これぞ、大団円。まさにそんな幕切れだった。

 リオデジャネイロ五輪の男子サッカー決勝は、地元ブラジルがドイツを1−1からのPK戦(5−4)で下して、初めての金メダルを獲得した。

 これまでW杯はもちろん、U−17、U−20それぞれのW杯でも優勝を果たしてきたブラジルにとって、唯一欠けていたタイトルが五輪。過去、何度も優勝候補として臨みながら、不思議と手が届かなかった栄冠を、ようやく手にした。

 今回のリオ五輪では、ブラジルはさまざまな競技でいくつものメダルを獲得してきたわけだが、ブラジルの人たちが最も望んでいたのは、この金メダルだったに違いない。最後にFWネイマールがPKを決めた瞬間、スタジアム全体に耳をつんざくような歓声が響き、スタンドを埋めた観客のボルテージは最高潮に達した。

 ときはリオ五輪閉幕前夜。開催国ブラジルにとっては大会の締めくくりにふさわしい、初の金メダル獲得となった。

 とはいえ、ブラジルの初優勝に水を差すわけではないが、肝心の試合内容はというと、やや締まりに欠けた印象は否めない。

 どちらのチームもイージーミスが目立ち、ボールはブラジルとドイツの間を行ったり来たり。結果としてオープンな打ち合いになったため、見ている観客にとってはハラハラドキドキの面白い試合だったかもしれないが、U−23世代の世界一を決める試合としては、少なからずガッカリするところがあったのも確かだ。

 それは、決して決勝だけのことではない。

 大会全体を通じて、内容的に物足りない試合が多く、際立った活躍を見せる選手もほとんどいなかった。

 出場各国がベストメンバーを集めるのに苦労し、十分な準備期間もないまま大会に入らなければならない。事実上、五輪本大会のためだけに編成している急造チームがほとんどでは、内容を求めるのは無理な話なのかもしれない。

 そもそも予選方式からして、大陸連盟ごとに対応がバラバラ。4年間の集大成として五輪にすべてをかける他競技に比べ、残念ながらサッカー界では、五輪に対する熱はかなり低い。

 サッカーにおける五輪は、基本的にU−17、U−20それぞれのW杯と並ぶ、年代別世界大会のひとつと考えていい。年齢制限を受けないオーバーエイジの選手を3人まで加えることができるものの、ベースは23歳以下の世界大会である。

 ただし、その実態は試合内容からもわかるように、各国からかなり軽視されているのが現状だ。今後、その姿勢が急激に変化するとは考えにくく、むしろ軽視傾向は、望むと望まざるとにかかわらず、強まってさえいる。

 だが、見方を変えれば、W杯ではグループリーグ突破が現実的な目標になるような国、たとえば、ホンジュラス、韓国、日本といった国がベスト4まで進出できてしまう大会なのである。つまり、日本にもメダル獲得の可能性は十分にあるということだ。

 しかも、日本での五輪への関心度は極めて高い。そこでメダルを獲得できれば選手はもちろん、競技に対する注目度も間違いなく上がる。五輪でメダルを獲ることは、W杯で3位に入るよりもはるかにハードルが低いにもかかわらず、注目を集める効果は、W杯並みとまでは言わないまでも、相当に大きい。

 要するに、日本サッカー界にとっては、五輪はレベルの割に注目度が高い、"狙い目"の大会なのである。

 U−23世代はA代表と違い、ほとんどがJクラブ所属の選手であり、もしもメダルを獲得できれば、人気低迷が心配されるJリーグへの関心を高めることにもつながるだろう。

 もちろん、その効果は単に人気アップだけにとどまらない。当然、国際大会を勝ち上がる経験は、選手の成長にとっても大きな後押しとなる。あっさりとグループリーグ3試合で負けて帰ってくるのとでは得られる経験は大きく異なるはずだ。

 だとすれば、もう少し五輪に対して本腰を入れて強化してもいいのではないだろうか。

 今のまま無理をせずに、その時々で集められるメンバーを集めて、ある意味場当たり的に強化しているだけで、せっかくのビッグチャンスをふいにしてしまったのではもったいない。

 強豪国であればあるほど、五輪に力を入れている国なんてない、と言われるかもしれない。だが、世界を見渡しても、こんなに五輪のサッカーに注目してもらえる国は、おそらくそれほど多くない。そこで勝つことの影響は、他国と日本とでは大きな差がある。他国とは、そもそも前提条件が違うのである。

 ヨーロッパや南米は軽視しているからと、日本も一緒になって五輪を斜めから見るのでなく、もっと本気でメダルを狙いにいく発想はあっていい。

浅田真樹●文 text by Asada Masaki