オリンピック卓球台の「秘密」とは?デザイナー澄川伸一がデザインプロセス公開

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 卓球日本代表の快進撃を受け注目を浴びている日本製の卓球台のデザインを担当したプロダクトデザイナー澄川伸一が8月20日、そのデザインプロセスを自身のFacebookで公開した。 日本で作られた五輪卓球台の「秘密」とは?の画像を拡大

 リオ五輪の卓球種目で公式採用された「Rio2016オリンピックテーブル Infinity 2016」を提供したのは、日本を代表する卓球台・遊具メーカーの「三英(SAN-EI)」。フランス語で青い瞳を意味するテーブルカラー「Les yeux bleus(レジュブルー)」を採用し、未来への想いを込めて「Infinity(無限= ∞)」と名付けられた。東日本大震災の被災地域の岩手県宮古市産木材を利用した脚部の制作は、山形県天童市の家具メーカーでバタフライスツールなどの製造で知られる「天童木工」が担当。デザインはプロダクトデザイナー澄川伸一が手掛けた。 澄川伸一は、ソニー(SONY)在籍時にウォークマンといったヒット商品のデザインを手がけ、これまで数々の賞に輝くなどデザイン分野で活躍している。今回はリオ五輪を通じて卓球台に関するメディアの取材が急増していることもあり、「デザイン学ぶ人の参考になれば」という気持ちから普段は公開することのないデザインの思考法とそのプロセスの公開に至ったという。「支える」と題した投稿では、デザインを担当した卓球台の脚部のスケッチを公開し、「事象の把握」から始まるというデザインの初期段階について説明。キーワードを実際の行動につなげるために「動詞」に置き変える作業がポイントで、今回は「日本らしさ」「復興支援」といった言葉から「支える」という動詞に導いた。「『支える』という漢字の形から、形状が自己展開していっている。だから完成した形から、みな『支える』という『メッセージ』を受けているはず」と、デザインに込められた「秘密」について綴っている。 曲線のデザインについては、ボールの軌道の放物線で「支」のカーブを描き、放物線の向かい合わせで「球技」を表現。同時に、筋肉のバネのような跳ね返る「反発力」も表現したという。放物線が交わるセンターに施したのは五輪マーク。卓球の「躍動感」や「高揚感」を被災地の木材が支え、選手の「粘り強さ」そのものを表すなど、形には様々なキーワードが潜んでいることを示した。デザインについて澄川は、バッハの作曲法に例えて「膨大な思考の織物」と表現し、「それが何かわからなくても、本能で感じ取っているはず。デザインは本来、説明を必要としたら得点ゼロ。デザインは感じる行為」と綴った。この投稿に半日で1000弱の「いいね!」が集まり、多くのシェアやコメントが寄せられている。■澄川伸一デザイン事務所:公式サイト