2番での動揺でリズムが狂ってしまった大山志保(撮影:福田文平)

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<リオデジャネイロ五輪ゴルフ女子 3日目◇19日◇オリンピックゴルフコース(6,245ヤード・パー71)>

 まだ終わってない。だけど、自分本来の力が出し切れない悔しさに涙が止まらなかった。トータル1アンダーから出た大山志保は2バーディ・6ボギー・1ダブルボギーの“77”でスコアを6つ落とし、トータル5オーバーの41位タイに後退。メダル獲得は絶望的となり、ホールアウト後は悔しさに涙が頬を伝った。
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 異変は前日からあった。「昨日からロングパットの距離感が合わなくなっていた」。カップをオーバーさせる強気のパットは大山の持ち味でもあるが、その距離もコントロールできない。さらに、序盤の2番では右のウェイストエリアで素振りをした際に木の葉が1枚落下し「ペナルティだと思って焦ってしまった」と動揺に拍車がかかった。競技委員に確認してペナルティなしと判断されたものの、一度崩れたメンタルを立て直すことは容易ではなかった。

 「悪いところがすべて出た。スイングを最後まで信じることができなかった」と最後まで復調のきっかけすらつかめなかった。苦しい中で大山を突き動かしていたのは日の丸を背負った責任だけ。「苦しかったですね。いつもだったらズルズルいってもっとスコアが悪かったと思う。これが、自分の実力とは思いたくないけど…何とか頑張らないといけない。代表として来ているので頑張らないといけないという、自分との戦いでした」。

 決して万全のコンディションでリオ入りしたわけではなかった。大会直前には首痛に悩まされトーナメントの欠場を続けた。この日苦しんだパッティングも丸山茂樹ヘッドコーチ、小林浩美副強化委員長から練習日にアドバイスを受けるなど、リオ入りしてからも試行錯誤が続いた。「本来の調子ではなかった。自分の中でごまかしながらという言い方は悪いけど何とかベストを出せるようにとやっていた」。自身のベストパフォーマンスを五輪で出せない悔しさ。涙のワケはそこにあった。

 だが、まだ1日ある。「今週の目標は最後まであきらめないでプレーすること。結果は残念ですけど、1つでも上にいって明日は堂々とプレーしたい。日本代表として来ているので思い切って自分らしいプレーしたい」。どれだけメダル争いから離れたとしても、最後まであきらめない気持ちを見せることは無意味ではないはずだ。思い続けた大舞台も残すところあと18ホール。涙をぬぐって前を向く。
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