9月4、5日に中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、中国政府は「経済問題が中心」と強調。仲裁裁判所で「完敗」した南シナ海問題が焦点にならないよう、参加国に働き掛けている。資料写真。

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2016年8月19日、20カ国・地域(G20)首脳会議が9月4、5日に中国・杭州で開かれる。首脳会議の中国開催は初めてで、習近平政権の威信を賭けた一大外交イベントとなる。中国政府は「経済問題が中心」と強調。仲裁裁判所で「完敗」した南シナ海問題が焦点にならないよう、しきりにけん制している。

G20は、首脳会議と財務相・中央銀行総裁会議の2本立て。財務相・中央銀行総裁会議には、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、欧州中央銀行などの代表も参加する。1999年に財務相・中央銀行総裁会議が始まり、リーマンショックを機に2008年からは首脳会議も開催されるようになった。

参加国は日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要国首脳会議(サミット)メンバーと中国、ロシア、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン。欧州連合(EU)も加わる。G20の国内総生産(GDP)合計は世界全体の約85 %を占め、人口も世界の3分の2にもなる。

中国はサミットへの対抗心が強く、王毅外相は伊勢志摩サミット開幕日の5月26日、G20首脳会議まで27日で100日に迫ったとして、わざわざ記者会見。「G20は先進国と途上国が対等な立場で同じテーブルを囲み、平等に協議して決める場であり、時代の発展の潮流に合致している」と力説した。

昨年11月、議長国の中国はG20首脳会議のテーマを「革新的で、活力ある、連動した、包摂的な世界経済の構築」に定めたと発表。「経済以外の議題は討議すべきではない」と主張して、参加国側に事前の了解を求めている。

中国外務省の李保東次官は15日、G20首脳会議に関する記者会見を開き、「経済問題が焦点となることが共通認識であり、邪魔立ては受けない」と指摘。南シナ海問題を議題とすることに反対した。特に習国家主席が苦しい立場となることに強い懸念を抱いており、記者会見で李次官は経済分野の議題に関する説明に終始。中国にとって望ましい議事運営に向けた環境づくりに腐心する様子をうかがわせた。

そもそも中国は国際会議の場で南シナ海問題が取り上げられることに反発。伊勢志摩サミットの際も「本来、世界経済を討議する場だ。地域の緊張をあおるべきではない」(王毅外相)として、強い不快感を表明している。

しかし、7月12日に仲裁判決が出た直後、モンゴル・ウランバートルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議では「海洋の安全保障」や「国連海洋法条約に従った紛争解決」の重要性を明記した議長声明を採択。南シナ海問題への直接的な言及は見送られたものの、中国の強引な海洋進出への懸念をにじませた。

さらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議、ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議でも、南シナ海問題を念頭に国際法に基づく解決を呼び掛ける文書が発表された。G20首脳会議の場で日本や米国は南シナ海問題に言及するとみられ、今後も中国との間で何を議題とするかをめぐり、ぎりぎりの駆け引きが続きそうだ。(編集/日向)