炎上しても言う。リオ閉会式の東京PR動画で“女子高生”を出すキモさ【勝部元気】

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 リオオリンピックの閉会式における日本の引き継ぎプレゼンテーション。安倍首相がマリオに扮したことが話題になっていましたが、その導入ムービーで、ゲンナリすることがありました。

◆東京五輪PR動画の“制服JK登場”を批判したら大炎上

 映像全体では競技するアスリートと東京の観光名所が合成された映像になっていてとても良かったのですが、その冒頭部分は制服姿の女子高校生が渋谷のスクランブル交差点にいるところから始まります。そう、またお決まりの「制服姿の女子高校生」です。

 映像に登場する女子高校生は、現役女子高校生の体操選手とのことですが、他のアスリートが全員競技中のユニフォームに身をまとっている中、なぜ冒頭の彼女一人だけがわざわざ制服姿にさせられているのでしょうか? 東京五輪に挑戦する未来の若者を表現したかったというのなら、なぜ制服姿の男子高校生も合わせて起用しなかったのでしょうか?

 私が、そのようにムービーに対して批判的な一連の投稿をTwitterで行ったところ、炎上してしまったのです(※)。

⇒【YouTube】はコチラ 【NHKリオ】2020へ期待高まる!トーキョーショー http://youtu.be/sk6uU8gb8PA?t=3m19s

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編集部注:
勝部氏は8月22日、以下のツイートを投稿。

<リオ五輪の閉会式における日本のプレゼンムービーが本当にヒドイ。競技中のアスリートや著名金メダリストより前に、冒頭で制服姿の女子高校生を起用。「制服JKを性的アイコンにしています〜!」と世界に向けて堂々とアピールやらかしました>

 このツイートに始まる「JK性的アイコン文化」についての一連の投稿に対して、「制服JKが“性的”に見えるほうがおかしい」といった批判が殺到して炎上。ネットニュース等でも取り上げられた。
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◆なぜ日本人は、やたらと「制服女子高生」にこだわるのか

 一方で、8月18日に放送されたNHK「ニュース7」の貧困女子高生特集に対して、「貧困じゃないだろう!」「NHKの捏造だ!」という批判がネットで展開され、本人が特定されて私生活を晒されるという炎上が起こりました。本当に「制服」「女子高校生」というアイコンに対して並々ならぬ情熱を燃やす人々がこの国にはあるようです。

 「制服」や「女子高校生」にこだわるのは、何もネット社会の住人だけではありません。日本では女子高校生がターゲットではない企業のCMでも、なぜか制服姿の女子高校生を起用することが少なくないですよね。

 同様に、官公庁のポスターでも“清楚な”雰囲気の制服姿の女子高校生がモデルに使われているケースが散見されます。もはや「日本に男子高校生はほとんどいないのか!?」と疑うレベルです。

 制服姿の女子高校生を起用する理由に「クリーンなイメージを持たせたかったから」と考える企業や官公庁も多いようなのですが、「制服姿の女子高校生=クリーン」と脳内で勝手に変換していることにビックリしませんか? どことなく純潔主義や処女崇拝のような匂いすら感じますよね。「それはあなたの脳内妄想でしょ!」と叫びたくなります。

◆処女崇拝をこじらせたおっさんの性癖

 結局、制服姿の女子高校生がここまで多用されるのは、純潔主義や処女崇拝をこじらせたおじさんたちにとってそれが一種の萌えであり、性癖だからだと思うのです。

 誤解しないで頂きたいのですが、「性癖」というのは何もポルノ的な意味だけではありません。

 たとえば、テレビ等で女性アスリートにだけ「どこにでもいるような女の子の姿がそこにはあった!」のような演出をするのは、どこにでもいるような女の子の姿にホッコリ感を覚えるおじさんの性癖ですし、「高校野球の女子マネージャーが自己犠牲で頑張る姿!」のような話を美談のように感じるのも、男性を裏で支える献身的な女性にグッと来るおじさんの性癖です。

