早期教育はNG! 脳神経外科医に聞いた「3歳以下の子どもの“育脳”に本当に必要なこと」

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3歳児神話という言葉もあるように、乳幼児期、特に3歳までの過ごし方はとても大切と考えられています。

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3歳までは母親が手元で育てないとダメ、といういわゆる3歳児神話は科学的根拠がないとされているものの、この時期の過ごし方が子どもの発達にとって重要であることは間違いないはず。

では、3歳までの時期にどんなことをすれば、心身ともに健やかな子に育ってくれるの? 親はみんな、悩みながら、子どもにいろんな経験をさせようとがんばっていますよね。

「3歳以下の子どもの育脳には、知識の詰め込みなどではなく、まず『本能』と、心が伝わる『脳』を育むことが大切です」と話すのは、脳神経外科医の林成之先生。

林先生は、脳神経外科医として携わった最先端の医療現場での経験をもとに、『3歳までの子育ての教科書』のなかで3歳以下の子どもの育脳に必要なことを提唱しています。

人間は3〜4歳ぐらいまでに神経細胞の数がどんどん増えますが、4〜7歳の間、思考回路に必要な神経細胞が減っていく「間引き現象」という不思議な現象が起きるそう。

この間引き現象が終わると、脳神経細胞の数が一定し、7〜10歳以降に大人の脳に近づいていきます。

0〜3歳の子どもの脳は神経回路が十分に発達する時期ではないため、3歳以下の子どもに「成果を求める早期教育」は理にかなっていない、と林先生は言います。

それでは、3歳以下の子どもの育脳には何をするべきなのか? いくつかのポイントを見ていきましょう。

ほめて見守り「興味を持つ才能」を育てる

好きこそものの上手なれ、と言いますが、やはり人間、興味のあるものに関しては覚えも早いものです。逆にそうでなければ、覚えられないしやる気もわかないですよね。

そこで、子どもには何事にも興味を持たせる習慣を磨くことが重要です。

それは単純に、対象が何であれ子どもが自分で興味を持ったら、「すごいね」「やったね」とほめる言葉をかけてあげること。ほめられればやる気になってもっと興味を持ち、自然と自ら学び始めるものです。

親は「いい子に育てたい」と思うあまり「これはやっちゃいけない」「あれはダメ」などと叱ってしまいがち。これが、学習する才能をダメにしているパターンだと林先生は言います。

物事がよくわからない3歳以下の子どもは、叱られるとただただイヤなもの。

わけがわからないまま叱られると、本能的に自分を守ろうとし、人の顔色を伺い、「知りたい」という本能から生まれる「興味を持つ才能」が育たなくなってしまうのです。

「繰り返しの遊び」にトコトン付き合う!

子どもは、同じ遊びを何度でも飽きずに繰り返しますよね。

同じ絵本を何度も読んでとせがんだり、同じパズルを何度もやったり……。親のほうが先に飽きて「またぁ?」なんて思ったりもしますが、実はこの繰り返す遊びが育脳にとても重要。

これは、同じ遊びを何度も繰り返すことによって微妙な違いを理解するからなのだそう。

小さいときにこの本能を磨くことによって、正誤を判断したり、類似するものを区別したり、物事の筋道を通すことができるようになります。

大人から見たら無意味に思える繰り返しの遊びですが、我が子がハマっていたら「また同じことばっかりやって!」なんて文句を言ったりせず、ぜひ気の済むまでやらせてあげてください。

コミュニケーション力を高める言葉がけを

親なら誰でも、「我が子にはいろんな人と仲良くなって、たくさん心許せる友達を作ってほしい」と思っているのではないでしょうか。

そのために必要なのは、コミュニケーション力。この力を育むのも、ふだんの言葉がけが重要です。

そのためには、たとえ間違った意見であっても、子どもが使った言葉を最初に使うことによって、子どもの脳に入る会話を行うこと、と林先生は言います。

例えば、子どもに予定外のおもちゃなどを「買って」とせがまれたとき。頭ごなしに「ダメ!」というのではなく、

「実はお母さんもあれを買ってあげたいと思っていたの。でも、今日はお金を持っていなくて……。ところで、あれ(子どもの得意な話題)はどうなったの?」

と、話題を切り替えると、「お母さんは自分のことをわかっている」と信頼を得られる上に、新しい情報に反応して気持ちもそれているので、「あれ買って〜!」と暴れることもなくなる、というのです。

相手の脳に入る言葉を使うこの原理は、親子関係だけでなく、友人・恋人関係などにも通用するので、相手を思いやれるコミュニケーション力を持った子どもが育ちます。

林先生は、育脳において心がけたいこととして、「親も子どもと一緒に成長する」という考えを持つこと、としています。

「この子がいるから自分も立派な親になれる」と子どもに感謝して、尊敬することが大切だと。

親はつい自分の考えを押し付けたり、自分の価値基準で子どもを育てようとしたりしますが、子どもの脳が持つ可能性は無限大。育て方しだいで、親を超えることだってあるのです。

『3歳までの子育ての教科書』には、林先生ほか18名の子育てのプロが登場し、さまざまな角度から3歳までの子育て法について説いています。ぜひ参考にして、親子で共に成長していってくださいね。