『脳にきく色 身体にきく色 (日経プレミアシリーズ)』入倉 隆 日本経済新聞出版社

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 キャンプや花火大会をはじめ、夏の野外でのレジャーにおける大敵ともいえる蚊。虫除けスプレーやリストバンドなど、さまざまな虫除けグッズも販売されていますが、"色"の効果を利用することによって蚊を遠ざけることもできるそうです。

 夏の夜には、街路灯にたくさんの虫が集まっている光景をよく目にしますが、これは虫などの動物が光に反応して移動する、走光性によるもの。走光性には2種類あり、光に向かっていく性質を"正の走光性"といい、光から離れていく性質を"負の走光性"と呼ぶそう。一般に昆虫は光に向かっていく、正の走光性を示すため、街路灯に群がることに。

 また多くの昆虫は、長い波長の光(人にとって赤色に見える波長の光)が見えにくい代わりに、紫外線が見えるのだといいます。そこで、田畑の近くの街路灯に昆虫が集まることによって作物が被害を受けてしまうのを防ぐには、紫外線の出ないLEDの街路灯を使うことが有効なのだそうです。

 一方、光に対して負の走光性を示す蚊やミミズは、暗いところを好み、明るい色より暗い色に集まる傾向があるそう。そのため蚊に刺されないようにするには、黒っぽい服を避け、白や黄色の明るい服を着ると良いそうです。

 色は身体の働きに大きな影響を与えるため、その工夫次第では豊かな暮らしにも繋がるというのは視覚心理、照明環境を専門とする入倉隆さん。本書『脳にきく色 身体にきく色』では、色の仕組みをわかりやすく解説、最新の研究成果を踏まえながら、生活に生かすことのできる色の用い方についても教えてくれます。

 色の不思議と、その生活への取り入れ方。たとえば、同じ距離にあっても、一般に赤、オレンジ、黄といった進出色は、実際にある位置より近くに見え、後退色と呼ばれる青は遠くにあるように見えるといいます。

 そのためメイクをする際には、頬に進出色のチーク、瞼に後退色のアイシャドウを使うことで顔に立体感が出るそう。また、壁に後退色の青色を使うことにより、狭い空間が広く見えるようにもなるといいます。

 さらに、人は黄色い光を温かく感じ、青白い光を涼しく感じる傾向もあるそう。そこで、暑い夏を少しでも涼しく感じたいのならば、照明の色には黄色みがかった電球色ではなく、白い昼光色を用いることによって約1℃ほど低く感じることができるのだそうです。

 色が身体へ与える影響について本書にて学んだ後、周りを見渡してみると、さまざまな発見や改善点が見つかるかもしれません。