山田真哉

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’05年の発売以来、累計164万部を突破し、今なお売れ続けるベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』。その著者である公認会計士・税理士の山田真哉氏は、株やFXなどの投資家としての顔も持っている。だが一方で、その膨大な額の印税をFXにつぎ込み、溶かしてしまったという破天荒な投資体験をしたことも。最近では、そういった自身の経験も交えながら、お金や経済、投資についてわかりやすく解説するラジオ番組『浅野真澄×山田真哉の週刊マネーランド』が人気を集める山田氏に、過去の投資失敗談や現在の投資ライフについて聞いた。

――山田さんは『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』などのベストセラー作家としても知られていますが、実は投資家としても有名なんですよね。特にFXに関しては、過去にかなり痛い目に遭ったことがあるとか……。

山田:そうですね。ちょうどFXを始めた頃に『さおだけ屋〜』の印税が入ってきたので、当時は余剰資金を結構たくさん持っていたんですよ。でも、そのとき稼いだ印税は、結構ざっくり持っていかれてしまいましたね……。

――最終的にいくら負けたんですか?

山田:5000万円です。

――すごい大金ですね! FXはいつから始めたんですか?

山田:’06年ぐらいに、知り合いの作家さんが「今、FXをやってるんだけどすごく儲かるんだよね」と言われて。試しに100万円くらい入れてみたら、あっという間に3倍くらいに膨れ上がったんですよ。それを見て「世の中、チョロいな」と思って(笑)。そこで、現金をどんどん入れていって、気がついたら本で得た印税の2000万円くらい投資してました。トータルで数千万円ほど儲かっていたので、最終的な証拠金は5000万円ほどでしたね

◆レバレッジ100倍で50億円を動かした

――ちなみに、レバレッジはどのくらいかけていたんですか?

山田:’10年の規制が入る前だったので、レバレッジ100倍でやっていました。証拠金5000万円にレバレッジ100倍だから、当時は50億円くらいのお金を動かしていたわけです。

――恐ろしい額ですね。大金を扱うことに恐怖心はありませんでしたか?

山田:それよりは幸福感のほうが強かったです。だって、50億円くらい持っていると、スワップ金利が1日10万円ぐらい入ってくるんですよ。1日10万円なにもしないで入ってくるなんて、まるで夢のようじゃないですか!

――途中までは絶好調だったわけですが、’07年7月にサブプライムローンの影響で、それまで円安傾向だった市場が一気に円高に傾いてしまうという。

山田:そうなんです。ちょっと前から雲行きは怪しいな……とは思っていたんですが、もう気づいたときには手遅れで、5000万円は全部パー。強制ロスカットされてました。せめて、自己資金の2000万円は抜いておけばよかったんですが、それもせず。今思えば、「どうせ本業以外で稼いだお金だから」という気の緩みもあったかもしれません。要はあぶく銭ですから。

――何か打つ手はなかったんですか。

山田:これはFXにおいての最大の敗因だと思うんですが、僕は本当に売るのが苦手な人間なんですよ。「怪しいな」と思った時点で、売って、早めに諦めておけばよかったんですけど。どうしても、それができなかったんです。

――5000万円を一気に失ってしまった、当時の心境はいかがでしたか。

山田:とても平静ではいられなかったです。茫然自失ですよ。世の中には災害とか事故とか自分ではどうにもならないことがありますが、投資で負けるっていうのはまた別のショックが大きいです。たとえば、僕は学生時代に阪神淡路大震災で自宅が全壊しているんですが、そのときはまだ「よし、これから頑張ろう」と前向きな気持ちになれたんですよ。でも、サブプライムローン問題でFXの資産5000万円を失ったときは、もうどうしようもなくて、ただただ立ち尽くすのみでしたね。