19★_20160812 (5)

位置情報連動型ゲーム『ステーションメモリーズ!』などのモバイルゲームを中心に事業を展開する株式会社モバイルファクトリー。今回は、数々のソーシャルアプリを手掛けている、ソーシャルアプリ事業部でリードエンジニアを務める飯沼 遼(いいぬま・りょう)氏に話を伺った。

4★_20160812 (3)
◇株式会社モバイルファクトリー ソーシャルアプリ事業部リードエンジニア 飯沼 遼(いいぬま・りょう)氏

- まず、飯沼さんはモバイルファクトリーでどういった業務に携われているのでしょうか?

飯沼氏:モバイルを中心としたサービスを展開しており、現在もっとも力を入れているのが位置ゲームです。その中でも『ステーションメモリーズ!』というゲームが今一番盛り上がっています。僕はその『ステーションメモリーズ!』のチームに所属していて、フロントエンドエンジニアとしてUXを中心とした開発に携わっています。

- 「ステーションメモリーズ!」のユーザはどんな方が多いのでしょうか?

飯沼氏:基本的には、よく電車に乗って移動する方々をターゲットにしています。ゲーム自体が、未来からやってきた「でんこ」という女の子の姿をしたアンドロイドと一緒に駅の思い出を集めるというコンセプトなので、特に若い世代や女性にもよく使っていただいていますね。そのため、「でんこ」をいかにユーザにポジティブに見せてあげるか、という部分は特に気を配っています。ユーザに「一緒におでかけすることが楽しい」と思ってもらえているのも支持を集めている要因かな、と考えています。

_____________480___________________480________________480

 

 チーム全員で1つの目標にコミットする環境が、メンバーの可能性を広げる

- モバイルファクトリーに入社されたのはいつ頃ですか?

飯沼氏:2011年の4月に新卒として入社しました。今年で6年目になります。僕が入社した当初は、開発部と企画部の部署があって、作る人と考える人が分かれていました。そこから現在は事業部制になって、1つのチームや集団になって作るスタイルになりました。全員が1つの目標に対してどうコミットするかを考えられる状況になったので、その人のできる可能性が広がり、考え方自体が変わってきていると思います。

- 『ステーションメモリーズ!』以外にこれまで関わってきたプロダクトは何がありますか?

飯沼氏:たくさんありますね。入社当初、女性向け恋愛シミュレーションゲームを作っていました。そこから複数のWebサイト、社内システム、ゲームアプリなどの開発を経て、『ステーションメモリーズ!』リリース直前の開発ヘルプをし、昨年から新規の位置ゲームを開発して、今は『ステーションメモリーズ!』に戻ってきたという感じですね。社内で1番多くプロジェクトを経験したのではないかというくらい多種多様なプロジェクトを渡り歩きました。

- これまでで1番苦戦した、成長を実感できたようなプロジェクトはなんですか?

飯沼氏:当時全員新卒入社の3人でスタートした壁紙配信サイトの開発ですね。正確には、企画1人、サーバーサイドエンジニア1人、ネイティブアプリを見るエンジニア1人の3人と途中から参加したデザイナー1人を合わせた4人で進めました。ただ、みんなゼロからサービスを立ち上げた経験がなかったのでとても苦労しましたね。企画者に対して仕様を切ってくださいとか、スケジュールどうですかとか、僕の方から詰めて苦笑されたこともありました (笑)。その反面、新しいフレームワークを導入したり、これまでやってこなかった考え方で設計したり、ずいぶん自由にやらせてもらったなと思っています。

 

物書きの経験が「ゲームストーリー」に生かされる

 

- 飯沼さんがエンジニアになったきっかけを教えてください。

12★_20160812 (3)

飯沼氏:中学生時代にMMORPGにハマって、その当時の友人に「ホームぺージ欲しいね」と話をされたのがきっかけだと思います。ちょうどWeb1.0の時代ですね。Javascriptを使って文字が横に流れて行くようなWebサイトを作って「すごい!」って楽しんでいました(笑)。それで試行錯誤してWebサイトを作る楽しさに目覚めて、HTMLやCSSなどを学んでいきました。

そのあと、高校時代に友達と一緒に小説を書き始めて、それを公開するWebサイトを作っていたこともあります。はじめはテキストをコピペして改行タグを一気に打ち込む方法だったのですが、CGIプログラムを真似して自動で改行を挿入・体裁を整えるような仕組みを作って効率化して。そこからプログラミングに関心をもち、情報系の大学に進学しました。独学でPHPの勉強もして、その頃には小説よりもプログラミングの方が楽しいと思っていました。

- なるほど。ちなみに入社したきっかけは何だったのでしょうか?

