鉄道の路線によって様々なイメージがありますよね。初めて会う人でも同じ沿線に住んでいるとわかると親近感がわき、共通の話題で盛り上がることもあるでしょう。

『沿線格差』(首都圏鉄道路線研究会著、SBクリエイティブ)では、首都圏の主要19路線を独自の観点で格付けし、それぞれの路線の特徴を紹介しています。みなさんが使っている路線は勝ち組でしょうか? それとも負け組でしょうか?

さっそく内容を見ていきましょう。

■1:勝ち組ナンバーワンは「京急本線」

本書の編集部が独自に作成したランキングで、首都圏の主要19路線で最も「勝ち組」と言えるのは「京急本線」という結果になりました。

これは「沿線のブランドタウンの数」「接続路線の数」「遅延回数」「電車の混雑具合」「乗客数」などをもとに算出したもの。勝ち組は「住みたい街」とは異なりますが「バランスがとれた路線」といえるでしょう。

京急本線の強みは遅延回数の少なさと混雑率の低さ。乗客の増加率は増えているため活気はあるものの、快適に通勤できる路線といえます。

2位はポテンシャルの高い「東海道線」で、3位はブランドタウンの多い「東急東横線」。東急東横線は沿線住民から「混雑ぶりがひどい」と言われがちですが、実際の混雑率は19路線中11位。そこまで悪くないと考えてよいでしょう。

■2:最もお金持ちが多いのは「京王井の頭線」

全国主要私鉄の沿線ごとの世帯当たり金融資産と年間所得が最も多いのは「京王井の頭線」。金融資産は3,321万円、年間所得は709万円となっています。

年間所得の2位以降は、「東急東横線(700万円)」「東急目黒線(689万円)」「東急田園都市線(688万円)」「小田急小田原線(678万円)」が続きます。

首都圏以外では9位に「阪急今津線(625万円)」が入っています。どれも全国平均の528万円を大きく上回る数字です。

このランキングは私鉄のみを対象にしているのでJR沿線はランキングに入っていません。しかし、山手線を除くJRは都市部から郊外まで長い距離を運行するため、所得にはばらつきがあり、上位にはランクインしないと思われます。

限られた区間を走る私鉄は、それぞれの特徴が出やすいもの。上位の路線沿線にはお金持ちが住む「密度」が高いといえるでしょう。

■3:乗客数が増え続けているのは「京葉線」

首都圏を走るJR線で最も乗客数を増やしている路線は「京葉線」。2000年〜2011年の間に26.0%の増加となっています。これは続く「八高線(15.5%)」「南武線(15.4%)」「武蔵野線(15.0%)」と比べて圧倒的に高い割合です。

京葉線沿線は高層マンションが増え、ベッドタウン化していることが乗客数アップの大きな要因。新浦安駅は乗車人員5万3000人のうち約7割が定期券利用者(通勤通学者)となっています。

また休日は東京ディズニーリゾートや葛西臨海公園といったレジャー施設に加えIKEAやららぽーとTOKYO-BAYなどの大型ショッピングモールなどを利用する家族連れを中心に乗客数を増やしています。

2020年の東京オリンピックでは新木場駅近くに選手村が建設されることになっており、幕張メッセでも一部の競技が開催される予定のため、今後ますます再開発が進むことが予想されます。

■4:痴漢摘発件数が多いのは「埼京線」より「中央線」

2010年の調査では、東京都内で痴漢の摘発件数が最も多いのは「中央線(117件)」で2位が「埼京線(100件)」でした。

巷では埼京線で痴漢が多いと言われていますが、2010年に埼京線に初めて車内防犯カメラが設置されたことにより少しは抑止効果があったのかもしれません。

とはいえ、首都圏で2010年に46日間にわたって行われた痴漢取締強化では、公然わいせつや盗撮も含めて161件が摘発されています。被害者の36.1%は高校生で、泣き寝入りするケースも多いため被害はもっと深刻なはずです。

■5:最も遅延が多いのは「埼京・川越線」

平日5日間の遅延発生回数を調査した結果、遅延が最も多かったのは「埼京・川越線(3回以上)」でした。週2回以上は、「横須賀線・総武快速線」「東海道線」「中央線快速」「中央・総武線各停」が並びます。

とはいえ、都内へ通勤している人は実感できると思いますが、都内のJR路線と東京メトロは平日はほぼ遅れていると思った方がよいでしょう。

特に東京メトロは相互乗り入れ運転を行っているため、郊外を出発した電車が少しずつ遅れ、都内に入ったところで決定的な遅れとなるというケースが起こりやすくなります。

毎日通勤通学する人にとっては街のイメージと同様に、電車の混み具合や遅延率は大きな問題ではないでしょうか。

本書にはそれぞれの路線ごとに詳しいデータがのっているので、家探しをするときの参考にするのもおすすめです。

(文/平野鞠)

 

【参考】

※首都圏鉄道路線研究会(2016)『沿線格差』SBクリエイティブ