■連載/石黒謙吾のLOVEビール
〜語ってもウザくならない、スマートでコクのあるビールの話〜

 ビールが好き、もっと知りたい&楽しみたい。でも、マニア向けのものは結構、とは言っても当たり前の話は知ってる。そんな、粋でイケてるビールファンに贈る、なんでもありの読み物です。語ってもウザくならない、スマートでコクのあるビールの話をお楽しみください。


 みなさんは、<母国語以外の言語で小説を書く>なんてすごいことを想像したことがありますか? という話しが今回のビールネタにつながっていきます。柳家小三治ぐらい長い<まくら>かもしれませんがまあ、おつきあいください。

 とまたもや、ビールの連載からスピンオフでのひねりネタ。

 過去ひねったのが、<香ばしい麦の香りがたまらない!ビール好きに飲んでほしい麦焼酎>と、<ビール感覚で楽しむ!麦焼酎のチェイサーは手作り強炭酸ソーダがおすすめ>の2回でしたが、今回は洋酒方面に向かう。

 今年はじめ、ふと、近所の<足ツボ整体>に行った。お店のサイトを見ていて、ここをやっている外人さんがどんな人かわかっていたのだけど、初めてなので特にこちらから何も言わず顧客カードに名前書いて渡したら……。

 「もしかして、編集者の石黒さんですか?」

 日本人より日本人らしい流暢な日本語でそうきた。

 まずは、このお店「若石足療 健康と癒しの書斎」に、このデビット・ゾペティさんの活動が書かれている。

 そう、『いちげんさん』(すばる文学賞・芥川賞候補・映画化)、『アレグリア』(三島由紀夫賞候補)、『旅日記』(日本エッセイスト・クラブ賞)、などなどかなりメジャーな著作がある小説家なのだ! ウィキペディアにも出てる。

 スイス人で、来日30年。お子様はすでに大学生2人!「「ニュースステーション」で記者兼ディレクターもやっていたりと、すごい経歴! 最近、新刊『旅立ちの季節』を上梓したばかり。

●アマゾン『旅立ちの季節

 ググっていたら、その話題で、久米宏さんのラジオ番組にもゲストで出たようで、その記事もあった。

●TBSラジオ<久米宏 ラジオなんですけど>
老後はやりがいも生きがいもいらない!? / デビット・ゾペティさん×久米宏

 初めて行ってからこの半年は2週間に1度きっちり通うようになり、仕事が近いこと、年齢も僕のひとつ下とほぼ同じで、施術を受けている1時間にいろんなジャンルの話しをするようになった。そして中でも盛り上がるのが、お酒について!(ここでやっと連載のテーマの登山口に到達……)

 お互いお酒は全般に好き。僕は当然ビール、特にベルギービール。あちらは主たるフィールドはシングルモルトウイスキー。でも2人ともどんなお酒も楽しめる。

 そんなバッカストークから自然に出てきたのが、「アブサン」である!(ここでやっと連載のテーマの五合目に到達……)

あぶさん

「アブサン」と耳で聞いたら、野球マンガ「あぶさん」を思い出す人のほうが多いかもしれない。1973〜2014まで、小学館『『ビッグコミックオリジナル』で連載していたこれだ。

●<あぶさん

 しかし、ビール好き-つまりお酒好きなみなさまであれば、「度数の強いヨーロッパのお酒」ぐらいは知っているだろう。

 実は僕もその程度の知識しかなかったし、バーで数回飲んだことはあったが、特段、それ以上深掘りしようとは思っていなかった。しかしこの「アブサン」、デビット・ゾペティさんから教えてもらったら、その世界の深いこと深いこと!

 先に僕なりに教わったことと、飲んでみた印象を言っておくとこんなお酒だ。

<すごく強いので水を足して、アブサン3対7水あたりに割る。すると白濁する。味は甘め。そして特筆すべきはその酔い方。麻薬っぽいというか、ふわーっと来る>

 原材料の<ニガヨモギ>に含まれている成分<ツヨン>が、そういう幻覚っぽく作用するのだとか。そんなお酒だからなのか、昔は、ゴッホ、ロートレックなど画家、詩人などに愛されたらしい。

 などなどの基本事項をまずはウィキから。

●ウィキペディア<アブサン

 ここには、<フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールの一つ>と書かれているが、デビッドさん曰くこうだ。

「スイスのは、他の国のとレベルが全然違うんですよ! そもそもアブサンの発祥地がスイスなのです」

 特に、チェコのものなど、たんにアルコール度数が高いだけとかで、味は話しにならなにものが多いのだと。そんな製品を出す際に、<バーテンダーがバーカウンターでスプーンに角砂糖を乗せてアブサンを浸し火をつける>なんてパフォーマンスが始まったのではと言っていて、あんなのは、美味しいお酒と別次元であり、邪道中の邪道だと。

 味わいや酔い心地と別に、深みがある!と僕が惹かれたのは<アブサンファウンテン><アブサンスプーン>という用具。まずはこの動画がわかりやすいのでどうぞ。

●アブサンファウンテン

 こうやって、小さいグラスにアブサン少量を入れておき、その口に小さい穴がいくつか空いたアブサンスプーンをわたす。上には角砂糖を置き、用具(アブサンファウンテン)から少しずつ<水>を落とし加水していく。徐々に白濁していく様を愉しむというのだ。

 しかもこのアブサンファウンテンの口が4つとかあって、みんなで集まってこの様子をみつつ飲み交わすと。そんな<アブサンバー>は日本でもあるようだ!

