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By Francisco Schmidt

過去50年以上に世界の宇宙開発の最先端を進んでいるNASA (アメリカ航空宇宙局)が、その研究成果をオンラインで無料公開することを発表し、誰でも自由に論文を検索できるサイト「PubSpace」を公開しました。

NASA in PMC

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/funder/nasa/



Nasa just made all its research available online for free | Science | News | The Independent

http://www.independent.co.uk/news/science/nasa-research-available-free-online-a7200011.html

この決定は、2013年にホワイトハウスのアメリカ合衆国科学技術政策局がNASAを含む機関に対し、その研究結果に誰でも容易にアクセスできるよう指示したことをもとに実現したもの。これまでは有償で提供されていたのですが、NASAではそのほとんどを無償で公開することを決定しました。

公開される論文はNASAが独自の予算で実施した調査に関するもので、国家の安全に関わる内容のものは除外されているとのこと。それでもすでに記事作成時点で860件あまりの論文が公開されており、今後もどんどん追加されるとのこと。原則として、論文の公開から1年以内にPubSpaceに掲載されることになっています。

論文の検索は、ページ上部の検索窓にキーワードを入れて「Search NASA article in PMC」をクリックするだけ。ここでは1960年代を中心に実施されたアポロ計画に関するものを探すべく、「apollo (アポロ)」と入力して検索してみました。



すると、38件の検索結果がヒット。「アポロ月面宇宙飛行士に認められる心臓血管疾患による高い致死率:深宇宙の放射線に血管内皮に対する影響の可能性」など、宇宙の研究に関する論文が多く見つかりました。



その中に含まれていた「The Ages of the Luna Seas (月の海の年齢)」という論文を開くと、実際の論文内容が表示されました。



NASAが実施してきた研究は宇宙開発だけでなく、経済の発展にも寄与しているとのこと。NASAの主任科学者であるEllen Stofan博士は声明で「論文へのアクセスを容易にすることで、我々の研究が持つ影響力を大きくすることができます。我々のような科学者や技術者も、他の人によって成し遂げられた研究成果の基礎の上に仕事を積み重ねているのです」と、今回の公開の意義について語っています。

サイトではこのほかにも火星で確認された高さ400フィート(約120メートル)の津波の痕跡や、木星の惑星「タイタン」の声明について宇宙で体の調子を保つための研究などを閲覧することが可能。宇宙に興味がある人なら夢中になりそうなサイトとなっています。