22日、クルーズ船で入国した中国人観光客の失踪が福岡県や長崎県で相次いでいる。経済効果を見込んで入国審査が簡略化されたことが、新たな不法滞在の手段になっている。

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2016年8月22日、日本華字紙・中文導報によると、クルーズ船で入国した中国人観光客の失踪が福岡県や長崎県で相次いでいる。出港までに船に戻らず、そのまま日本に滞在している。爆買いなど経済効果を見込んで入国審査が簡略化されたが、それが新たな不法滞在の手段に利用されている。

2015年、海外から訪日したクルーズ船の博多港への寄港回数はのべ245回で、国内最多。ほぼ毎日のように数千人もの外国人観光客を乗せてくるが、旅程中に失踪した中国人は15年は11人に上り、16年に入ってからも若松港に寄港したクルーズ船を含めると6人が失踪している。

長崎県警によると、15年は11人が長崎港で失踪、今年は佐世保港などで6人がいなくなった。福岡で失踪した2人は京都府と福岡県で発見され、長崎県内で失踪した人も一部見つかったが、それ以外の失踪者は不法滞在を続けているとみられている。

法務省入国管理局によると、16年1月の時点で不法滞在者は約6万3000人。クルーズ船で入国して失踪した人は全体から見ればごく少数ではあるが、国土交通省によると、15年にクルーズ船で入国した外国人は前年の約2.7倍の111万6000人と増加している。日本政府は20年に外国人観光客500万人という目標を掲げており、捜査の関係者は「失踪者は増える恐れがある」と懸念している。

入国管理局は07年からテロ対策として入国時に顔写真と指紋採取を行っていたが、15年1月からは審査時間の短縮のため、クルーズ船の乗客を対象に顔写真の撮影を省略する制度を導入。入国管理局は「法務相が許可した船舶に限ったことで、出入国の厳格な管理は損なわれていない」としているが、捜査関係者は「旅費が安いため、富裕層以外の乗客も増えている」と指摘する。

また、「審査がぬるい」といった情報はネット上で広がりやすく、不法滞在目的でクルーズ船を利用する人がいるとの見方もある。福岡入国管理局は、失踪の疑いがある場合には、旅行会社からすぐ通報するように対策を講じている。福岡市によると、15年秋の調査で中国人観光客の平均支出は10万7000円。経済効果が無視できないものであることから、審査簡略化の流れが変わる可能性は低いとみられている。(翻訳・編集/岡田)