「世界一のろい魚」として知られる北極海に生息する大型のサメ、「ニシオンデンザメ」が400年近くも生きることがわかった。脊椎動物では最長寿の新記録だ。

デンマーク・コペンハーゲン大学の研究チームが、米科学誌「サイエンス」(電子版)の2016年8月11日号に発表した。

徳川家光が3代将軍になった頃に生まれた

サイエンスによると、ニシオンデンザメは体長5〜6メートルに成長するが、1年間で成長するのは約1センチと非常に遅い。そのため、かなり長寿と推測されてきたが、サメは年輪ができない軟骨の骨格なので、寿命を測れなかった。同大学のユリウス・ニールセン博士は、ニシオンデンザメの眼球にあるタンパク質が生涯変化しないことに着目、タンパク質に含まれる放射性炭素の年代を測定して寿命を調べることに成功した。

漁網にかかった28匹を分析した結果、平均年齢は272歳と見積もられ、最も年齢が高かったのは全長5メートルのメスで、392歳と推定された。これまでの記録では、脊椎動物で最も長寿なのは211歳のホッキョククジラだが、大きく引き離した。ちなみに、このメスが生まれたと推測される西暦1624年は、日本では徳川家光が3代将軍になり(1623年)、西洋ではイギリスの清教徒がメイフラワー号でアメリカに移住した(1620年)頃にあたる。

赤ちゃんのハイハイの速度でアザラシを襲う

ニシオンデンザメは、巨体にもかかわらず驚くほどのろいことでも有名だ。体にスピード測定器をつけて調べると、泳ぐ速さは時速約1キロ。赤ちゃんのハイハイくらいの速度だ。そのくせ、胃の中からアザラシが出てくるので、どうやって素早いアザラシを捕食するのか謎だ。アザラシが水面で寝ている時を襲うのか、アザラシの方で漂っているニシオンデンザメを流木と勘違いして近づいてくるのか、諸説ある。

ニールセン博士は「北極海の冷たい水の影響で新陳代謝がゆっくりのうえ、動きがスローなので、無駄なエネルギーを使わないのが長生きの理由ではないか」とコメントしている。