DNA分析でわかった、5,300年前の「アイスマンのファッション」

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科学者たちが、「エッツィ」と呼ばれる5,300年前のアイスマンの衣類を構成する革をDNA分析した。エッツィがさまざまな動物を使って衣服をつくっていたこと、またファッションの文化が存在した可能性があることが明らかになった。

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2/3IMAGE COURTESY OF INSTITUTE FOR MUMMIES AND THE ICEMAN

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3/3復元されたアイスマン。PHOTO BY THILO PARG/WIKIMEDIA COMMONS

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1991年、イタリアとオーストリアの国境にあるアルプスのエッツ渓谷の氷河で、5,300年前の自然ミイラが発見された。「エッツィ」(Ötzi)という愛称で呼ばれるこのアイスマンのミイラは、これまで詳細に分析されてきた。

彼が生きていたのは銅器時代(紀元前4千年紀前後)。人類はこの数千年前から動物を家畜化するようになっており、当時の先端技術として石器や陶器などが使われていた。

以前の研究から、おそらくエッツィは、矢と頭部への打撃により殺害されたことがわかっている(左肩に矢尻が見つかったほか、後頭部に即死に至る量の脳内出血の痕跡がある)。また彼は関節炎を患っていたこと、死ぬ前にシカの肉やベリー類などの食事をとっていたこともわかっている。

エッツィの衣服が教えてくれたこと

ダブリン大学などの研究チームは今回、いくつかの手法を用いて、エッツィの靴ひもと帽子、コート、レギンス、矢筒を構成する皮革からDNAを抽出した

エッツィの衣類についてまず興味深いのは、非常に多くの動物が使われているという点だ。靴ひもはウシ、毛皮のコートの各部と腰布はヒツジからできている。コートのほかの部分とレギンスはヤギを材料にしている。ジャケットには継ぎ当てが複数回施されており、その革の切れ端は「少なくとも4頭のヒツジと2頭のヤギから無作為に選ばれている」。古い革がボロボロになると、新しいものが追加されていたようだ。

またエッツィの帽子がヒグマの皮革からできており、矢筒が野生のノロジカを材料としているというDNA分析の結果も驚くべきものだ。これまで科学者たちは、エッツィは農業を中心とする生活を送っていたと考えていたが、エッツィの一族は狩りも頻繁に行っていたことが明らかになったわけだ。

以前の研究では、エッツィの胃からアカシカの肉が発見されている。これらの事実は、エッツィが野生と家畜、両方の動物を使って生活をしていたことを示している。

エッツィの衣類の大部分はウシとヤギ、ヒツジからできているが、レギンスはすべてヤギ革でできており、ファッションの文化が生まれつつあったことも示唆している。

こうした発見は、絶滅した人々の生活についての新たな一面をわれわれに教えてくれる。

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