世界各都市の人口に占める億万長者の割合、つまり「富裕層率」はいったいどれくらいなのか。

そのランキングを、イギリスの雑誌スピアーズが調査会社ウェルスインサイトと共同で実施した調査結果を発表しました。

1位はモナコで、居住者の3人に1人が億万長者となっています。

この調査における億万長者とは、それぞれの住居を除く純資産が100万ドル(1億200万円)を超える人たちです。2年前に比べると億万長者の割合は、全体で6%上昇しています。

それでは、世界の億万長者が住んでいるトップ10の都市を見ていきましょう。

■10位:アムステルダム(個人富裕層の人口密度2.70%)

ヨーロッパの玄関口ともいわれる、オランダ。ヨーロッパ各国へのアクセスはよく、気候も温暖で治安もよく、医療システムも充実しているので、快適な住み心地のようです。

何より、海外の子会社からの受取配当金が非課税になったりする「資本参加免税制度」など税制面での利点が挙げられます。

■9位:シンガポール(個人富裕層の人口密度2.70%)

税金の低さが、最大の魅力です。投資から売却益にも配当にも税金はかかりません。しかも相続税もゼロであることから、日本のように相続税の高い国のシニア世代の移住先としても人気です。

加えて、治安もよく、快適な生活環境が整っていることも富裕層が集まってくる理由です。2003年からの10年間で、シンガポールに移住した人は4万5,000人。

イギリスに次いで第2位という多さで、成長著しい都市のひとつと言えます。

■8位:フランクフルト(個人富裕層の人口密度2.70%)

欧州中央銀行の本部のほか、大手銀行本社が多数集まる、国際金融の中心地です。

中世の時代から有名な見本市(メッセ)が数多く開催されており、それに伴う金融や物サービスが発達し、世界最大級のハブ空港も有する、EU経済の中心地として栄えています。

■7位:香港(個人富裕層の人口密度2.70%)

中国の特別行政区として知られている通り、イギリスから1997年に返還後も「1国2制度」が採用されており、独立した都市国家のよう。

アジアの要所であるとともに、税制面の優遇が多くの富裕層を引きつけます。所得税も法人税も低く(収入が増えても15%前後)、香港外で得た所得は原則非課税となります。

シンガポールと比較検討されることが多く、富裕層に人気の都市ですが、大気汚染を気にする人も少なくないようです。

■6位:オスロ(個人富裕層の人口密度2.90%)

ノルウェーの首都であり、世界でも物価が高く、生活費の高い都市のひとつに挙げられます。森林や湖、雄大なフィヨルドなど豊かな自然が魅力の国は、意外にもお金持ち。

収入をもたらしているのが、北海油田。世界第3位の原油算出国であり、莫大な貿易黒字が財源を支えています。

医療費と教育費は原則無料ですが、税金は高く、消費税は25%。お金持ちは、税金逃れのため、海外に逃げ出しているとも言われています。

■5位:ロンドン(個人富裕層の人口密度3.40%)

世界で最も人気のある都市のひとつが、ロンドン。実際、2003年からの10年間に、富裕層の流入がいちばん多かったのがイギリスで、11万人以上。

ロンドンの不動産の高騰が続くのは、世界各国から集まってくる富裕層が大きな原因とされます。

世界の富裕層からロンドンが愛される理由は、欧州の金融中心地であり、多様な人種が暮らしている多国籍などが挙げられます。

集まる富裕層は、中東の富豪、イタリアギリシャの富裕層、ロシアや東欧の富裕層、政治的混乱の続くブラジルやアルゼンチンの富裕層などじつに多彩で、価値観の異なる外国人の居場所があるため居心地がよいとか。

■4位:ニューヨーク(個人富裕層の人口密度4.70%)

各種ビジネスやスポーツ、アートなどで一攫千金を夢見る人が集うニューヨークでは、富裕層が多く存在する一方、収入格差も激しいもの。

収入によって、居住区も明確に分けられているほどです。富裕層の居住で有名なのが、マンハッタン。富裕層だけのエリアは治安も高く、質の高い教育が受けられるため、富裕層に支持されているのでしょう。

■3位:ジュネーブ(個人富裕層の人口密度17.70%)

地理的に欧州の中央に位置するスイスは、永生中立国であり、銀行の守秘義務も法律で守られているため、古くから世界中の富裕層の資産を預かって運用などを行うプライベートバンクが発達してきた国です。

そのなかでもジュネーブは、スイスで2番目に大きな都市で、金融都市としても知られます。

ヨーロッパ最大級のレマン湖、周囲をアルプスに囲まれた風光明美な場所であり、国連や赤十字など国際機関の本部が多く置かれています。

■2位:チューリッヒ(個人富裕層の人口密度24.30%)

スイス最大の都市であり、世界的に知られた金融都市です。3位のジュネーブに続き、2位に同国スイスからランクイン。

顧客預かり資産で世界最大とも言われるプライベートバンクUBSの本社があるのもチューリッヒです。

欧州は税率が比較的高い国が多いのですが、スイスだけは例外で、高所得層でも所得税を15%程度に抑えられることも富裕層に支持される大きな理由です。

■1位:モナコ(個人富裕層の人口密度31.10%)

南フランスの地中海に面したイタリアとの国境に近い場所にある、小さな国、モナコ。2.02平方キロメートルという世界第2位の小国で、人口もわずか3万7,800人。

その首都がモナコであり、人口の3割以上が億万長者というのですから、一極集中ぶりにはびっくりです。

富裕層が集まってくるいちばんの理由は、個人所得に対して所得税を課していないこと。税金面の優遇を求め、こぞって富裕層が集まってくるというわけです。

気候も温暖で、交通のアクセスもよく、世界の食材やブランド品が集まり、治安もよく、カジノが楽しめると聞けば、富裕層でなくても興味が沸いてくる都市といえそうです。

節税対策や資産運用、護身など、庶民には計り知れない、億万長者ならではの悩みや知恵が、こうしたランキングに反映されているといえそうです。

世界の経済格差はますます進み、1%の最富裕層が、世界にある資産の半分を手にするという試算もあるほど。貧富の差にも目を向けたいものですね。

(文/山本裕美)

 

【参考】

※World’s top 10 cities with most millionaires-China.org.cn