WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに五輪競技に復活した男子ゴルフ。多くのトップ選手が出場を辞退するという状況にあって、開幕前はさまざまな不安も囁かれていたが、最終日にはふたりのメジャーチャンプが見応えのある一騎討ちを披露。終わってみれば、大きな盛り上がりを見せた。

 最後まで熾烈な優勝争いを見せたのは、2013年の全米オープン覇者でイギリス代表のジャスティン・ローズ(36歳/イングランド)と、7月の全英オープンで初のメジャー制覇を果たして、乗りに乗っているヘンリク・ステンソン(40歳/スウェーデン)。最終的には、通算15アンダーの同スコアで迎えた最終18番パー5、第3打のピッチショットを80cmにつけたローズがバーディーを奪って、同じ第3打を寄せ切れなかったステンソンを退けた。

 その戦いの空気感は、メジャーのそれとはまるで違っていた。歴史の1ページを刻むという興奮なのか、ゴルフへの思い、さらには国を背負って戦うプライドなのか、"五輪"が持つ特別な意味を、そこにいた誰もが感じていた。

 金メダルを獲得したローズが言う。

「今まで味わったことのない、なんという1週間だったのだろう。とにかく、英国を代表して戦った。表彰式で金メダルをかけられたとき、本当に感無量だった」

 惜しくも銀メダルに終わったステンソンもこう語る。

「今週は、メダルのためだけに戦った。本当は銀よりも金がよかったけれど、最後まで優勝争いをした自分のパフォーマンスを誇りに思う」

 3位には、最終日に爆発したマット・クーチャー(38歳/アメリカ)が入って銅メダルを獲得。開催地ブラジルのゴルフファンからも、お決まりの"クーッチ"という声援を受けて多大な人気を得ていた彼も、喜びのコメントを発した。

「これまでのゴルフ人生で、3位に入ってこんなにうれしかったことはない」

 今回、多くの競技で空席が目立つリオ五輪だが、ゴルフの最終日はチケットが完売。1万2000人を超えるファンがコースに足を運んだ。そのファンも、世界のトップ選手の戦いぶりを大いにエンジョイしたに違いない。そういう意味では、ゴルフの五輪復帰はひとまず成功と言えるだろう。

 ところで、そんな歴史に残る戦いの舞台から、自ら身を引いてしまった選手たちは、この大会をどう見て、どんなことを感じたのだろうか。

 ジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)は、最終日に「63」をマークして母国に銅メダルをもたらしたクーチャーに、すぐさまお祝いのメッセージをツイートした。

「おめでとう、クーチ! 素晴らしいプレーだった。これで、僕の目標は2020年(の東京五輪)に母国の代表として戦うことだ」

 この文面からすると、今回辞退したことをスピースは、今頃ちょっと後悔しているのかもしれない。

 アイルランド代表として出場予定だったロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)は、ローズにお祝いメッセージを送り、その中で自らはテレビの前から離れられなかった旨を綴っているという。ローズが語る。

「ロリーからメッセージが来た。僕のことを『とても誇りに思う。五輪の金メダルの価値は本当に大きい』と。彼はテレビ放映で、この戦いをずっと見てくれていたんだ」

 世界ランキング1位のジェイソン・デイ(28歳/オーストラリア)も、勝利の行方だけは見守っていたそうだ。

「(リオ五輪の)ゴルフは、1ホールだけ見ていた。最終日の最後の1ホールだけ」

 さて、リオ五輪での"成功"を収めた男子ゴルフだが、2020年東京五輪以降も、五輪競技として残されていくのだろうか――。

 その協議は来年、2017年のIOC(国際オリンピック委員会)総会でなされる予定だが、IGF(国際ゴルフ連盟)のピーター・ドーソン会長は、「東京大会では大会方式の見直しも考える」と話している。

 今回は、72ホールのストロークプレーによる個人戦のみだったが、来年の協議ではその競技自体の見直しも検討するということだ。もしかすると、スペイン代表のセルヒオ・ガルシア(36歳)ら多くの選手から出ていた「例えば、男女ミックスなど、何かチーム戦がほしい」という、かねてからの要望に応えるのかもしれない。その結果、チーム戦なども行なわれるようになれば、東京大会以降も五輪のゴルフが存続していく可能性は高まるだろう。

 ただ一方で、五輪のゴルフに対して、今なお疑問視する声は絶えない。今回の開催コースも、五輪終了後はパブリックコースとして残されるが、実際にどれだけのブラジル人がプレーするかは、経済的な問題もあって、何とも言えないという。多くの観客がトップ選手の戦いを生で楽しんだとはいえ、その後の影響は意外に乏しいのかもしれない。

 加えて、男子はメジャーチャンプの争いに沸いたが、結局はゴルフ大国を代表するトップ選手たちが上位を占めた。それが、ゴルフの小国にどれほどのインパクトを与えたのか? という疑問の声や、メジャー大会の盛り上がりと変わらないのでは? との指摘もある。

 とはいえ、「ゴルフの発展、ゴルフ人口の増加」を目指して、五輪競技に復活したばかり。その成果は、そう簡単に測ることはできない。だからこそ、長く続けていくことが重要だ。2020年以降も五輪競技として残れるよう、熱戦が繰り広げられている女子競技にも注目し、大いに盛り上がることを期待したい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN