連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第21週「常子、子供たちの面倒をみる」第122話 8月23日(火)放送より。 
脚本:西田征史 演出:安藤大祐


「もう少しだけこのままでもいいですか」

星野(坂口健太郎)の申し出を断ったおわびに菓子折りをもって家を訊ねると、大樹が熱を出して倒れていたので看病する常子(高畑充希)。膝の上で眠る青葉の頭を撫でながら、上記の台詞を言う。

これって、ラブストーリーにありそうな台詞。そう思うと、横座りした常子の膝からふくらはぎが心なしかエロく見える。

戦国武将(明智光秀や加藤清正など)も好んで家紋に使ったという桔梗を飾る星野と、いろいろな話に花を咲かせる常子。

「いつか誰かを支えられる人間になってほしくて」大樹とつけたと言う星野。かつて自分が常子を支えられなかった後悔か。だが、頼りない植物オタクだった男もいまや、出勤前に子どもに弁当もつくる立派なやもめ。
ちなみに坂口健太郎が今度出演する舞台は「かもめ」。そこで彼が演じる役は抽象的な戯曲を書き、好きな女の子に「戯曲というものは、やっぱり恋愛がなくちゃいけないと、あたしは思うわ・・・」(チェーホフ/神西清訳)と言われてしまうのだ。ドラマにもやっぱり恋愛がなくちゃいけないのだろうか。

さて、かつて愛する女を支えられなかった男が、15年経って、子どもたちを支えて生きている。植物の研究も諦めて会社勤め。しかも総務(職業を批判しているのではありません、本人の夢だった仕事とは違うというだけです)。それに比べて常子は人生の目標をどんどん叶えている。

星野にちょっとでも狡さがあったら、常子と再婚すれば好きな植物研究がまたできると考えるだろう。でも、きっとそういうことを考えもしない人なんだろう(願望)。星野にそういう欲がないとしたら、星野と常子の生きる世界は15年前とは哀しいかなだいぶ違ってしまっている。

いまの常子はもっと修羅(大げさ)のような道にいる。それは、花山(唐沢寿明)と並走しているから。
2ヶ月かけて1年分試したトースターの実験が終わったとき、花山はなかなか原稿を書くことができなかった。実験の結果、どの商品も酷評することになるからだと美子(杉咲花)は心配する。

花山はペンをガラスの瓶に入った水につけると、みるみるインクが溶けて、まるで花山の迷いや絶望を表しているかのように真っ黒に。その闇をくぐり抜け、夜更けにようやく書き出す花山。かっこいいシーン。

でも鉛筆で書くんじゃないんですね。鉛筆好きじゃなかったかしら。きっとすごく大事な原稿は消しゴムで消せないインクで血判を押すように書くのでしょう。

そんな花山に寄り添うように常子も会社に残っていた。こんなふうに、彼女の仕事はいつも定時に帰ることができるような仕事ではないのだが、常子は星野家の子どもの面倒を見ようとしている。仕事と子ども、両立できる?

123回も楽しみです。
(木俣冬)