「日本は一夜で核兵器製造が可能」と語り、物議を醸した米国のバイデン副大統領が、今度は「日本の憲法は私たちが書いた」と発言した。米政府高官が日本国憲法に言及するのは異例で、改憲論議にも影響を与えそうだ。資料写真。

写真拡大

2016年8月19日、中国の習近平国家主席に「日本は一夜で核兵器製造が可能」と語ったことを自ら明かし波紋を呼んだ米国のバイデン副大統領が、今度は「日本の憲法は私たちが書いた」と発言した。米政府高官が日本国憲法の制定過程に言及するのは極めて異例。今後の改憲論議にも少なからず影響しそうだ。

米メディアによると、バイデン副大統領の発言は、15日にペンシルベニア州スクラントンで民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官の応援演説をした際に飛び出した。

バイデン氏は共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏を攻撃する中で、「米国の歴史上、トランプ氏ほど安全保障に関して準備ができていない候補者はいない。完全に大統領に不適格だ」と指摘。その上で「トランプ氏は、核戦争がささいなことであるかのように、ほかの国々に核兵器の開発を促している。核保有国にはなれないという日本の憲法は、私たちが書いたものだということを理解していないのか」と述べた。

「核保有国にはなれないという日本の憲法」は、「戦争放棄」などをうたった第9条を指すとみられる。9条をめぐり連合国軍最高司令官だったマッカーサー元帥は米上院軍事外交合同委員会の証言や回想録などで当時の幣原喜重郎首相の発案によるもの、と語っている。グレゴリー・ペック主演の映画「マッカーサー」(1977年)にも幣原首相の説明にマッカーサー元帥がうなずくシーンが登場する。

バイデン氏の「私たちが書いた」とは、やや異なるが、当時の日本政府は連合国軍総司令部(GHQ)の承認なしには何もできなかったのは事実。日本政府がいったんまとめた憲法改正案をGHQが作り直した経緯もある。それに当時は連合国側の一部に根強かった昭和天皇の戦争責任追及や天皇制の廃止をどう回避するかが最優先課題だった事情もある。

自民党の憲法改正草案は、改正の理由として「現行憲法は連合国軍の占領下においてGHQが指示した草案を基に、その了解の範囲内において制定されたもので、日本国の主権が制限された中で制定された憲法には、国民の自由な意思が反映されていない」と明記。占領軍による“押し付け”を強調している。はからずもバイデン発言は、これを認めた形でもある。

これに対し、民進党などは現行憲法が国民に間に広く定着していることを評価。憲法論議の必要性は認めながらも、“押しつけ”の認識を撤回することが前提との立場だ。

NHKによると、今回のバイデン発言について、在米日本大使館は「大統領選挙における発言の逐一に見解を述べるのは適切でなく、差し控えたい」としながらも、「現行憲法は帝国議会で最終的には十分に審議され、有効に議決されたものだが、占領軍当局の強い影響のもと制定されたものだと考えている」とコメントした。“押し付け”を肯定したとも受け取られかねず、これも論議を呼びそうだ。(編集/日向)