現在放送中の『真田丸』にて、真田昌幸役を好演している草刈正雄さん。今回はそんな草刈さんに『真田丸』などについて、様々なことをお聞きしてきました!

「二枚目」が不満だった草刈正雄


草刈さんは1970年、資生堂の「MG5」のモデルとして一躍人気モデルに。それから数年後、俳優デビューを果たし、俳優としてもかなりの人気を誇っていました。
当時の雑誌に掲載されていた草刈さんの写真を拝見すると、まさに"二枚目"! その影響か、当時の出演作を見ると二枚目どころの役がほとんどでした。


しかし草刈さん自身は、二枚目ばかりで汚れ役やコミカルな役のオファーがなかったことが不満だったと振り返ります。
「普段の自分とは違った役を演じたい、変えたいなという思いはずっとありました。同じことばかり言われると、反発したいという気持ちになるじゃないですか。当時は若かったこともあって、いきがっていましたしね。良い意味で見ている方々を裏切りたいという思いが強くありましたね」

「ズンドコベロンチョ」の思い出


このような思いを抱いていた草刈さんですが、皆さんもご存知の通り、最近では『真田丸』、娘と人格が入れ替わる役どころの『民王』などのコミカルな役をはじめ、幅広い役柄を演じています。

そして時は遡り、1991年にも『世にも奇妙な物語』内で放送された「ズンドコベロンチョ」でも、主演としてシュールでありつつもコミカルな役を演じていました。
この「ズンドコベロンチョ」は『世にも奇妙な物語』の中でもかなり人気が高く、昨年には藤木直人さん主演でリメイクもされました。また、ストーリーテラーのタモリさんが最も好きな作品としても挙げています。
「この作品はシュールな話で、はじめ台本をいただいて読んだときはあまりよく分からなかったんです(笑)。でも読んでくうちに面白いなと思いました。僕自身も凄く楽しんだ作品ですので、視聴者の方々が楽しんで見てくれていることは嬉しいですね」

草刈正雄が語る時代劇の面白さ


さて、役者としての草刈さんのこれまでの出演作を見てみると、時代劇にも多数出演されていることが分かります。特に大河ドラマには、今作の『真田丸』を含めると計7作に出演しています。
そんなこれまでに出演した大河ドラマの中でも印象的なのが、1994年放送の『花の乱』で演じた日野勝光。主人公の日野富子に騙まし討ちにされ、燃え盛る室町御所をバックに狂気的ともいえる最期を迎えるシーンは、大河ドラマファンの間で語り草になっています。
「あのシーンだけで1日がかりで、大変な撮影だったんですよ。しかも本物の火を使っていて、ほとんど燃えちゃっていますから(笑)。よくあんなことOKが出たなと、今振り返ると思います(笑)」

また、時代劇と現代劇を演じるにあたっての違いについて、草刈さんはこのように語ります。
「芝居するという点では変わりませんが、時代劇の方がデフォルメといいますか、演技を強調して、現代劇より色をつけられるのが面白さですね。
それとやっぱり男の子は、チャンバラとか男気とかの要素が入っている時代劇が好きなんですよ(笑)。それを演じることができるのは楽しいです」

草刈正雄と真田昌幸の共通点は?


そして今回、草刈さんの大河ドラマ7作目となるのが、『真田丸』。昌幸役のオファーを受けた時の率直な感想を振り返ります。
「三谷幸喜さんとは2014年に『君となら』という舞台でご一緒したのですが、その途中に三谷さんから楽屋で直接、昌幸を演じてくれと頼まれました。30年ほど前に昌幸の子・幸村役を演じたこともあり、とにかくビックリしましたね。当時、亡くなられた丹波哲郎さんが昌幸を演じていたのを見ていて、『魅力的な役だな』と思っていました」


昌幸を演じてみて感じた自身との共通点を、草刈さんは「家族を守る点」と語ります。
「あそこまで豪快ではないですが、家族を守るという部分では共通していると感じますね。どんなことをしてでも真田家を守る、子供たちを守るという姿勢です」

ところで、劇中の昌幸といえば、意見をコロコロと変えて策謀をめぐらす「表裏比興(卑怯)の者」の描かれ方が印象的。しかし、草刈さんによる昌幸の見方は意外なものでした。
「あっちこっちチョロチョロして義がないと言われていますが、昌幸は素直なんですよ。結局、一番義があるのは昌幸だと思っています。彼はずっと御屋形様(武田信玄公)への義を貫いているんですよ」

『真田丸』で苦労した点は長セリフ!


昌幸役を一年近くにわたって演じている草刈さん。『真田丸』で苦労した点をお聞きしたところ、撮影の序盤に経験した長セリフだったそう。
「セットの問題もあって、何回分かまとめて長セリフのシーンを撮ったんです。特に序盤の回では、昌幸のセリフがもの凄く多かったこともあって、一番大変でしたね。あれだけの膨大なセリフを一度に撮る事は、長い俳優人生でも初めてでしたから」


しかし、草刈さんはそんな長セリフの場面を次々とクリア! 最後にはスタッフからも拍手喝采だったとか。
「僕のシーンは時間かかるのではとスタッフの方も思っていて、多く時間をとっていたんですよ。でも、僕が次々と1発OKくらいでクリアしたため、4〜5時間巻きで終わったんです。自分でも凄いと思いましたね(笑)」

草刈正雄が語る三谷幸喜との出会い


ただ、そんな長セリフでも、三谷さんの脚本は基本的に苦にはならないとのこと。草刈さんは三谷さんの脚本を「良い意味で裏切られる、やっぱり面白い」と絶賛しています。

そして草刈さんは、三谷さんとの出会いが人生の中でもかなり大きかったと振り返ります。実際に過去のインタビューでも「昌幸はこれまでの俳優人生の集大成。役者を続けてきて良かったと思った」と語っていました。
「役者としてやっていけるぞと思ったのは本当に最近なんですよ。それこそ、真田丸で自信が持てましたし。三谷さんに出会って、俳優としても本当に変わりました。だからやっぱり出会いが大切なんですよね」

『真田丸』の今後の見どころは?


ところで、『真田丸』もいよいよ佳境を迎えつつあります。ここまでの心境を草刈さんに語って頂きました。
「ここまで順調ですので、ホッとしています。とにかく無事に終わらせることができればと思っていますので。ただ、昌幸役が終わってしまうのは寂しいですね。現在、別の仕事のお話も何本か頂いているんですが、なかなか手につかないです。あまりにも昌幸という素晴らしい役を頂けたので、"無"の状態なんですよ(笑)。その辺困ったものですが(笑)」

そして最後に、現在放送中の『真田丸』の見どころについてお聞きしました!
「これからどんどん面白くなりますよ。今思い浮かべただけでも、鳥肌が立つような面白い展開が待っています。本当に素晴らしいドラマになっていますので、最後までぜひ見てほしいですね」

■NHK大河ドラマ『真田丸』放送中!
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■『美の壺』放送中!(NHK BSプレミアム 毎週金曜日19:30〜)
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