誰が何と言おうと、夏に食べたい麺はそば。そんなそばの世界に新たなうねりが起きている!? 伝統的なそば屋か立ち食いそばか――。これまで「そば」といえばその二択が主だったけれど、最近もっと自由にそばを楽しめる店が増えているそう。

「そば屋」の新たな魅力が発見できる注目店を紹介しよう。


まずはそば好きも唸る!気鋭の3店舗を厳選

シンプルだからこそ、職人の技量がそのまま味に表れるのがそばの面白いところ。「この人のそばが食べたい」。そう思わせる名職人の店3店を厳選! 食べに行く価値のある味だ。



本当のそば好きたちが絶賛する「街のそば屋」。産地ごとの違いを実感したいなら、ぜひ二種が楽しめる「唎き蕎麦」を
※時期などによって、メニューに変動あり。
テロワールを感じさせるそば『手打ちそば 菊谷』

巣鴨


今、そば職人たちの間で「気になる店」として名が挙がるといえばこの店。主人・菊谷修さんのそばに対する愛情は、並々ならぬものがある。

産地へ通い、気になる生産者を訪ね、ときには畑仕事まで手伝う。自ら体感した産地や畑ならではの特徴を引き出すべく、挽き方、配合、太さなどを毎回調整するそばは、ほぼ日替わり。

「今日はどこのそばを、どんな風に食べさせてくれるの?」。訪れるたびにそんな新たな発見のある店だ。



ナラとそば殻でスモークした「さばの燻製」、「チーズのかえし漬」



“街のそば屋”としての気取らなさもこの店の魅力




大切な人と過ごすのにふさわしい大人の隠れ家。〆のそばは二八。のどごしのいい細打ちだ
※時期などによって、メニューに変動あり。
芝公園の名店が白金高輪に移転『案山子』

白金高輪


探さないとわからないほど控えめな看板。エントランスを入ると、フィラメントのランプに照らされたしっとりとした空間が広がっている。そば職人・山田健人さんが妻の美求さんとスタートさせたこの店は、まさに本当の味を知る大人のための隠れ家。

日本酒を傾けながら、美求さんが手がける滋味溢れる料理をゆるりと楽しんだ後には、健人さんが目の前で名人芸ともいえる美しい所作で打ってくれる、極上のそばを堪能できる。



必ず供される「そば前三種盛り」。単品の注文もできるが基本はおまかせ



洗練されたインテリア




センスあふれる空間で旨いそばをゆったりと。産地・挽き方の違うそばを食べ比べできる「二種もり」
伝統とモダンを兼ね備えた正統派『蕎麦や もりいろ』

大森町


京急大森町駅前ののどかな商店街でひときわ目を引く趣ある店構え。のれんをくぐると、無垢の木肌を生かしたインテリア。「そばを味わうひとときを、居心地よく過ごしてもらえたら」という店主・土屋匡史さんの思いが表れた空間だ。

名店『小松庵』で修業した土屋さんが心がけるのは、産地や品種、畑によって異なる味わいを引き出すようなそば。旬の素材を丁寧に仕込んだ一品料理とともに、ゆったり味わいたくなる店だ。



フレンチの技法を取り入れた料理も秀逸。「鮎のコンフィ」は山椒の実がアクセント。後ろは「クレソンのポテトサラダ」。季節などによりメニューは異なる。写真は一例



和モダンな空間も評判


昨今オープンするそばの新店は、従来にはないコンセプトのお店も多数!


そばの新店、増えています

最近、都内で次々と誕生しているのが新感覚のそば店。昔ながらの「そば屋」とは一線を画す、モダンな雰囲気が特徴だ。居心地のよさや独特のメニュー構成に注目したい。



基本の「ざる蕎麦」(¥650)は更科粉を使った十割。少し甘めのそばつゆで
そばと天ぷらをちょっとおしゃれに『EBISU FRY BAR』

恵比寿


そばと天ぷら。この昔ながらの組み合わせを自由な発想でアレンジし、神戸で大人気を博した店が、東京へ初進出。クセのない更科粉を使った十割そばは、基本のそばつゆのほか、豆乳やトマトベースのつゆでも味わえる。

健康食として海外からも注目を集める「SOBA」の新たな味わい方にきっと驚くはず。



「フルーツトマトとバジルの天ぷら」(右奥¥580)など、美しい盛り付けもポイント



普段のノリで楽しめる狃造ない〞そば屋。スタッフと会話がはずむカウンターの気さくな雰囲気は、そば屋というより完全にバル!



