ペットのヒヤリ・ハット 知っておきたい中毒症状を起こす食べ物とは?

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ペットのヒヤリ・ハットの多くが食べ物を起因に

動物との生活の中で「ヒヤリ・ハット」を体験された方も少なくないのではないでしょうか? 
アニコム損害保険株式会社が行った「ペットとの暮らしで起きたヒヤリ・ハットの経験」に関するアンケート調査では、有効回答616件のうち、「大ケガや大事故の経験がある」が34件、「ケガや事故の経験がある」が158件、「ヒヤリ・ハットの経験がある」が318件という結果が示されています。

大事故に至らないまでも、ヒヤリ・ハット体験は潜在的に日常生活の中で起こっていることを示しています。
その中でも、食べ物に起因するヒヤリ・ハットを主訴として来院される方がよく見受けられます。
そこで、動物が摂取することで中毒症状を引き起こす可能性のある代表的な食べ物について解説していきたいと思います。


動物が摂取することで中毒症状を引き起こす食べ物とは?

チョコレート:カカオの成分であるテオブロミンが原因となり心筋や中枢神経を刺激することで中毒症状を起こします。
テオブロミンのLD50(50%致死量)は、犬では、体重1圓△燭100〜200mg、猫では80〜150咾箸い錣譴討り、大体20mg/kgで症状が出るようです。
チョコレートのテオブロミン含有量は種類によって違いますが、原則的に与えるべきではありません。
症状:精神不安定、興奮、ふるえ、尿失禁、嘔吐・下痢、けいれん、昏睡、死亡(6〜24時間以内)
   
ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、ニラなど):犬や猫がタマネギを過剰に摂取した場合、それに含まれる成分が赤血球を壊し、貧血を引き起こします。タマネギ、ネギなどを煮込んだスープを飲んでも中毒を引き起こしますので注意が必要です。 
犬や猫は感受性が高く、体重1圓△燭蠍い15〜30g、猫で5gといった少量のタマネギを摂取しても血液上に異常が認められたとの報告もあります。
症状: 貧血とそれに伴う頻脈、呼吸速迫、血尿、嗜眠、衰弱、ひどい場合には死亡

キシリトール:人のガムなどの食品や口腔ケア製品に含まれる甘味料ですが、犬が摂取すると中毒を引き起こすことが知られています。
犬では人と違った代謝をとり、インスリン分泌を促進することから低血糖を引き起こす危険性があります。
体重1圓△燭螢シリトール0.1g以上の摂取で低血糖の危険性が、0.5g以上で肝障害の危険性が出てきます。
症状:急速に進行し嘔吐、嗜眠、運動失調、けいれん、肝不全

レーズン・ぶどう:詳細はまだまだ不明ですが、中毒量は体重1圓△燭螢屮疋Δ32g、レーズンで11〜30gとされています。
摂取後6〜12時間後から嘔吐、下痢、腹痛などが認められ、2,3日後には急性腎不全を発症し死亡する場合もあります。

アボガド:アボガドに含まれるペルジンが中毒を起こすといわれており、多量に摂取することで嘔吐、下痢が発現し、ひどい場合は死亡することもあります。

鶏の骨: 噛み砕くことで、骨が鋭利に裂け、それにより消化管が傷つけられる危険性が出てきます。

その他、「動物が出会う中毒」には、洗剤、乾燥剤、化粧品、たばこ、文具などの家庭用品、殺虫剤、殺鼠剤、除草剤などの園芸用品、そしてユリ、スイセン、シキミその他多数の有害植物があります。


動物にやさしい生活環境をつくることが予防につながる

一方で、異物を食べてしまい来院される方も珍しくはありません。
内視鏡で摘出できる場合もありますが、手術が必要になることも多く、よくあるものとして紐、カチューシャ、おもちゃ、靴下、種(梅干し、プラム)、竹串、糸付きの針などがあげられます。

このような中毒等のヒヤリ・ハットを予防するには、飼い主が生活環境に十分注意することにつきます。
人と動物が一緒に暮らすということは、動物を擬人化することなく、その動物の特性を十分に理解し守っていってあげることが大切だと思います。
動物にやさしい生活環境づくりが、お互いの笑顔につながります。
今一度、お部屋の中を確認してみてください。


【田村 兼人:獣医師】


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