リオ五輪では卓球競技において日本と中国の激しい戦いが繰り広げられた。その裏で、日本と中国の、しかも卓球に関わる悲しい出来事が起きていた。中国メディア・北京青年報は20日、日本人を妻に持つ元中国代表の卓球選手の墓碑が黒いペンキで落書きされているのを妻らが発見したと報じた。(イメージ写真提供:123RF)

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 リオ五輪では卓球競技において日本と中国の激しい戦いが繰り広げられた。その裏で、日本と中国の、しかも卓球に関わる悲しい出来事が起きていた。中国メディア・北京青年報は20日、日本人を妻に持つ卓球の元中国代表選手の墓碑が黒いペンキで落書きされているのを妻らが発見したと報じた。

 記事は、北京市の墓地にある卓球元中国代表選手の故・荘則棟さんの墓を17日、妻の佐々木敦子さんらが訪れたところ、墓標の一部にペンキが吹きかけられていたのを発見したと紹介。ペンキが吹きかけられたのは、墓標に金色で書かれている「愛妻佐佐木敦子敬立」の文字の部分だったとした。

 その上で、この件について佐々木さんと一緒に墓参した中国人の知人が「佐々木さんの身分が原因だと思うが、これはやり過ぎだ。佐々木さんはもう中国人になっていて、中国のパスポートを持っているのに」と語ったことを伝えた。一方、佐々木さんは中国国内で社会保険に加入できず、生活にも不便であるため、普段は日本で生活していること、中国の彼岸にあたる清明節や、中国国内で荘さんの名を冠した国際卓球大会が行われる時に北京の墓を訪れていることを紹介している。

 記事はさらに、佐々木さん本人は平静を望んでおり取材を拒否していること、墓地の関係者は「知らなかった」と語っていることを併せて伝えた。

 荘さんは1940年生まれ。世界選手権男子シングルス3連覇を達成したほか、1970年代のいわゆる「ピンポン外交」において重要な役割を果たした。2008年に末期のがんと診断され闘病を続けたが、13年2月に72歳で亡くなった。その墓碑には「小さな球で地球を動かした人、ここに眠る」と刻銘されている。

 墓碑に黒いペンキが吹き付けられた原因については、あくまで知人の憶測に過ぎない。ただ、8月15日の終戦記念日が近かったこと、日本と中国との関係がギクシャクしていることなどを考えれば、その可能性が全くないとは考えにくい。中国が日本を始めとする世界と繋がる扉を卓球で開いた人物が、外交や政治的な理由により辱めを受けたとなれば、実に悲しいことである。(編集担当:今関忠義)(イメージ写真提供:123RF)