 一人で脳内妄想をしているだけならまだしも、「自分の性癖を堂々と公の場でさらけ出そうとしないでくれ」と思ってしまいます。

◆制服JKが性的アイコンになっている問題

 一方で、確かに最近のアイドルも制服をモチーフにした衣装を着ているグループも多いですし、アニメでも制服姿の女子高校生の登場が異様に多いように、制服がクールジャパンのアイコンとして認知されているという側面もあるかと言えます。

 ですが、アイコン化は負の側面と無縁でありません。たとえば痴漢が「Chikan」で通じるほど発生率が世界的にも異様に高く、制服を着ているとさらに被害に遭いやすいと感じた人も多いのではないでしょうか? 実際にそういう声を本当によく聞きますし、被害件数も10代が圧倒的多数です。

 また、「JK、制服、渋谷」でGoogle検索すれば、日本ではそれらのアイコンがどのように捉えられているか、一目瞭然と言えます。JKリフレのサイトがズラリと並ぶのです(JKリフレ=制服姿で個室マッサージや添い寝などのサービスを行う)。

 実際に、昔は援助交際やブルセラで、近年はJKビジネスと、制服が性的アイコンとして消費され、国連からも未成年女子の買春・人身売買が盛んな国として認定を受けるような状態です。

 正直に申し上げれば、私も今よりもずっとずっと若い時には制服姿に性的な意味を感じていた時期もあったと思います。でも、大人になった今、「制服=子供が着ているもの」というイメージしか無いですし、それを性的に消費したい気持ちもまるで分からないですし、制服に固執する日本社会が異様に見えて仕方ありません。

 また、炎上コメントの中には私が制服を性的に見ていると誤解した人や、「制服そのものが性的アイコンである」という主張だと誤解した人もかなり多かったのですが、制服自体は一切関係無く、制服を性的なアイコンとして捉える人が日本には多いという男性社会的な面を指摘したに過ぎません。問題は客体ではなく主体です。school girlの制服自体は海外にもありますからね。

 そのように、国連等の海外の一部からは「日本は制服姿の女子高校生を性的に搾取している国である」と見られる中で、制服姿の女子高校生を五輪のプレゼンムービーで使うということは、その実情を知っている人が見れば、「あぁまさに(悪い意味で)日本っぽいですねぇ」と思ってしまうのも当然ではないかと思うのです。

◆女性たちにも問題意識を持ってほしい

 当の女性本人たちも日本の中にいるとあまりに空気のようにありふれているために、制服姿の女子高校生が起用されることの何が問題なのか気が付きにくいことも多いかもしれませんが、高校生の時に自分が性的なアイコンとして見られることに様々な葛藤を感じたことがある人も多いのではないでしょうか?

 もちろん今でも日常生活の中で様々な「エイジズム(若さ至上主義)」に対して嫌な思いをしている人も多いと思いますが、エイジズムも制服姿の女子高校生をクリーンと感じる純潔主義や処女崇拝と表裏一体のものです。日本は欧米と反対で加齢するほど幸福感が下がると言われていますが、こういう面も大きく影響しているのでしょう。

 POLAのテレビCMが「この国は、女性にとって発展途上国だ」というメッセージを出して多くの共感を呼んでいますが、私たちがもっと生きやすい社会にするためには、やはり制服姿の女子高校生を多用する社会というのも改善する必要があると思うのです。

「何でもかんでもすぐ制服姿の女子高校生を起用しようとするおじさんの性癖はキモイですー!」と、もっともっとみんなで声にしていきたいものですね。

<TEXT/勝部元気>
【勝部元気】
1983年東京都生まれ。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEO。ブログ『勝部元気のラブフェミ論』(http://ameblo.jp/ktb-genki/)、twitterは@KTB_genki。初の著書『恋愛氷河期』が発売中