ナルコレプシーって知ってる?10〜20代ほど要注意。日中に眠気がひどい人は過眠症を疑いましょう

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授業中、眠くてしかたがない。仕事中にウトウトしてしまった。大切な会議の途中だったが、居眠りしてしまったようで記憶がない。
 
夜更かししていないのに。毎晩、しっかり睡眠を取っているはずなのに……。
 
こうしたことが頻繁にあなたの身に起きていませんか?
日中のひどい眠気は、もしかしたら過眠症が原因かもしれません。
 
今回は異常な眠気をもたらす病気、過眠症についてご紹介します。

過眠症とは?

日本睡眠学会の定義によると、過眠症とは「日中に過剰な眠気が毎日のように繰り返す状態」のこと。実際に眠りこんでしまうケースもあります。
 
強い眠気のせいで社会生活が妨げられてしまい、苦痛だと感じる状態です。「でも私の場合は、疲れがたまっているだけなのかも。人より集中力が欠けているだけかも……」と軽く考えるのは危険。
 
まずは下記のチェックリストで自分で感じている眠気が病的なレベルなのかをチェックしてみましょう。
 

もしかしたら過眠症の可能性アリ?セルフチェックしてみよう

各シチュエーションになったときに、どのくらいウトウト(数秒から数分間眠ってしまう)してしまっていますか?
 
最近の日常生活を振り返って答えてみましょう。シチュエーションごとに点数をつけていって、最後に合計点を計算してください。
 

点数

ウトウトする可能性はほとんどない → 0点ウトウトする可能性は少しある → 1点ウトウトする可能性は半々くらい → 2点ウトウトする可能性が高い → 3点

シチュエーション

すわって何かを読んでいるときすわってテレビを見ているとき会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき乗客として 1時間続けて自動車に乗っているとき午後に横になって休息をとっているときすわって人と話をしているとき昼食をとった後(飲酒なし)、静かにすわっているときすわって手紙や書類などを書いているとき

 

合計点数はいくつでしたか?
合計点が11点以上になる場合は、普段感じている眠気の程度が病的水準と言えます。過眠症の可能性もあるかもしれません。
 
ただし、11点未満でも、自分で眠気を自覚できていないケースも。家族や周りから「いつも眠そう…」などと指摘されたことがある場合には要注意です。
 
次のセクションでは過眠症についてより詳しく解説していきます。

過眠症には3つのタイプがあります

過眠症にはナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症の3つのタイプがあります。
 

1. ナルコレプシー

ナルコレプシーを最初に報告した人物は、17世紀のイギリス人の医師、トーマス・ウィリス。その後、1880年にフランス人の医師がナルコレプシー(narcolepsy)と名付けました。Narcoは「麻痺、脱力」、Lepsieは「発作」を意味するギリシャ語で、直訳すると「脱力発作」となります。
 
このナルコレプシー、世界の中で最も日本人の有病率が高いといわれているんです。
 
世界では1000人〜2000人に1人の割合で発症していますが、国内ではなんと600人に1人。ナルコレプシーの発症率を年齢別でみると10歳〜15歳前後や20代の若者が高い一方で30代から40代になると比率はかなり少なくなり、50代での発症はまれなのだとか。
 

●ナルコレプシーの症状

では、ナルコレプシーの症状は一体どんなものでしょうか?
 
ナルコレプシーを患っていると、たとえ職場や学校にいても、道を歩いていたり買い物をしていても、時と場所に関係なく発作的に強烈な眠気に襲われます。
さらに怒ったり、嬉しかったりして感情が強く動いたときに腰の力がカクンと抜けたり、ろれつが回らなくなったりすることも。
 
もしこれらの症状が3ヶ月以上続いている状態であれば、ナルコレプシーを患っている可能性が高いようです。
さらに以下のような症状もナルコレプシーの特徴といわれています。

毎晩しっかり睡眠時間を確保しているのに、日中になると猛烈な睡魔に襲われる10〜20分の居眠りを一日に何回も繰り返し、寝た後はスッキリと爽快感がある怒ったり、嬉しかったりして興奮したときに顔から首、体全体にかけて姿勢筋の力が急に抜けてしまう入眠時に鮮明な幻覚を見る。誰かが部屋に入ってくる、襲ってくるような感覚にとらわれる脳は活動していても身体を動かせない状態で、いわゆる金縛りのような状態になる夜間、頻繁に目を覚ますことが多い

 

このほか、眠気を我慢するため頭痛を伴うことが多いということと、肥満・多汗症・糖尿病なども合併していることもあるそうです。
 

●ナルコレプシーの原因

それでは、ナルコレプシーの原因は何でしょうか?
今まで特定されている原因の一つに「オレキシン」の欠乏を挙げることができます。
 
オレキシンとは、脳の視床下部から分泌される神経伝達物質で、睡眠と覚醒のバランスを調整する役割を果たします。
 
ある研究報告によると、この遺伝子が変異を起こして働かなくなると、ナルコレプシーの脱力発作にとても似た症状が引き起こされることが実験結果により分かっています。実際、ナルコレプシーの患者の9割にこのオレキシンが不足している、という報告があります。
 
