杉田勝氏

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米国の利上げも円安要因にはならない。複数のテクニカル理論を駆使して、円高トレンドのなかのレンジで大きく利幅をとる方策を、識者が伝授する

◆「エリオット波動」を見極めて円高の“波”を乗りこなせ!

「エリオット波動論のうえでは、ABC波が終わり、今はその調整波が進行中です。今後は猛烈な円高になるでしょう」と予言するのは、「FX先生」として知られ、数百人の専業トレーダーを育成してきた杉田勝氏だ。おさらいすると、エリオット波動論とは相場には一定の基本的リズムがあり、それは5つの推進波と3つの調整波の計8つの波で構成されるというテクニカル理論のこと。詳しい解説は後述するが、今後のトレンドを読むために、まずはファンダメンタルズを分析する。

「まず、米利上げという材料はありますが、昨年12月に利上げしたときにどうなったかを思い出してください。中国も含めた新興国のマネーがアメリカに還流し、米国債の利回りは低下しました。つまり、利上げしたのに日米金利差の縮小が起きたのです」

 政策金利はあくまでも政策金利。投資家にとって大切なのは市場金利だ。日米金利差が拡大すれば米ドル/円は買われやすくなるし、縮小すればその逆で売られやすくなる。

「また、アメリカではインフレ懸念が高まっている。名目金利は上昇してもインフレ率を加味した実質金利はさして上がらず、米ドル/円の値動きと相関しやすい日米の実質金利差は、広がるどころかインフレ次第では縮小していく。つまり米利上げは円安要因にはならないということです」

 米利上げは一時的に円安材料となることはあっても中長期で見れば恐れるに足らず、ということだ。

◆50円規模の推進波を終え今後は強烈な円高調整が来る

 では、そのような状況下でどのような相場分析をすべきなのか。杉田氏の“主武器”である、エリオット波動論による解説を聞いてみよう。

「エリオット波動では5波構成の推進波がよく知られていますが、推進波のあとにはa・b・cの3波で構成される調整波がやってきます。現在はアベノミクス前の75円から125円までという50円規模のABC波が終わって、その調整の下げが8月から進行中。その後の調整波ですから、それなりの規模になると思われます。ただの円高では済まないでしょうね」

 杉田氏によれば、今は調整波の調整波を作りにいっている段階だという。

「調整波のa、b、cという3波は3回続く傾向にあり、それぞれのa波は、ドーンとシャープに下がるのが特徴です。現在は3回目のa、b、c3波が発生する直前の『X』を作りにきている段階。これは大きなチャンスです。もしa波で売るなら途中で切り返してb波が始まるので、早めに利食いしたほうがいい。a波は急落することが多いので短期勝負になりますし、b波が終わったあとに、もう一度売るチャンスがありますから」

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=102306

 a波で落ちて、b波で戻してc波でもう一度下げるのだから、a波で売り逃してもまだc波があるわけだ。

 ただ問題は、b波の高値をどう見極めるかだが「目安となるのはフィボナッチ・リトレースメントです。a波の下落幅の38.2%戻しか、あるいは50%戻しが目安になる」とアドバイスするのは、杉田氏の愛弟子であり右腕として活躍するトレーダーの齊藤トモラニ氏だ。フィボナッチ・リトレースメントとは、押し目や戻しの反転ポイントの目安を、一定の比率から推測するテクニカル分析のこと。

「その際、下落幅の比率だけでなく、a波での下落期間にも気をつけたほうがいいです。例えばa波が15日間だったとして、安値から38.2%戻ったらみなさん『b波が終わったかな』と考えてしまいがち。けど安値から38.2%まで戻す期間が10日間しかなかったら、もう少し調整すると見ていいんです。また、c波はなだらかに落ちていく傾向があるため、焦って売る必要はありません。b波の高値をしっかり確認してから売っても十分間に合います。4時間足でRSIなどのオシレータ系のテクニカルを見ていると、ダイバージェンス(逆行現象)が出ることも多いので、それも売りタイミングの目安になりますね」