はいくらでもある。省電力を目指すのであれば、エアコンは一切使わないという選択肢もアリだ。しかし、「楽して快適に生活したい」というのは筆者の偽らざる本心であり、これくらいの電気代で欲望に正直に生きられるのであれば「つけっぱなし」もアリ。むしろ万歳。そう思った。

今年の夏は終わろうとしているが、人は同じことを繰り返してしまう生き物だ。きっと来年の夏にも筆者は「今年の夏の暑さは異常」などと言っているだろうし、「エアコンのつけっぱなしって安いのか?」と同じ悩みにぶち当たっているだろう。そんな時にこそ、いまの気持ちを思い出してみたい。安いかどうかではない、納得できるかどうかなのだ、と。

※記事中の情報は2016年8月時点のもの

イラスト: ぷちめい

(諫山大樹)