就労状況にある女性の57%が非正規雇用という現代。非正規雇用のなかで多くの割合を占める派遣社員という働き方。自ら望んで正社員ではなく、非正規雇用を選んでいる場合もありますが、だいたいは正社員の職に就けなかったため仕方なくというケース。しかし、派遣社員のままずるずると30代、40代を迎えている女性も少なくありません。

出られるようで、出られない派遣スパイラル。派遣から正社員へとステップアップできずに、ずるずると職場を渡り歩いている「Tightrope walking(綱渡り)」ならぬ「Tightrope working」と言える派遣女子たち。「どうして正社員になれないのか」「派遣社員を選んでいるのか」を、彼女たちの証言から検証していこうと思います。

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今回は、都内で派遣社員をしている坂上敦子さん(仮名・25歳)にお話を伺いました。少し影があるような雰囲気の敦子さん。彼女は、少し前に話題となった「理系女子(リケジョ)」。就職に強いと言われている理系の学部に進学したのに、派遣を選んでいるのには理由がありました。今回は敦子さんに、どうして派遣で働いているのかを聞いてみました。

敦子さんは、都内でも有数の進学校を卒業しています。

「親が教育熱心で、子供の頃から知育とかIQが高くなると言う教材をやらされていたんですよ。中学までは地元の公立中学に通いましたが、高校で国立の高校に進学しました」

高校時代が一番、楽しかったと言う敦子さん。

「高校は凄くおおらかな校風で。特に受験勉強とか強制されなかったんですよ。でも親が進学するなら国立じゃなきゃダメ、と言っていたので。行きたかった大学ではなく、確実に入れそうな学部を受験しました」

大学では、女性では珍しい理学部に進学しました。

「実家が自営だったのですが、経営がうまくいっていなくて。進学させてもらったのは良かったのですが、バイトしないと通えなくて。まじめな学生が多いので、単位を落としたり留年する人が少ないんです。3年になり、実習が増えレポートなどが追い付かず一旦休学したのですが、翌年も通うなら1年分の学費が必要となり退学しました」

学力を生かした塾講師などのバイトには興味がなかったと言います。

「バイトを掛け持ちしていたので、本当は時給が良い塾講とかやればよかったのですが。結構、誰かに教えるとか苦手だったんですね。大型雑貨店でバイトしていた時は、周りに美大の仮面浪人生とかいて、楽しかったです」

バイト先のレジでは、“リケジョ”バレしてしまったとか。

「フリーターで通していたんですけど、身バレっていうか、二人一組でレジに入るんですよ。次に待っているお客さんの商品を、レジを通す前に見て、ピって暗算して“○○円ご用意してお待ちください”って言ってたら、ほかのフリーターさんから“何者”って言われて。大学も休学していたし、身分もあやふやで辛かったですね」

大学中退後は、フリーターをしていたと言う敦子さん。

「レジのPOS操作って、覚えてしまえばどれもだいたい一緒なんですよ。だから、昼間は大型雑貨店で働いて、夜はコンビニで掛け持ちして。接客と言っても、そんなに対面販売ではなかったので気楽でした」

フリーターから脱出するために、就職活動を続けていたそう。

「並行して就職活動を行なっていたのですが、全然だめで。研究職とかは学士どころか博士がうじゃうじゃいるし。理系でも、薬学部とか実学ではない限り意味ないなって思いました」

バイト続きの生活の中、大学に居場所がなかったとか。バイト先のフリーターとも温度差があったと言います。

「接客業にいるフリーターさんとも、合わなかったんですよね。休憩室でも、自分は禁煙の方にいて、同じ売り場のメンバーも周りは喫煙の方にいたりして。お高くとまっているって噂されて、自分以外の売り場のメンバーで休憩取られて、売り場に1人にされたり」

敦子さんは、フリーターから足を洗う決心をします。

「知的労働が恋しくなったと言うか。ちょうど大学卒業する年齢と同じになったので、既卒にして派遣に登録しました」

派遣会社にもよりますが、学歴や職歴などは自己申告に近い派遣業界。

「正社員だと、身元引受人のサインとか、卒業証明とか必要だったんで。派遣でいいかなって」

学歴を偽って派遣社員として働き始めた敦子さん。

ダブルジョブのフリーター生活から脱出します。

3年生になり、実習が増えレポートの提出が追い付かなくなったと言う敦子さん。頼れる友人がいれば……と悔やんでます。

人づきあいが苦手な敦子さんが遭遇したトラブルとは!? その2に続きます