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小惑星からの試料回収に挑む探査機「OSIRIS-REx」の打ち上げが間近に迫ったことを受け、米国航空宇宙局(NASA)は8月18日(日本時間)、記者会見を開催した。打ち上げは9月9日の予定で、2018年に目的地の小惑星「ベンヌ」に到着。探査や試料採取を行い、2023年に地球へ帰還する、7年にわたる大航海に挑む。

OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)は、NASAとロッキード・マーティン、アリゾナ大学などが開発した小惑星探査機で、地球に近付く軌道をもつ小惑星の1つ、ベンヌの探査を目的としている。ベンヌは1999年に発見された小惑星で、直径約500m。地上からの観測で「B型小惑星」に分類されている。B型小惑星は、炭素質のC型小惑星の一部ではあるものの、いくつか違いがあることがわかっており、似て非なるものであると考えられている。また現在のベンヌの軌道から、将来的に地球に衝突する可能性がわずかにあることも知られている。

OSIRIS-Rexという名前は、Origins-Spectral Interpretation-Resource Identification-Security-Regolith Explorer (起源、スペクトルの分析、資源の解明、防衛、レゴリス(表面の土)の探査機)の頭文字から取られており、太陽系の起源から、小惑星の形や組成、その成立の歴史などの謎の解明が期待されている。またベンヌの軌道を詳細に観測し、将来地球に衝突する可能性や、その防衛方法を検討する材料も提供する。

探査機の最大の特長は、搭載したロボット・アームを使ってベンヌの表面から石や砂などの試料を採取し、地球に持ち帰る「サンプル・リターン」ができる点。これにより、地球にある最先端の装置を使った分析が可能になる。採取する試料の量は少なくとも60g、最大で2kgになるという。

OSIRIS-RExは日本時間の9月9日8時5分(米東部夏時間9月8日19時5分)、フロリダ州にあるケイプ・カナヴェラル空軍ステーションから「アトラスV」ロケットで飛び立つ。そして1年後の2017年9月22日に地球をスイングバイし、ベンヌへ向けた軌道に入る。ベンヌへは2018年8月に到着し、約2年と半年にわたって滞在し観測を実施。2020年7月ごろにベンヌの表面から試料を採取する。

その後、2021年3月にベンヌを離れて帰路につき、2023年9月24日に試料が入った帰還カプセルを分離。カプセルはユタ州の砂漠に着陸し、回収され、地上の装置で分析が行われる。OSIRIS-RExの本体はその後も太陽を回る軌道にとどまり、機能などが健全であれば別のミッションに臨むことが検討されている。

小惑星からのサンプル・リターンは、2010年に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が探査機「はやぶさ」で初めて成功し、小惑星「イトカワ」の謎の多くが明らかになった。2014年には後継機の「はやぶさ2」が打ち上げられ、C型小惑星の「リュウグウ」の探査とサンプル・リターンを目指して航行を続けている。

NASAとJAXAは、それぞれの探査機が持ち帰る小惑星のサンプルの一部をお互いに提供する協定を結んでいるほか、探査機の運用やデータの分析での協力も行うことになっている。

【参考】
・NASA TV Briefing Previews Launch of Asteroid Bound Spacecraft - YouTube
 
・NASA Prepares to Launch First U.S. Asteroid Sample Return Mission | NASA
 
・OSIRIS-REx launch preview | The Planetary Society
 

(鳥嶋真也)