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日本HPが「HP Device as a Service」を発表した。つまり、PCをサービスとして提供するもので、計画、設定、展開、最適化、保守、廃棄までを一貫して提供する月額固定制のサービスとなる。もちろん企業向けのサービスだが、日本HPの製品のみならず、他社製品も対象にするという。

大企業の情報システム部が業務をアウトソーシングするために利用できるのはもちろん、専任の管理者をおく余裕のない中小企業でも活用できる可能性はあるのではないか。

ハードウェアとしてのPCの入手価格そのものに比べ、それを運用管理する費用は、そのPCのライフサイクル全体を通していえばかなり大きなものになる。そして、なんらかの原因で、いったんトラブルに陥ってしまった場合、ビジネスは止まり、企業に対して大きな損失を与えてしまうことになる。トラブルをゼロにするのは不可能だが、そのトラブルの引き起こす被害を限りなくゼロに近づけることはできる。だが、そのためにはやはりコストが必要だ。

一般に、誰か一人をシステム管理の専任として抱えた場合のコストと、これらの業務を丸投げにした場合のコストを比較し、リーズナブルであるという判断ができれば、こうしたサービスを導入する価値は高い。しかもこれは、トップダウンで判断できることでもある。

○企業はトラブルの種を蒔きたくない

ただ、こうした動きは、PCは管理された機器であるべきという考え方を浸透させていくことになるだろう。PCを工夫で使いやすくすることができなくなるのだ。たとえば、大企業では当たり前のUSBメモリ使用禁止、特定サイトの閲覧禁止、OSのカスタマイズ禁止、任意アプリのインストール禁止といったことが、仕事に使われるPCの常識になってしまう可能性がある。

つまり、仕事の合間にちょいとTwitterで息抜きといったこともできなくなる。もちろんそれは、PCを従業員に使わせる側の判断に依存するが、使わせる側としてはトラブルの要因になりかねない要素はことごとく省いておいたほうがいいと思うに決まっている。

仕事なのだから当たり前だ。おかしなことをしてPCの調子が悪くなってしまっては、業務に支障が出てしまう。その支障が起こらないように予防するには、さまざまな制限をPCに課しておいたほうが都合がいい。その方が管理する側もラクだし、結果として使う側も困らなくてすむというわけだ。

○願わくば、BYODも選択肢のひとつに

これまでは大企業においてのみこうした当たり前を謳歌してきたわけだが、それが中小規模の組織にも波及していくことになれば、きっと何らかの変化が起こる。個人的にはここ数年でようやく私物のデバイスを業務にも使うBYOD(Bring your own device)の兆しが見え始めたことを喜ばしく思っていたのだが、もしかしたらそのトレンドも立ち消えになってしまうかもしれない。

もっとも、HPはモビリティに対して一家言を持つ先進的な企業でもある。もし今回のサービスが、やりたくてもできなかったBYODを安心してできるようにするソリューションを提供することができれば、世の中は大きく前進するだろう。願わくばそういう方向も選択肢のひとつとして提供してほしいものだ。

量販店で1円でも安くPCを手に入れることが褒められる時代ではない。だからこそ、こうしたサービスが第一線に躍り出てきた。本当にデバイスを活かし、人を活かし、ビジネスを推進するソリューションを提供するサービスに育ってくれることを願いたい。

(山田祥平

(山田祥平)