スポーツ選手の中でもオリンピックに出場するオリンピアンたちは、体を極限まで鍛えたアスリートの頂点の存在です。しかし、体のケアを怠らないオリンピック選手も、歯の健康についてはおろそかにしていることがほとんどで、一般人よりも歯が不健康な選手も多いとのこと。歯の健康を見直すことで、オリンピック選手のパフォーマンスアップが見込めるという指摘があります。

Your teeth are probably better than an Olympian’s | Ars Technica

http://arstechnica.com/science/2016/08/your-teeth-are-probably-better-than-an-olympians/

オリンピックに出場する選手たちは、肉体を極限まで鍛え上げたアスリートばかりで、オリンピアン以上に強い肉体を持つという一般人はほとんどいません。しかし、こと歯の健康具合に関して言えば、アメリカ人の成人の約半数はオリンピック選手よりも健康な歯を持っていることがCDCの研究で分かっています。ちなみにオリンピック選手の3人に1人は歯肉炎を抱えているなど、アスリートの歯の健康がおろそかになっていることがこの研究から明らかになっています。

前述の研究論文の共同著者であるイアン・ニードルマン博士はArs Technicaに対して、オリンピック選手たちが直面している歯の健康に対するリスク要因について説明しました。ニードルマン博士によると、非常に厳しいトレーニングによって免疫に悪影響を受けていることを説明できる十分なデータがあるとのこと。さらに、ニードルマン博士は、長時間続くトレーニングによって口の中が脱水状態に陥ることで、歯を保護する唾液の減少がアスリートの歯の健康を害していると述べています。



ニードルマン博士によると、驚くべき事に歯の健康被害を抱える多くのオリンピック選手がいるにもかかわらず、アスリートたちはみなほとんどデンタルケアを受けていないとのこと。デンタルケアのサポートを受けていないのは、裕福な国のアスリートであっても同じ。なんと、2012年のロンドンオリンピックで行われた約300人の選手を対象にしたアンケート調査によると、なんと9%の人がこれまでに1度も歯科医にかかったことがなかったそうです。

さらに研究によると、歯の健康具合は世界各国のオリンピック選手に普遍的な問題であり、アスリートの出身国が先進国なのか発展途上国なのかで違いがなかったとのこと。



以上のようにオリンピックに出場する最高レベルのアスリートが歯に健康問題を抱えている原因についてニードルマン博士は、アスリートを支える集中的なトレーニングプログラムでは、他のサービスにアクセスする機会を奪っているからではないかと考えています。トレーニングに医学的知見が取り込まれて医療には注意が払われているものの、デンタルヘルスについてはまだまだ理解が進んでいないというわけです。「選手たちは(歯科医に通う)時間を見つけられないのかもしれません。また、高い優先順位を与えていないのかもしれません」と述べています。



しかし、ロンドンオリンピック以降、アスリートのパフォーマンスアップに果たすデンタルヘルスの重要性が見直されつつあります。アメリカのAcademy for Sports Dentistry(ASD)はアメリカのオリンピックコミュニティ(USOC)に歯の健康を維持・増進させるプログラムの実施を持ちかけたことで、女子ホッケーチームの95%が虫歯などの問題を解消したとのこと。ASDのリック・ノールトン歯科医は、歯の健康具合はアスリートのパフォーマンスに影響を与え、敗者をゴールドメダリストに変身させる可能性があると考えています。