不足しがちなビタミンDが脳に影響を?

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血中ビタミンD濃度が低い高齢者は、数年後に認知機能障害を発症し、脳機能の健康が低下するリスクが高い――シンガポール国立大学医学大学院と米デューク大学の研究チームによる発表だ。

「ビタミンD」は食物からの摂取以外に、日光を浴び紫外線を皮膚に受けることでも生成される栄養素。カルシウムの吸収や放出を調整する機能を持ち、骨や筋肉の維持に不可欠となっている。

また、いくつかの先行研究では、血中濃度が低い人は心血管や神経疾患リスクが増加するとしており、欧米で実施された白人を対象にした実験では、認知機能低下や認知症発症リスクにも関係している可能性も指摘されている。

研究チームは、アジア系の人種でも血中ビタミンD濃度低下の影響があるかを確認するため、中国系の60歳以上の高齢者1202人を対象に濃度を測定。2年間に渡り定期的に「ミニメンタルステート検査(MMSE)」という認知症診断テストをおこなった。

MMSEは30点満点の検査で、今回の研究では18点以下を認知機能障害と見なしている。その結果、研究開始時の血中ビタミンD濃度が「最も高い」人に比べ、「普通」「やや低い」「低い」とされた人は認知機能低下リスクが2倍になっていた。

さらに、認知機能障害発症リスクは「普通」「やや低い」人で約2倍、「低い」人は3倍となったという。

研究者らは、今回の結果からビタミンDにはニューロンの損傷や損失から保護する機能があると推測できるとしつつ、サプリメントなどによって補うことで効果があるかは今後検証するとコメントしている。

発表は、2016年7月12日、米国老年医学会誌「The Journals of Gerontology」オンライン版に掲載された。

参考文献
Vitamin D Levels and the Risk of Cognitive Decline in Chinese Elderly People: the Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey.
DOI: 10.1093/gerona/glw128 PMID:27412894

(Aging Style)