カウンター席のほか、グループならテーブル席も




群馬県産のそばの実を使った「せいろそば」
フレンチのシェフが打つ本格そば『サヴール・ド・ソバ カンセイ』

銀座


長年フレンチを手がけてきたシェフが「趣味のそば打ちが高じて」オープンさせた。店構えからは想像できない、まっとうな十割そばが味わえるのだが、特徴的なのはそば前(そばの前に楽しむ酒とつまみ)。

フレンチの素材や手法を生かしたアラカルトをワインとともに手ごろな値段で楽しめる。3Fの『ギンザ・カンセイ』では、本格フレンチのコースも提供する。



ホタテの身をテリーヌの手法で仕立てた「自家製かまぼこ」。エビのビスクも添えられている



フレンチのつまみとワインで十割そばを。店内はカジュアルな雰囲気




桜海老のうま味とサクサクの歯ごたえが効いた「かき揚げせいろ」
※メニューは一例。
旨い蕎麦をもっと気軽に『蕎麦六本』

六本木


いわゆる「そば前」というスタイルが生まれたのは江戸時代。職人たちが仕事の後、一杯やるのに足繁く通ったのだとか。そんな江戸時代のそば屋の現代版をめざし、六本木のまん中にオープンした店。

だし巻き玉子や天ぷらなど、なじみ深いメニューで一杯やった後は、二八の「石臼挽きそば」で〆る。カジュアルだけど本格派。ありそうでなかったお店だけに、注目が集まる。



すっきりと仕立てた「牛すじ煮込み」。しっかりした味の「だし巻き玉子」は酒のアテにぴったり



伝統的なそば屋の魅力を現代に合ったスタイルで。「老舗そば店のような本格的なそばを、思い立ったとき気軽に入れる店で」というコンセプト通り、カジュアルに使える店



店名は「饂飩三本、蕎麦六本」(くらいずつ食べるのが粋)という言葉から


深夜、夜でも楽しめる〆のそば店をご紹介!いずれ劣らぬ人気店なり!


遅い時間に賑わう! 夜そばのレジェンド店

旨いそば屋で、夜遅くまで開いている店は意外と少ない。だが、夜遊び上手なら必ず知っているのが「夜そば」の名店。3軒とも長年人気を保ち続けるレジェンド級の店だ。



もり汁と胡麻だれ、2つの味で楽しめる「おためし蕎麦切り」。そばは北海道産のそば粉を使った二八。自社製麺所から毎日届く打ち立てを使う
真夜中でもつい食べたくなるそば『板蕎麦 山灯香』

三軒茶屋


三宿交差点近くにある、毎晩夜明けまで客足が途絶えない店。夜遊び後の〆に立ち寄るグループ、仕事帰りの業界関係者、近隣に住むカップルなど客層はさまざまだが、皆のお目当ては、大きな木箱に盛られた「板蕎麦」。

ドリンクのメインは焼酎。そば茶割りやそば湯割り、そば湯氷のロックなどで味わえる。古民家風の内装に落とし気味の照明というムードのよさも、「デートに使えるそば屋」として変わらぬ人気を誇る理由のひとつだ。



そば米(茹でたそばの実を干したもの)を散らした「蕎麦米ポテトサラダ」など、そば屋ならではのアテも。右は「合鴨焼き」





変わらぬ人気の「もり」(¥700)
そば屋のイメージを変えた人気店『松玄 恵比寿』

恵比寿


2000年のオープン当初、「夜そば」ブームを巻き起こした火付け役といえばこの店。2015年、リニューアルして内装を一新したが、のどごしのいい二八そばの味は変わらぬまま。

生うにをたっぷりのせたぶっかけそば「うにそば」(¥2,800)など、根強いファンに支持されるメニューも少なくない。料理に定評があり、個室も備えているので、デートや接待、飲み会後の〆そばなど、あらゆるシーンに使える「食べて、飲めるそば屋」だ。



自家製のかえしで下味をつけた「蕎麦屋の鶏のからあげ」、さっぱりとした「ズワイガニのサラダ」



いつの時代も粋な大人はそば屋を上手に使いこなす。カウンター席や個室も完備




「せいろ」
※時期などによって、メニューの変動あり。
立地のよさと豊富なメニューが魅力『青山 川上庵』

表参道


『川上庵』も「夜そば」の人気店。表参道からすぐの『青山川上庵』のほか、麻布にも店があるので、夜遊びするならぜひ覚えておきたい店だ。魅力はそば屋らしい酒のつまみから肉や魚料理、デザートまでそろう豊富なメニュー。

しっかり食事したいとき、そばと軽いアテで済ませたいとき、どちらにも対応できる使い勝手のよさが人気だ。特注の石臼で自家製粉したそば粉で打つ二八そばが旨いことは、言うまでもない。



「新鮮野菜と鮮魚のカルパッチョ」、「冷やし茄子の山かけ」



ジャズが流れるシックな店で深夜の〆そばを。ワイン、焼酎、日本酒などアルコール類も豊富