さらにナルコレプシーになりやすい遺伝的体質と、睡眠不足など身体的なストレスも原因になると考えられているようです。
 

2. 特発性過眠症

1957年にナルコレプシーとは異なる過眠症としてチェコスロバキアの医師によって発表された特発性過眠症。10万人あたり2〜5人がこの病気を患っていると考えられています。10代から20代の若者を中心に発症しやすいといわれています。
 

●突発性過眠症とナルコレプシーの違い

特発性過眠症は、ナルコレプシーと同じく日中に強烈な眠気を感じる病。
しかしナルコレプシーとの相違点がいくつかあります。

特発性過眠症は居眠りの長さが1〜4時間と長時間。一方のナルコレプシーは長くても20分程度の、比較的短い居眠りです。特発性過眠症を患っている人は夜の睡眠は正常である場合が多いようです。日中は数時間寝たとしても、目覚めは悪く眠気も消えないそうです。一方のナルコレプシーは夜間に熟眠できないことが多く、日中の居眠りの後はスッキリとします。特発性過眠症にはナルコレプシーに出るような突然の脱力や幻覚、金縛りが起こりません。

 

このほか、特発性過眠症は寝起きがひどく、意識がはっきりしないという特徴も。
 
頭がぼーっとした状態が続き、はっきりと目が覚めるまでに20分以上かかるようです。また、頭痛や手足の冷え、めまい、立ちくらみなどの自律神経系の不調も併発して起こることがあるとの報告も。

●特発性過眠症の原因

病名に特発性という言葉を使っている通り、特発性過眠症の原因についてはまだはっきりと解明されていないようです。
 
中枢神経系に原因があるのではないか、ヒスタミン系の障害によるものではないか、とも推測されていますが特定はできていないそう。
 

3. 反復性過眠症

反復性過眠症は16〜18時間、ひどいときには20時間も昼夜を問わず眠り込んでしまう非常に謎の多い病気です。

●反復性過眠症の特徴

睡眠時間が異様に長い「傾眠期」と呼ばれる期間が3日から10日間続き、傾眠期が終わると、何事もなかったように正常な生活に戻ります。傾眠期になると過食や認知機能障害がみられることも。
 
反復性過眠症は、傾眠期と一般的な睡眠時間に戻る「間欠期」が繰り返し起こります。主に10代の男性に発症率が高いようです。
 
傾眠期の睡眠中は、大きな声で呼びかけたり大音量の目覚ましをかけても反応が鈍く、起こそうとしても深く眠りこんでしまいます。食事やトイレのために起きたりすることはありますが、意識はもうろうとしていて自覚はなく、その間の記憶はほとんど残らないようです。
 

●反復性過眠症の原因

反復性過眠症もはっきりとした原因はわかっていません。
 
しかし軽い意識障害であることが考えられているようです。またストレスや極端な睡眠不足、疲労なども原因になると推測されています。
 
症例が少ないこともあり研究が進んでおらず、いまだに治療法が確立されていないのが現状のようです。

過眠症かも…と思ったら迷わず専門病院へ

ここまで過眠症のタイプについて紹介してきましたが、
「まるで自分のことが書かれているようだ」「思い当たる症状がいくつもある」
と感じましたか?
 
もし症状に少しでも心当たりがあるのならば専門病院へ行くことをおすすめします。
 
日本睡眠学会では、睡眠学会認定機関、認定医師等を紹介しています。受診先の参考にしてみてください。
 
こうした病院では「反復睡眠潜時検査(MSLT)」や「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」という専門の検査を受けることができます。大抵の場合は保険が適用されることが多いようです。

おわりに

ナルコレプシーを患っている日本人は20万人以上いると考えられています。
しかし実際に治療を受けているのは数千人程度とのこと。
 
自分でも過眠症にかかっていることを知らず、ましてや周囲の認知度も低いため、「だらけている」「やる気がない」「緊張感に欠けている」と間違った評価をされているかもしれません。本当は病気なのに、自分はダメな人間だ、と一人で悩んでしまっていませんか?
 
さらに過眠症をそのまま放っておくと生活に悪影響が出てしまったり、最悪の場合は事故を起こしてしまうリスクも。思い切って早めに睡眠専門病院へ行く必要があるかもしれません。
自分の周りにこうした症状がみられる人がいる場合も、ぜひ一声かけて情報を提供してあげてくださいね。
 
普段からよく寝ているのに、いつの間にか居眠りしてしまう。日常生活に支障をもたらすほどの異常な眠気と戦っている。
心当たりがあれば、自分は過眠症かもしれない!?と疑ってみることが治療への第一歩です。
 
●睡眠障害チェック!睡眠障害のタイプと診断手順(医師監修)
●【睡眠のイロハ】過眠症(ナルコレプシー)