住ブランドの象徴とも言えるタワーマンションの相場は、人の虚栄心によって動かされる側面が強いため、購入には冷静な考察が必要だ

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タワーマンションの購入者は
「見栄っ張り男」が多い!?

 タワーはシンボルである。ゆえに、タワーマンションは女性よりも男性の方が好きな人が多い。女性は内装を見るのに対し、男性は外観にこだわるとも言われる。実際にタワーマンションに住んでいる人は男性に多い。これは大きいものに対する憧憬でもあるのかもしれないし、人から「すごいですねぇ」と言われたいのかもしれない。いずれにしても、虚栄心を満たすための格好のブランドになっているのが、タワーマンションであることに変わりはないと思われる。

 他人に自慢するためには、目立たないといけない。その意味で、周辺より目立つ高さになっていることと、遠くから見て識別が容易であることが重要になる。前者は周辺よりも頭抜ける高さが必要であり、周辺の建物の高さにもよるが、通常35階程度(全長100m)は欲しいところである。ひとまず目立つことが第一条件である。

 一方後者は、鉄道や高速道路などから目につくことが必要になる。「あれだよ」とさりげなく説明できることが望まれる。郊外で離れていくところは、一般に「後背地」と呼ばれ、そこに住む人を「後背人口」という。後背人口の人たちがいつもそれを見ていることが重要なのである。この後背人口が多いほど、その物件の市場価値は落ちにくくなる。駅直結物件が値下がりしにくい理由の1つである。宝くじに当たったら、その人は毎日憧れの眼差しで見ていた物件を購入したくなるかもしれない。そのくらい、いつも見えていて人に説明しやすい物件は、潜在的な需要を多く抱えることになる。

 しかし、この虚栄心は高くつくことが多いので注意が必要だ。タワーマンションの購入で失敗する場合の損失は何千万円に及ぶ。自分勝手な理論は命取りになるのだ。たとえば、「価格が上昇しているときには最も単価が高い最上階が最も値上がりする(はずだ)」というのは、過去のデータを調べると間違っていることがわかる。東京近郊の江東区で新築のタワーマンションが建つ場合、最上階でも1億円を超えないことが多い。最上階はペントハウスとして破格の価格で売ることもあり得るが、実はあまり売れ行きは良くない。1億円を出す人が近郊を選ばないからだ。

 こういう人はアドレスを気にする。アドレスも虚栄心の大事な要素になっているのだ。このため、近郊でのペントハウスは地元の名士しか対象者がいなくなる。新築時は大々的に宣伝しているのでいいものの、中古になると買い手を捜すのが困難になってしまう。

 これは、低層の高級住宅地である世田谷区にも該当する。新築分譲価格が1億円を超える事例と中古の成約価格が1億円を超える事例を並べてみると、一目瞭然でわかる。都心3区+渋谷区の一部だけが、中古になっても1億円を超えるマンションの成約事例が存在するが、それ以外のエリアは新築時に1億円以上でもほぼ確実に1億円を割り込む価格まで値下がりしてしまうことが多い。なので筆者は、億ションを自慢する人にはアドレスを聞くようにしている。アドレスで残念に思うケースは枚挙に暇がないほどだ。

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