緊急スペシャル
英国のEU離脱で年後半マネーはこう動く!

J−REITなど利回りを狙う犂躓‖弍型〞投資を

国民投票で離脱派の勝利が決定的となった瞬間、取引時間の真っただ中にあった日本株が急落したのは周知の通りだ。その後は先のページでも触れたように下落は次第に沈静化し、当事者である英国、そして米国の株価は急落前の水準を回復した。しかしながら、そういった動きと比べると、直接的な影響はかなり限定的かと思われる日本株の反発力は弱い。「円高圧力が消えていないため、世界の金融市場がブレグジットショックから立ち直っても、日本株の戻りは鈍いままです。6月の大幅な円高には、(胴颪陵上げなし、日銀の追加緩和なし、ブレグジット可決という3つの理由があります。6月に続いて7月も米利上げがなく、日銀追加緩和がないと円高トライが続く可能性も」(窪田さん)
ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんこんな見解を示す。「今の金融市場におけるキーワードは為替で、もはや円安トレンドに回帰するのは難しい情勢。大統領選挙 も控えるため、米利上げは早くても12月でしょうし、来年から米国はシェールガス・オイルの本格輸出を始めるので、ドル安の流れのほうが好都合。しばらくは円安には向かいにくいはずです」
その一方で、圷さんは次のようにも指摘する。「英国とEUの新たな制度的枠組みが固まらない以上、最終的な世界経済への悪影響を市場が織り込む度合いは、自ずと限られたものになる公算が大きい」
とはいうものの、それはあくまで様子見の動きで、「先々に嵐が待ち受けているとしたら、今はその前の静けさ」(深野さん)である可能性も高い。EU残留を強く望んでいるスコットランドが英国からの独立に向けた動きを具体化させるなど、これらのニュースを きっかけに再び市場が反応する恐れもあるだろう。
こうしたことから圷さんも、「相場環境に不透明感が強い以上、短期的には速やかに『危機対応』型の投資戦略を考慮しておく必要がある」と注意を促す。では、具体的に私たち個人投資家はどのような作戦を講じておくべきなのか?深野さんは言う。「円高に伴って輸出企業が業績を下方修正することも予想され、株式市場ではなかなかキャピタルゲインを狙いにくい情勢が続きそうです。ここはインカムゲインをベースとした運用にシフトするのが賢明でしょう。加えて、為替差損が発生しうる状態も避けておくべき」
インカムを追求するうえでの選択肢として、深野さんはJ−REITを挙げる。「分配金利回りの市場平均が3・4%程度に達しているし、マイナス金利が組み入れ物件の調達コストを低下させていることも追い風です。今のJ−REITは過去最大の含み益を抱えており、その還元も期待できるでしょう。ほか、配当+株主優待利回りが高い銘柄に注目するのも一考。利回りが5%超に達する銘柄がゴロゴロ転がっています」
一方、国外のものについては為替差損を回避することが大前提となってくる。「米国経済が今後も堅調であることを前提とすれば、為替ヘッジありのコースで同国の高利回りハイイールド債を組み入れているファンドに注目するのもいいでしょう」(深野さん)
当面、キャピタルゲイン狙いは難しいと深野さんは判断したが、中長期的なスパンの逆張りスタンスで割安な銘柄を仕込んでおくという発想もある。窪田さんはこんな考えを示す。「市場のリスクオフ(回避)姿勢が後退すれば、PBR、PER、配当利回りなどバリュエーション面での割安感が見直される可能性があります。時間分散を心がけつつ、東証上場の大型優良株への長期投資を検討する好機かもしれません」
窪田さんによれば、東証1部でも特に時価総額が大きい 30 社(TOPIXコア30 指数構成銘柄)でもPBR1倍割れが続出しているという。日本を代表する企業の株価が相次ぎ解散価値を割り込んでいるのだ。「日本株式会社を象徴するこうした大型優良株に経営破綻を見込まない限り、株価下落は中長期の視野で見た投資機会を提供すると考えられます」(窪田さん)
ただし、繰り返しになるが、今後もショックは何度となく発生しうると覚悟しておいたほうが無難だ。窪田さんはこう振り返る。「英国民投票によるEU離脱派勝利と世界同時株安は、改めて『相場には、上り坂と下り坂の他に魔坂(まさか)がある』との格言を思い知らされるものでした」