雨上がりに見た沖縄の虹 「あの日」の記憶が胸にしみるひとり旅
耳にやさしいウチナーグチ
沖縄、特に那覇は1、2年に一度は行っているかもしれません。仕事であったり、お休みであったり旅の目的はいつも違うけれど、行くたびに「やっぱりいいな」と思います。
のびのびと元気よく育つ植物たちと、力強い光。湿度の高い濃厚な空気。そしてよく笑う人々……。
力が抜けてやさしい(ように聞こえる)ウチナーグチも耳に心地いい。お年寄りの会話はまったく聞き取れませんが。
そういえば、牧志公設市場をふらふら散歩していた時のこと。これ食べてみなさい、あれ食べてみなさいと、おばあさんたちがどんどん試食をさせてくれるのですが、自然と「どこから来たの」とおしゃべりが始まりました。
そして、他愛もない会話をした後。ぽつりとひとりのおばあちゃんが言いました。「最近の若いもんは、楽しみがたくさんあっていいねえ……」
どきっとしました。このおばあちゃんはどう見ても70歳は超えている。もしかして、沖縄戦を体験してる……? もちろん、そんなことは通りすがりの客には一言も言いません。ただニコニコしていて、とてもやさしい。
こんなにきれいな島なのに。こんなにきれいな海なのに。永遠にあの戦争の記憶はついてまわってしまう。
沖縄はいつも明るくて楽しくて、やさしく私を迎えてくれるけれど……。
雨上がりの空には虹がかかっていました。