OLとお悩みとツインテール

最近、同世代の女友達と、「どうやったら肌を引き上げることができるのか」という話をしていました。我々も重力には逆らえないのではないか、と。そこで意外な言葉が。「……私、実は家で毎日ツインテールをしてる」と。なんでも、頭皮が引っ張られるため、顔全体がキュッと上がるんだとか。

帰宅後、恥を忍んで挑戦してみたところ、確かに目がキリッとします。目尻も上へ、気分も上へ! これはすごい! 明らかに若返る! 

小学校から全然顔が変わらない、“ももち”こと嗣永桃子さん

と、そんなくだらないひとり遊びをしていた時に、ツインテールのとてつもない逸材のことを思い出しました。バラエティーで大活躍しているアイドル、“ももち”こと嗣永桃子さんです。

嗣永さんは2002年、小学5年生の時に芸能界入り。所属していたBerryz工房の活動休止後、カントリー・ガールズのプレイングマネージャーとしてグループを牽引しています。そう、彼女は24歳にして芸歴14年という大・大・大ベテランなのです。

カントリー・ガールズは、2014年に結成されたグループ。初々しい新人に混ざる、ベテラン。ひとりだけ、20代。絵面がどうなるのかと思いながら、いざデビュー曲のMVを再生すると……ダンスショットではなかなか嗣永さんが見つかりません! 違和感ゼロ過ぎて、衝撃でした。完全に、12歳とか(当時)の後輩メンバーと同じ画面の中で、馴染んでいるんです。

歌って踊る姿は、さすが熟練アイドル、さすがプロ。トークではオバさんキャラで道化になり、ジェネレーションギャップをネタにして後輩が弄りやすいようにトスをあげていきます。彼女もまた、長年ツインテールでいろんなものを引き上げていたのでしょうか(ちなみに現在は“ももち結び”を封印)。

自信が持てない後輩に見せた気遣いと凄まじいアドリブ力

トークの安定感から、大舞台で司会も任される嗣永さん。後輩グループ、Juice=JuiceのメジャーデビューイベントでMCを務めた際、メンバーのひとりが心細そうに「私はあんまりかわいくないので……ダンスと歌でみんなと頑張っていけたら」と発言しました。突然のマイナス発言に、客席が一瞬シーン……そこで嗣永さんは、すかさず「かわいいよ。まあ、ももちには勝てないけどね!」とツッコミ。会場を爆笑の渦に巻き込んだのです。きっと、「そんなことないよ!」と言っても、スルーしても変な空気になっていたでしょう。これはまさに、嗣永さんにしかできないファインプレー。

実は幼稚園・小学校の教員免許を持っている本物の教育者

ぶりっ子キャラだけど、実はしっかり者だというのはあまりにも有名な話。学業専念を理由に卒業してしまうアイドルがたくさんいる中、嗣永さんは第一線で活躍しながらファミレスで連日深夜4時まで勉強し、現役で大学合格。教育学部に進学し、教員免許を取得したのです。

教育実習経験はアイドルとして活動する上でも糧になっているようで、後輩へのケアも指導・悩み相談でばっちり。年下と常に一緒に行動するなんて、気苦労も多いかと思います。それでも、「(メンバー同士のケンカの相談を受けて)『あぁ、中学生のときあったあった』ってなりますね。青春時代をまた繰り返し思い出させてくれるというのも、私の中では楽しいことの1つです」(※2016年2月29日 Spotlightインタビューより)と大人な発言。常に自分が前へ前へ、というキャラであると同時に、大きくあたたかな愛でまわりを包みこんでいます。

ライバルにも冷静なアドバイス

共にバラエティー番組で闘うライバル・菊地亜美さんから披露されたエピソードもご紹介します。収録時、菊池さんがキャラクターモノの靴下を着用していた際に、嗣永さんは小声で「(権利的にNGで菊池さんがカットされてしまう可能性があるため)キャラモノの靴下は脱いだほうがいいですよ」とつぶやいたそうです。

ハロプロ以外でも、俯瞰して冷静なアドバイスができる。そして、芸歴が下のアイドルにも、きちんと敬語。ライバルの自滅により、ひとり勝ちの可能性もあったのに、なんてよくできた人なのでしょう。菊池さんも、尊敬している人物として嗣永さんの名前を挙げています。

どうしたらももちみたいな素晴らしい人間になれるのか?

そんな嗣永桃子さん、以前「ももちになるにはどうしたらいい? 」という問いに「嫌いな人を作らない」と回答していました。む、難しい。すさまじいアイドルだなと思います。

「歌は歌手、ダンスはダンサー……それぞれのプロフェッショナルがいらっしゃいます。アイドルは、その『人』そのものを好きになってもらえるか、なんです」

女神だとか天使だとかいう言葉でアイドルを形容するファンはたくさんいますが、彼女のもう一つの愛称は“嗣永プロ”。敬意を表して、いろんな人がこう呼ぶのです。嗣永桃子さんは、人間のプロなのかもしれません。

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(小沢あや)