ZICO(Block B)

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韓国では空前のヒップホップブームが巻き起こっている。そのきかっけとなったのが、ラッパー・オーディション番組『SHOW ME THE MONEY』だ。プロ、アマ問わず、ディスを交えたガチバトル、バカにされながらも善戦するアイドルラッパーたち、平凡な会社員が一夜にして大スターに変身するというドラマチックな展開に人々は夢中になった。

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昨年放送された『SHOW ME THE MONEY シーズン4』で、韓国のヒップホップレジェンドたちが集合したプロデューサー陣の中で最も注目されたのがBlock BのZICO(ジコ)だ。この番組以降、ソロのヒップホップアーティストとしても快進撃を続け、ヒップホップをするアイドルから、アイドルをするラッパーとして認められるようになり、今年8月21日に夏フェス「SUMMER SONIC 2016」にソロアーティストとして参加。22日には、日本初となる単独イベント「SUMMER SONIC EXTRA SHOWCASE ZICO〜SELF LINER NOTES〜」を東京・代官山SPACE ODDで開催した。

「SELF LINER NOTES」とは、アーティスト自身による解説文のこと。「ステージの上のZICOだけじゃなく、こうやって話をしながら少人数でコミュニケーション取れる場にしたかった」という彼の意向で、小さな空間で、パフォーマンスだけでなく、ZICO本人によるトークも行われた。その貴重なトークの内容をガッツリお届けしよう。

まず、オープニングでパフォーマンスしたソロ名義の初作品『Tough Cookie』については、「当時(2014年)はまだ、ヒップホップのフィールドで成果が出せていなかった。僕自身がどういう人物なのかを伝えるという意味を込めた作品」だというZICO。Block Bとしては、『Very Good』や『HER』といったスマッシュヒットを重ね、プロデュース型アイドルとして注目されていた時期だが、オーバーグラウンドからアンダーグラウンドへの名刺代わりの1曲として、歌詞にも「アイドルラッパー? 俺の競争相手は違うところにいる」とその決意が記されている曲だ。

彼が注目されるきっかけとなった『SHOW ME THE MONEY』に関しては、「シーズン1は参加者だった。シーズン2と3には、プロデューサーとしてのオファーがあったけど、断りました。当時は単なるアイドルだったから、反感を買うと思ったし、自信もなかった」と、意外な話を切り出した。

しかし、プロデューサーとして参加した“シーズン4”では、その想いが変わったという。「シーズン4は、“何がなんでも参加しなきゃ!”って思ったんです。ラッパーとしてのパフォーマンスには自信がなかったけど、プロデューサーとしては自身があったから。それに、ソロアルバムの準備もしていたので、話題作りも兼ねて」と、そのブレイクが戦略だったという裏話も。

また、「先輩プロデューサーたちだけでなく、参加者にはファンだったBASICKさんや僕と同世代のアーティストも多く、彼らからインスピレーションを受けた」と語ったが、この日のライブで一番盛り上がったのも同番組の決勝戦で同世代、そして同じアイドルであるWINNERのソン・ミンホとコラボした『Okey Dokey』。パーカーを脱いで、オーディエンスからレスポンスを引き出すZICOは指揮者のようだった。

プロデューサーとしての音楽制作についても「楽しい事ばかりじゃないですよ。制作中には苦労も多いけど、完成したときの達成感があるから、この仕事を続けられるんだと思います。やりがいを感じています」と言及。

ソロとBlock Bに関しては、「ソロよりもBlock Bの曲の方が大変です。ソロは自分のパートだけを考えればいいけど、Block Bは7人のことを考えるので、7曲分作るのと同じ感覚。特に『Very Good』は苦労したな……。Block Bとしてやれることは何なのか、7人が活かせるものが何なにかを考えながら作ります。パクキョンが「アーイ」を入れようっていうのを避けるのも大変で(笑)」と笑いを交えて語ってくれた。

トークに加えて、「ソロ曲のMusic Video(以下MV)はすべて好きだが、特に見てほしい」という『VENI VIDI VICI (feat. DJ Wegun) 』のMVをZICOのリアルタイム解説付きで鑑賞するというなんという贅沢も設けられた。ダウンタウンにて3日間で撮影したというビデオでは、ファッションも自分でコーディネート。着ているアーティストTシャツは私物だという。

バスケットコートでのシーンでは、「バスケは苦手なので、コートを使ったけどバスケはしてません」とファンを笑わせる。「ダウンタウンの街角から出てくる、ラップのMVによくあるシーンを撮りたかった」とお気に入りのシーンも挙げてくれた。

また、色彩豊かな『Boys And Girls (feat. Babylon)』でのゴルフのシーンについてきかれると、「芝の上だと、色彩がより映えると思ったから。それに、キレイな女性がキャディをやるのもステキだと思ったから」と答えてくれた。

そして話は、「最近気に入っているMVは、米ラッパー、Mac Millerの『Dang! (feat. Anderson .Paak)』。今、僕が関心のあるジャンルだし、ビジュアルからインスピレーションを受けた。今、チャートの上位にある曲って、すごく楽しいか、すごく悲しいかだと思うんです。でも僕は、その中間にある音楽に関心があって。それがまさに『Dang!』みたいな感じなんです。今の僕の曲は、刺激的なものが多いけど……」と、ヒット・プロデューサー、ZICOが注目している音楽についても。

音楽だけではなく、ファッションにも関心のあるZICOが最近、韓国のストリートブランド「VIBRATE」というブランドをコラボをしたが、「すべて関連してると思うんです。絵を描くことと音楽を作ることは似てると思います。目と耳というインプットが違うだけ。音楽好きな人はファッションにもアートにも関心があるでしょ? その中で、悩んだ末にやってみたことが、洋服のデザインです」という。

最後に“ZICOの定義”をきかれると、「簡単にいうと、“フリーサイズ”みたいな感じかな。LとかXLとかじゃなく。サイズを決めずに毎回新しい音楽に挑戦したい。自分をヒップホップアーティストと定義するってことではなく。やりたいことはたくさんある。文章を書いたり、MV制作にも興味あるけど、あまり欲張ると自分の持っているものまで逃してしまいそう。自分が上手くできることが何なのかを悩みながらやっていこうと思っています。大変だけど、今やらないと。人生でこんな機会はなかなかないことだから」と笑顔で答え、「今日は、個人的な話や音楽に対する考えを共有できてよかった」とトークを締めくくった。

この日のパフォーマンスは、4曲。EPIK HIGHのタブロが主催するHIGHGRNDレーベルのmillicをDJに迎え、DJとZICOのラップというシンプルな構成ながら、パフォーマンスがスタートすると、一瞬でフロアが沸騰した。

今まで一方通行だった、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを軽やかに行き来するZICO。韓国音楽界の新世代プロデューサーとしての彼の動向に、今後も注目したい。