第52味 中国
MSCI指数採用の見送りは、人民元の国際化を目標に人民元の国際化を目標に資本市場の自由化を目指す中国にとって痛手となるか?

MSCI採用の延期で株式市場から見える中国の課題と不安

6月 16 日に中国の上海ディズニーランドが開園しました。雨がちらつく中で長蛇の列を成す様子は、日本でも大きく報じられたので記憶に新しいところですが、今回のテーマは夢の国のオープン騒ぎではなく、その前日(15日)のニュースです。その内容は、「MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)グローバル新興国株指数への中国A株(人民元建ての中国本土株)の採用を見送る」というものでした。
MSCIグローバル新興国株指数は、 20 カ国以上の新興国株の大型株と中型株で構成されている株価指数です。この指数への中国A株の採用が決まれば、インデックスファンドなど、同指数を運用指標とする海外機関投資家から中国A株買いの資金が中国株市場に流入することになります。
すでに、香港市場に上場している中国企業のH株やレッドチップ、中国本土市場のB株(外貨建て)はこの指数に組み込まれているので、今回のポイントは、人民元が国際通貨として認められるかどうかという側面もありました(中国A株は人民元建てでの取引)。
中国A株の採用は見送られましたが、その理由は「中国金融市場の改善は進んでいるが、海外投資家によるアクセスにまだ課題がある」というものでした。中国金融当局に対して、さらなる改革が求められている格好ですが、実はこの指数採用に絡む話題は、2013年から3年連続で、猊眈紊靴討郎陵僂気譴〞を繰り返してきました。
つまり、これまでの改革ペースは、あまりスピーディーではなかったわけですが、今年 10 月にはIMF(国際通貨基金)のSDR*(特別引き出し権)の構成通貨に人民元が組み入れられる予定になっているので、今後は改革のピッチが上がることも考えられます。ただし、改革の進展は中国当局による「微妙なコントロール」を放棄することでもあります。
たとえば、金融システムを国際基準に適合させることを通じて、市場の変動幅が拡大したり、新たな不良債権や債務残高の問題が浮上する可能性もあります。
昨年8月のチャイナ・ショックは人民元が切り下げられたことをきっかけにスタートしましたが、実は上海総合指数がピークをつけて下落に転じたのは、それよりも前の6月でした。ちょうど昨年の指数採用が見送られたタイミングだったため、今回の見送りでも警戒しておく必要がありそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10月より現職。
ネット証券唯一の中国マニアでテクニカルアナリスト。
歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。