離婚は不安で寂しい…それでもシングルマザーを選んだ理由

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 長い長い人生には、その後の運命を大きく左右する「選択のとき」が幾度となく訪れる。なかでもすべてが一変する「結婚」は、一世一代の大決心。愛するパートナーと積み重ねていく幸せな日々と、“妻”というスタンスの新しい生活。でも、もしその現実が思い描いていたものと違ったら……?

 再び訪れた離婚という「選択のとき」に悩んでいるアナタへ、悩んだときのヒントの見つけ方をお話しできたらと思います。

◆結婚の理想と現実

「いかなるときも共にあることを」と、神に誓ったはずなのに、欺く思いは足音も立てずに滑り込んできた。私が離婚を決意したのは、5回目の結婚記念日を迎える1か月ほど前。でもそれまでに、1年近くはズルズルと悩んでいた。

 当時の私は1歳と2歳の2児を育てる専業主婦。人当たりのいい夫は「優しい」と評判だったし、夫が参加する集まりには必ず私や子どもを同伴する“よき夫”で“よき父親”で、傍からみれば、私は“愛されている幸せな妻”だったと思う。

 でも、実際の生活は違った。

 結婚後、半年足らずで夫は浮気を開始。入籍から1年半後に挙げた結婚式には不倫相手が参列。第1子を出産したあたりからは、風俗にまでハマりだした。しかも、それらすべて「おまえがもっと綺麗なら」「いい妻なら」「女としての魅力があれば」しなかったそうで、不倫や風俗三昧の原因は、すべて私にあるといわれていた。

 今思えば、ふざけんなである。でも、当時の私は夫の言葉に従い、毎日朝から化粧をキメてオシャレをし、彼のタイムテーブルが寸分の狂いなく進行できるよう尽くし、つねにご機嫌をうかがいながら生活していた。年子の子育てをしながら。

 浮気されるのがイヤだったからだけじゃない。ことあるごとに受けていた拳と言葉の暴力で、「私がダメな妻なんだ」と思いこんでいたのだ。

◆自分が変われば離婚は避けられる?

 今でこそ「ドメスティックバイオレンス」や「モラルハラスメント」という言葉が市民権を得ているが、当時はその認知度も低く、まして外では好評な夫の内情など、誰に訴えても信じてはもらえなかった。無論、私自身「私が変われば」と思うばかりで、離婚の「り」の字も頭をかすめなかったのだけれど。(夫はしょっちゅう口にしていたけどね)

 そんな状況に一石を投じたのは、10数年来の親友。久々の再会で、やせ細り、自分を責めながらも夫の不貞や暴言に対する悩みを打ち明ける私を見て、尋常ではない何かを感じたらしい。すぐに離婚を勧めてきた。

 そこから1年、グズグズと悩み続ける。

 しばらく社会と離れていた私が、子ども2人を養えるほどの職に就けるか?

 子どもたちは寂しい思いをするんじゃないだろうか?

 両親や周囲にはなんて説明すればいい?

 そもそも、私の我慢が足りないだけじゃないの?

 そんな思いが、頭の中をグルグルまわる。でも、暴力や暴言のあと心底申し訳なさそうに反省を述べる姿に、私が怒らせなければいい夫なんだとか、「もうしない」の言葉は今度こそ信じていいのかもしれないとか、「やり直せる」という思いが根底にあったのが、離婚に踏み切れない一番の理由だった。

 しかしその後、夫が子どもにケガをさせる一歩手前の事態が起こり、私の洗脳は一瞬で解けた。「子どもを守らなきゃ」との思いだけに突き動かされ、その出来事から1か月かからず、離婚届を提出した。

◆それでも離婚に踏み切った理由

 実際に離婚して感じたことは、手続きなどの作業がすべて落ち着いたとき、達成感や解放感とともに「ひとり」の孤独も押し寄せるということ。

 ちょっとした出来事や子どもの成長を、共有できる相手はもういない。家族を養うのも、重たい荷物を運ぶのも、ゴキブリが出たときだって、これからはすべて自分だけが頼りだ。

 それらはシングルマザーとして独り立ちした自分自身への戒めになる反面、この先なにがあっても、笑いあったり相談したりするパートナーがいないという実感にもつながる。

 一度でも夫婦として過ごした時間を知っていると、独身のころのそれとは違う心細さを感じてしまうときもあるのだ。

 でも、結論から言ってしまえば、DVは治らない。どんなに妻が我慢しても努力をしても、生活は改善しないのである。そんな相手であれば、被害が大きくなる前に別れることを全力でおすすめする。

 原因がDVでなかったとしても、何かしらのメリットとデメリットが生じるのが離婚。私は離婚によって心身の呪縛が解け、経済的安定と引き換えに、安らぎと笑顔を手に入れた。

 もしまだ迷いがあるのなら、「離婚することで失うモノは何か。それを失くしても今を上回る幸せが手に入るか」を考えるだけで、離婚をするかしないかのヒントがちょっぴり、見えてくるかもしれない。

<TEXT/千葉こころ PHOTO/BillionPhotos.com>