飯沼氏:学生時代、そんなふうに自由に開発していくなか、大企業的みたいなある程度型の決まったシステムは向いていないだろうなと思い始めまして(笑)。少人数で好きに開発できそうな会社を探して、紆余曲折あって巡り合ったのがモバイルファクトリーでした。

先ほど小説を書いていたと言いましたが、いまとなってはその経験がゲームのストーリー構成づくりにとても活きているなと思います。僕を採用したエンジニアの先輩に採用理由を聞いたことがあるのですが、「小説を書いていると聞いて、論理的に考える能力があると思った」と言っていただいたことがあって。物語を矛盾なく進めていくことは、つまり理詰めなので、そういう訓練になっていたのではないかと思いますね。

- 既出のサービスを見ていると、ストーリー性のようなものを重視されているなと感じます。

飯沼氏:ストーリーは重視していますね。ストーリー性はUXを考えるうえでとても大事な要素で、ユーザに何を体験させたいかを設計するのに欠かせません。ストーリーを思い描けるメンバーを増やしていきたいのですが、それがまた難しいと感じているところです。今僕たちが作っているアプリで「人を感動させられるか」と考えたときに、ただ情報を並べて整えただけのデザインでアプリを作ったとしてもダメなんですよね。重要なのは、そのUIに対して「ユーザがどういう気持ちで何をしたか」ということを設計することで、そこにストーリーが必要になります。

以前、「ステーションメモリーズ!」のエイプリルフール企画で、4月1日に「地球外チェックインに対応」という仕掛けをして、アプリにアクセスするといきなり「地球にチェックインしました」と出てくるようにしたんです。そこでユーザはエイプリルフールに気づくわけですが、「地球にチェックインしました」だけでは物足りないので、きちんとバックストーリーを盛り込んで、「でんこ」たちの会話でストーリーを表現することを提案しました。裏で何があったのだろう? と想像させることがユーザの満足度を高める起爆剤になるんじゃないかなと思っています。

- そういった企画はどうやって考えているのでしょうか? 何か企画づくりのポイントなどがあれば教えていただきたいです。

13★_20160812 (3)

飯沼氏:個人的には、ユーザがなにを求めているのかを想像しつつ調べて考えるようにしています。世の中には多くのエイプリルフール企画がある。その中のどれかをマネしてもよいのですが、『ステーションメモリーズ!』らしさを出したいなと思ったので、エイプリルフールをフックとしてユーザにより「ステーションメモリーズ!」を楽しんでもらう方法について、ユーザ像を作り込んでメンバーや他のチームの人とディスカッションしました。

ディスカッションを進める際は、「君の立場だったらどう?」といった質問をその場で聞いています。意見をいろいろ出すなかで、他の考え方との差を埋めていく。共通のイメージとして持てるユーザ像をいかに作れるかが肝だと思います。

 

- いま所属しているソーシャルアプリ事業部はどのような人が多いですか? また、一緒に働きたい人はどのような人ですか?

飯沼氏:傾向的には結構アニメ好きで、いい意味でオタクが多いかもしれません。お酒好きも多いです。あとは、それぞれさまざまな趣味を持っているけれど、自分ひとりの殻に篭る人は少ないですね。むしろ自分の趣味に人を巻き込んでいく人も多いですし、率先して付いてくる人もいます。オンとオフの切り替えはしっかりするものの、わりとアットホームで和気あいあいとしているなと感じます。

一方、ビジネスの話は真剣に話しますし、抜く所は抜きますね。一緒に働きたい人は、酒を飲みながらエンジニアの会話ができる人ですかね(笑)。ここのエンジニアは、酒を飲みながら技術の話をするので、アニメの話や技術の話をしているのかと思ったら会社の話をしていた、みたいな感じで、オールラウンダーな人が多いですね。なんだかんだエンジニアリング好きな人が多いので、そういう部分についていきたいと思えるような人と一緒に働きたいです。

- 個人・事業それぞれの観点で、現在のサービスやいちエンジニアとしての今後の展望を教えてください。

飯沼氏:事業の観点ですと、エンジニアとして表現できる技術を磨いていきたいです。たとえば、今はVRが盛り上がっていますよね。VRは仮想的な世界にいかにリアリティを出せるかだと思うのに対して、位置ゲームは現実にバーチャルを持ち出す方法を模索しなければいけないと思っています。

いかにそのVRに対抗したAR的な拡張現実っぽさを出すか、「でんこ」と一緒におでかけしたいと思ってもらうことでいかに外に出かけたいと強く思わせるか、位置ゲームでいかにユーザの生活を変えていけるか、ということを考えて作っていきたいです。また、ユーザの心を動かすストーリーをどう作っていくかという部分を、チーム全体で考えられるようになりたいです。

僕個人としては、それを先導できたらいいなと思います。やはり僕自身がそのようなストーリーを求めているので、チーム全体で作っていくキッカケになれるような動きができればハッピーだなと思っています。

- ありがとうございました。

ユーザにより楽しんでもらうため、「ストーリー」を一番に重視するという株式会社モバイルファクトリー。開発現場の和気あいあいとした雰囲気が、ユーザを飽きさせない“ワクワクする仕掛け”を生み出しているのではないだろうか。現在話題を呼んでいる『ステーションメモリーズ!』もだが、「ゲームでいかにユーザの生活を変えていけるか」にこだわりをもって開発に取りくむ彼らの次リリースにも期待したい。

 

002


今回取材した方

株式会社モバイルファクトリー ソーシャルアプリ事業部リードエンジニア
飯沼 遼(いいぬま・りょう)氏

2011年にモバイルファクトリーに新卒入社。サーバサイド開発からUIの制作に感心を持ちHTML5を中心に知見を広げ、現在はフロントエンドエンジニアとしてUI/UXの提案から改善・実装まで広く担当。最近はTwitterのタイムラインが技術ネタよりアニメの実況で埋まってきていることが悩み。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]