「匠の精神」の育成を政策の1つに掲げている中国政府。ややもすれば、中国国内に「匠の精神」が全くない、「匠」が存在しないと考えてしまいがちだが、決してそんなことはない。ただ、そのような技術者やモノづくりの姿勢がこれまであまりにも大切にされてこなかったのである。(イメージ写真提供:123RF)

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 「匠の精神」の育成を政策の1つに掲げている中国政府。ややもすれば、中国国内に「匠の精神」が全くない、「匠」が存在しないと考えてしまいがちだが、決してそんなことはない。ただ、そのような技術者やモノづくりの姿勢がこれまであまりにも大切にされてこなかったのである。

 中国メディア・金華新聞網は16日、浙江省金華市武義県の漆器工房が「漆器の起源はわが国である」として、現地の伝統工芸である漆器を日本に売り込もうとしていることを報じた。記事は、同県にある漆器工芸品工房・漆香草堂が現地の家具企業とともに来年春に日本の大阪で行われる大型の見本市に出店すべく、すでに準備を始めていると紹介した。

 そして、漆や漆器を意味する英語が“japan”であり「日本人の間における漆器の地位や影響が伺える」としたうえで、日本の漆器技術は中国から学んだものであり、そこから伝承とイノベーションを繰り返して、今や世界においてその名声を獲得するに至ったと説明。これに対して同工場の責任者・鐘宏雲さんが「世界の漆器の起源は中国。そして中国漆器は浙江省で生まれた。8000年前に作られた世界最古の漆器が杭州の遺跡で発見されている」と語ったとした。

 そのうえで、鐘さんが「国内市場でも販路は十分だったが、武義の漆器の知名度を高めるためには国外に出る必要がある。日本での出展は、そのトライアルだ」とし、日本人の生活習慣を考慮して、卵の殻を貼りあわせた美しい白鶴のデザインをあしらった保温マグなどを開発、創作したことを紹介。「白い鶴は日本で最もめでたいとされる鳥である」と説明している。

 漆器が伝統工芸として高い価値を持ち、高級品として珍重されている日本に対して、中国から漆器の売り込みをかけるというのは、たとえ「自国が起源」であることをアピールしたとしても簡単に受け入れられることは難しいように思える。ただ、日本を始めとする外国において、現代の中国にも素晴らしい伝統工芸が残っていることを知らしめるという点では有意義な試みと言えそうだ。その技術が「本物」であるならば、外国においても大いに評価されるに違いない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)