「THEO」では、.哀蹇璽后↓▲ぅ鵐ム、インフレヘッジ という3つのポートフォリオで構成される分散投資を提案。質問への回答内容によって、個別のそれぞれの割合が異なってくる仕組みだ

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近頃、AIという言葉をやたらと目にするようになった。「人工知能」を意味する英語の略称だが、企業経営の判断にも活用される日が近く、資産運用の世界でも人智をはるかに超えた手腕を発揮することが期待されているという。果たして、本当にAIによる運用は万能なのか? 徹底検証してみたい

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 今年5月9日、夕刊とはいえ、日本経済新聞の1面トップ記事に、「運用 人工知能が台頭」というセンセーショナルな見出しが掲げられた。かいつまんで説明すれば、「世界の金融市場でAI(人工知能)が自動的に運用するファンドが急速に普及しており、実際に高実績を達成している。日本でも、AI運用の投資信託が設定され始めた」といった内容である。日本での具体的な動きは後述するが、こうした風潮を盛り上げようというメディアの熱意はムンムンと伝わってくる。

 しかも、その3か月ほど前には新聞紙上やネット上で異彩を放つ広告が話題を集めた。「9つの質問に答えるだけで、ロボアドバイザーがあなたに最適な資産運用プランを提案します」――と、いまだかつてないメッセージの内容だ。そのインパクトは絶大で、2月16日のサービス提供開始からわずか3か月間で5000人超の申し込みがあったという。これは「THEO(テオ)」というAI運用のサービスで、提供するベンチャー企業「お金のデザイン」COO(最高執行責任者)である北澤直氏は次のように答える。

「『THEO』は最新の金融工学を用いた当社独自開発のアルゴリズムによるロボアドバイザーによって、プロと同じように個々の状況に応じて最適で本格的な国際分散投資を実践できるものです。広義ではAIの範疇かもしれませんが、ロボと命名しているように、私たちはそのように意識していません」

 AIと同義の表現でアルゴリズム、ロボのほか、過去の統計的データをもとにコンピュータを用いて機械的な売買を行う手法としてシステムトレードや自動売買という呼び方もよく耳にする。そもそも投資AIとシステムトレードは何が違うのか。システムトレードの開発を手掛けている、投資家の西村剛氏はこう説明する。

「まず、ロボはシステムトレードのことを言い換えて表現しているケースが多いようです。自動売買についても、同じような意味合いで用いられがち。そして、アルゴリズムはシストレの一種であり、現状のAI運用はほぼそれと同義だと言えるでしょう」

◆AIもしょせんは生身の人間が組んだプログラム

 近年、頻繁に耳にするようになったアルゴリズムという言葉の真意もなかなかピンとこないのが実情だろう。過去のデータをつぶさに解析して最適な取引パターンを見つけ出し、それを機械的に執行するというものだ。西村氏はさらに説明を続ける。

「AIもしょせんは人間が組んだプログラムであり、自ら学習を繰り返すとはいえ、日を追うごとに新たなデータを交えて再検証を行っているにすぎません。その意味では、過去のデータから最適なパターンを導き出して運用しているアルゴリズムとさほど大きな違いがないわけです。強いて言えば、アルゴリズムの多くはスキャルピングのような超短期売買を仕掛けるプログラミングになっているのに対し、AI運用のほうは比較的長いスパンの売買が中心となっているようです」

 とはいえ、言葉の響きが斬新なせいか、国内でもAIが運用する投資信託が設定されるなど、にわかにブーム化しつつある兆しもうかがえる。それでも西村氏は過剰に期待すべきではないと指摘する。AI運用には「過剰最適化」という落とし穴にはまりかねないという致命的な弱点があるからだ。