 いやー、たんに飲むだけではなく深みがあってかっこいい! 僕がベルギービールで提唱しているキーワード<大人のホビー>は、まさにアブサンも!

 ともっと書きたいこともあるがキリがないので、ここらでお酒そのものについての話しを。(ここでやっと連載のテーマの七合目に到達……)

 デビット・ゾペティさんに足の裏を押してもらいつつ話を聞き、なるほど、スイスのものが飛び抜けていることはわかったので、オススメ銘柄を聞いたら即答されたのがこの「アルテミジア」という醸造所。なんと1人で造っているのだとか!

白濁していく動画がTOP画面に!必見。

<アルテミジア>オフィシャルサイト

<アルテミジア>オフィシャルサイト

1人で造っている件、日本のショップサイトにも説明が。

武蔵屋<アルテミジア>

 さらに、デビットさんに足を押してもらいながら(笑)、スマホで<アルテミジア>を検索すると、このようなラインアップを発見。

愛・酒・人 武蔵屋 SAKEDORI支店<アルテミジア>

 この中で具体的銘柄のオススメを訊ねるとまたまた即答。

「カプリシューズはもう、最高ですよ」

 これです。

アルテミジア・アブサン カプリシューズ

■アルテミジア・アブサン カプリシューズ
(スイス 度数72% 700ml)

ビールじゃないのでひとことだけ! 気高い甘味とまさに「トリッピー」な酔い方!
★女性タレント見立ては、沢尻エリカ

 で、気になったら即実行がポリシーなので、帰宅してすぐ、当然のようにネットで買おうとサイトへ。ショップサイトの説明も読みつつ。これ、アブサンのことがよくわかるし、面白い。

信濃屋<アルテミジア・アブサン カプリシューズ>

 ここでさらなる展開が始まります!(やっと連載のテーマの九合目に到達……)

 下のほうに表示された<この商品を買った人は、こんな商品にも興味を持っています>がふと気になって飛んでみるとこんな説明が……。

信濃屋<エクストリーム・アブサン リファイン>

「基本的にそのまま飲むものではなく、様々なカクテルやビール、コーラ等に数滴加えてスパイスとしてお楽しみください」とあるじゃないか!

 ビールに!……これだっ! なんだかわくわく。

 気になったのでググるとここにも説明が……。

キマサリカー<エクストリーム・アブサン リファイン>

「瓶の形状もユニークで、薬品をイメージしており蓋はスポイトになっています。コレクションとしてや珍しいお酒を好む方には特にオススメです」

 スポイトで!……これはきまりだ。これも同時に信濃屋のカプリシューズと一緒に<カゴ>にインしてポチる! 

 すぐに届いたのでその晩すぐさま、実行だ!

 スポイトで数滴、ぽとぽとっ。うーむ、薬草っぽくなって、キャッチーな味に仕上がるね! これは面白い。日々のビールライフに彩りを加える新趣向。また一段、ビール道の階段を上がった気がした。

 が、ついに連載のテーマの頂上に到達……したらおわりになってしまった(笑)。

エクストリーム・アブサン リファイン

■エクストリーム・アブサン リファイン
(フランス 度数70% 100ml)

ホップのアロマが、さらに草っぽくなって際立ってくる感じ。たまにのアクセントに!
★女性タレント見立ては、紗栄子

 このスポイトで垂らす写真、なんか秘密めいていて、クルでしょうー!

★今日のビール川柳★
ニガヨモギ ホップと合体 新境地

文・写真/石黒謙吾(いしぐろ・けんご)

著述家・編集者・分類王。日本ビアジャーナリスト協会・副会長、日本ベルギービールプロフェッショナル協会・理事。映画化されたベストセラー『盲導犬クイールの一生』はじめ、『2択思考』『図解でユカイ』『ダジャレヌーヴォー』『エア新書』『分類脳で地アタマが良くなる』『ベルギービール大全』など幅広いジャンルで著書多数。プロデュース・編集した書籍も、ベストセラー『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『ナガオカケンメイの考え』、『負け美女』(犬山紙子)、『読む餃子』(パラダイス山元)など200冊以上。twitter: @ishiguro_kengo、facebook:石黒謙吾、blog:イシブログケンゴ

■連載/石黒謙吾のLOVEビール
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